白鵬 大横綱でも叶わぬ願いとは?

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白鵬

【大相撲十一月場所】十四日目 優勝を決め、通算40勝となりVサインを2つ作る白鵬=2017年11月25日福岡国際センター 写真提供:産経新聞社

日馬富士の暴行事件。今日28日、福岡市内で参考人として、白鵬が鳥取県警の事情聴取を受けます。「見たままを話す」と語っており、影響力は絶大。九州場所の千秋楽、優勝インタビューでは、

「日馬富士関と貴ノ岩関を再び、この土俵にあげたいなと思います」

と堂々と宣言し、27日に行われた横綱審議委員会でも問題視されました。北村委員長は、

「横綱といえども、自分ができるような感じで言うのは、何かおかしい」

と不快感を表しています。

同じ日の優勝一夜明け会見。いつも以上に白鵬はじょう舌でした。通常は、時間ぎりぎり、もしくは遅刻が多かった。しかし、20分も早く到着した。会見は、事前に代表質問以外は、相撲のことだけに限定。加えて、テレビ局は民法の質問はNG。暴行事件一色になってしまうことを危惧したからでした。宮城野親方(元幕内・竹葉山)が、

「相撲協会の指導だ」

と舞台裏を明かしています。

さて、万歳三唱を含め、波紋を呼んだ、千秋楽のインタビューについて、

「優勝40回目のお祝いをファンとしたかった。(暴行事件は)力士の代表として、自分の言葉で伝えたかった」

振り返れば、2006年夏場所、大関で初優勝を飾り、横綱を11年もつとめている。よく、ライバルがいないなどの指摘を受けるものの、優勝40回は立派の一語につきると思います。

「心と体がくたくた。大鵬さんも、しみじみ言っていた、横綱は孤独という言葉が、すごく染みている」

下手をすれば燃えつき症候群になってもおかしくない状況から、モチベーションをあげることがとてもうまい。次なるターゲットは、幕内通算1000勝。あと30勝です。

一方で驚かせたのは、自身の引き時を示唆したことでした。

「2020年の東京オリンピックまで頑張る」

と明言した後、

「さびしさもあるけど、スパッとね。もういいかなぁ、と思っている。でも、若手の壁になってからバトンタッチしたい」

とも。あと2年余りは、白鵬の時代が続きます。張り差し、かちあげなど、横綱らしくないと言われても、稀勢の里、鶴竜、日馬富士の状況を考えれば、相撲界は、大横綱頼み。九州場所の千秋楽で、横綱と大関の取り組みがわずか1番では、白鵬に対して、協会側も強くは出られない。

本場所も体がよく動く。日々の努力と、心構えが違います。すべりやすいといわれた、地方場所で、両国国技館同様の土で土俵を、と強力に主張したのも白鵬。声をあげる代わりに、しっかりと結果を出す。32歳を過ぎて再び、黄金期の到来を予感させる。まさに別格の元気さです。

白鵬はいろいろな事情から未だ日本人に帰化していません。一代年寄として相撲協会に残り、親方となる資格は持っているのですが、帰化しなければ難しい。

「一代年寄で白鵬部屋をやりたい」

と希望を語っている白鵬。これだけの実績をあげて相撲界に貢献してきたのだから例外を認めてほしい、というのが腹の内ではないでしょうか。

11月28日(火) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」

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