北朝鮮への制裁決議~49カ国が決議を破っていると言う事実!

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12/11 (月)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②

被爆国でありながら日本が「核拡散防止条約」に参加できない理由
7:02~ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター須田慎一郎(ジャーナリスト)

サーロー節子 ノーベル平和賞 演説

ノーベル平和賞の授賞式で演説するサーロー節子さん=2017年12月10日、オスロ 写真提供:共同通信社

ノーベル平和賞でサーロー節子さんが、被爆者として初の演説

NGO(非政府組織)の核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)がノーベル平和賞を受賞した。
一方、日本は世界唯一の被爆国でありながらも、アメリカとの関係もあり独自に核兵器の問題について決められない。今回の平和賞を機に、改めて核と日本の矛盾について考えてみる。

高嶋)NGO(非政府組織)の核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)がノーベル平和賞を受賞しましたね。それで、広島で子供のときに被爆して、現在はカナダのトロントに住んでいるサーロー節子さんが、被爆者として初の演説をしました。その演説の全原稿が入ってきているのですが、ものすごく具体的で。「幽霊のような姿の人たちが、足を引きずりながら、行列をなして歩いていた。恐ろしいまでに傷ついた人々が、血を流し、火傷を負い、黒こげになり、膨れ上がっていた。身体の一部を失った人たち。肉や皮が身体から垂れ下がっている人たち。飛び出た眼球を手に持っている人たち。お腹が裂けて開き、腸が飛び出して垂れ下がっている人たち。人体の焼ける悪臭が、そこら中に蔓延していました……」、これはやはり、相当、説得力があるというか、いわゆる「被爆」の光景を実にリアルに演説の中に取り込んでいて。心を打ったのではないかと思います。

須田)そうした点で言うと、いまだに核戦争の危機はある。むしろ平和よりも高まっているような、そういう状況にありますよね。ですから、それとどう向き合っていけばいいのか、ということだと思います。

ICAN ノーベル平和賞 箕牧 智之 池田 精子

ICANのノーベル平和賞受賞を祝福する日本被団協の箕牧智之代表理事(右)と池田精子全国理事=2017年10月6日広島市中区 写真提供:産経新聞社

北朝鮮への制裁決議を、日本も含む49ヵ国が破っていた!

高嶋)おっしゃるとおりですね。それで、現在の日本や他国には、北朝鮮の脅威というのがあって。ニュースを見ていると、「北朝鮮への制裁決議、圧力を最大限に高める」というのが安倍さんやトランプさんのやり方ということになっていますが、49ヵ国が、この制裁決議を破っているそうですね。

須田)これに関して、何故か日本のメディアはまったく報じていないのですよ。実はアメリカの政府系シンクタンクが、12月5日に発表した報告書によると「2014年3月から、2017年9月という、直近で制裁決議に違反している国」が49ヵ国あって、実は、その49ヵ国の中に、日本も入っているのですよ。まあ、これは不注意で制裁決議を破ってしまったのですが。
その中で注目しているのは、ドイツやフランス、中国という国々が入っていて。いま申し上げた国の中には、ダミー会社を使って北朝鮮から鉱物資源を輸入し、その一方で核兵器やミサイルに関する部品を輸出していたケースもあるのです。ですから、49ヵ国の中には濃淡がありますが、ただ、そうしたこともアメリカサイドは把握、補足しているということで、これに関してメスが入っていく方向に……抜け穴があったのですよ。これまでは北朝鮮に対してね。

オバマ 大統領 広島 訪問 平和記念公園

【オバマ米大統領広島訪問】スピーチをした後に関係者と抱き合うオバマ米大統領=2016年5月27日広島市中区の平和記念公園

核問題を巡って日本は、独立国とは思えない状況になっている

高嶋)そして、例の核拡散防止条約には、核保有国のアメリカ・ロシア・イギリス・フランス・中国……こういったところは、全然関心を示さないと。
それで、日本もアメリカに付き合っているわけで。よく言われますが「唯一の被爆国なのだから、どんな抵抗があっても批准しなきゃマズいだろう」と。須田さんはどう思いますか?

須田)その辺が非常に大きな矛盾をはらんでいて。いわゆる「核不拡散」あるいは「核兵器廃絶」と言われているのだけど、その一方で「核クラブ」と呼ばれる5大国(アメリカ・ロシア・イギリス・フランス・中国)がある。そことの整合がとれないのです。日本は明らかに、この分野においてはアメリカに首根っこを抑えつけられてしまっていますから。ようするに、「自分の国で物事が決められない」という状況があって。日本は独自に核兵器の問題について決められない。唯一の被爆国でありながら、決められない。この矛盾を、ちょっと考えてみた方がいいと思います。

高嶋)これは、日本はそうしたいと思っても、アメリカと相談の上でなければ……

須田)了解がなければ、できません。

高嶋)独立国と思えませんね。

須田)そうですね。この件に関しては、明らかに独立国と言えないと思います。

高嶋)ノーベル平和賞はこれまで、オバマさんも受賞しているし、いろいろな政治家も受賞していますが、大体、あとで騒がしくなるケースが多くて。そういう意味で言うと、この非政府組織の核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)というのは、かなり説得力を持つ平和賞じゃないかな、と思いました。

須田)ですから、「それが実効性を持つにはどうしたらいいのか?」を考えていかなければならないと思います。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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