中国共産党・宋濤部長が訪朝~それでも核開発を止められない2つの理由

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11/17(金)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③

軍事境界線から北朝鮮軍人が韓国へ亡命
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター宮家邦彦(外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

宋濤 安倍

会談に臨み、安倍晋三首相(右)と握手する中国共産党の宋濤中央対外連絡部長=2017年8月8日午後、首相官邸 写真提供:産経新聞社

中国共産党中央対外連絡部の宋濤部長が北朝鮮を訪問

中国の習近平国家主席の特使として、中国共産党中央対外連絡部の宋濤(そうとう)部長が今日北朝鮮を訪問する。先月行われた共産党大会の状況を報告する為ということだが、金正恩朝鮮労働党委員長と会談する可能性が高く、やり取りが注目される。

中国共産党の習近平総書記の特使ということで今日、中国共産党中央対外連絡部の宋濤部長が北朝鮮を訪問します。先月行われた中国共産党大会の状況を報告する為ということです。中国高官の北朝鮮訪問は去年10月の外務次官以来で、共産党大会後の共産党幹部の北朝鮮訪問では、北朝鮮トップが会談に応じるのが慣例とされているので、金正恩朝鮮労働党委員長と会談する可能性が高いとされます。

宋濤部長は国際社会の動向をふまえ、北朝鮮側に核・ミサイル問題解決の為の対話に応じるよう求めるのではないかと言われています。

この中央対外連絡部というのは共産党の外交を推進する機関で、宋濤部長は閣僚クラスで習近平国家主席の側近と言われます。

一方アメリカのトランプ大統領は今回のアジア歴訪の成果に関し15日演説を行いまして「習近平国家主席と北朝鮮の核問題を打開できる時間は限られているという認識で一致した」とトランプさんは話しています。ただ北朝鮮核問題の解決に向けた具体的な道筋については言及をしていません。またトランプ大統領はTwitterでは今回の習近平国家主席の特使派遣について「大きな動きだ。何が起きるか見てみよう」とつぶやいています。

ところで南北軍事境界線があります板門店(パンムンジョム)で13日に発生した北朝鮮の男性軍人の韓国亡命をめぐり、韓国の情報機関「国家情報院」は「この軍人は20代半ばの下士官クラスだ」と国会に報告しております。

内臓の損傷など危険な状態が続いているということですが、手術をした医師によりますと小腸の中に数千~数万匹の寄生虫がいるかもしれないということで、どうも軍人でさえ最悪の衛生・栄養状態に置かれているようです。

高嶋)まだ重体なのですよね。意識は回復していないということですね。

王毅

日中韓外相会談 共同記者発表で話す、中国の王毅外相 2016年8月24日 写真提供:産経新聞社

中国高官の北朝鮮訪問でも核開発を止められない2つの理由

高嶋)習近平さんとトランプ大統領は会談をした。そこで何か合意があったかどうかは知りませんが、その後にこの宋濤さんという中国共産党の部長が行く。
僕らがよく耳にする王毅(おうき)外相とか、ああいう人はずっと下なのですってね。この宋濤さんの方が遥かに上であるということで。
金正恩さんがいわゆるICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射などを2ヶ月何もやっていなくて、いろんなことを総合するとどんな動きになっていると理解できますか?

宮家)大きな流れはアメリカが中国に圧力を掛けて「何かしろ、もっとやれ」と言われて、中国は「分かりました、それじゃあやってみましょう」ということで「特使を出しますよ」というわけですよね。
だけどよく考えてみて下さい、これは北朝鮮の身になってみるとこんなの上手く行くわけが無いのですよ。第1に、こんなに「特使出すぞ!」なんて言われて、それで圧力を掛けられました、それで北朝鮮のお兄ちゃんが「恐れ入りました、ごめんなさい」なんて言うわけが無い、そんなこと言えるわけが無い。面子丸潰れじゃないですか。こんなやり方は外交的にはちっとも上手いやり方だと僕は思わない。
第2に、確かに前回外務次官を送ったのだから、閣僚級だか何だか知らないけど中連部の部長ですからそれはそれなりの人なのですよ。だけど金正恩氏から見たら「何でそんな下っ端を送って来るの? 俺の相手は習近平だ。閣僚級じゃなくてもっと大物を、首相級を出さないのか。7人の内の1人を出して来い」と言うかもしれませんよね。
だからこういうやり方では必ずしも上手く行かないと僕は思う。つまり逆に言うと、中国はアリバイとは言わないけども、形はやらなければいけないのですよ。ここまで言われて、アメリカとそれなりに突っ込んだ話し合いをしたに違い無いのですから。だけど私は今回残念だけれども。これは成果が出たら良いのですが、出なくてもおかしくないと思っているのです。

この北朝鮮訪問はアメリカを錯覚させる為の作戦~上手く行かないことは中国幹部も承知の上

高嶋)今“アリバイ”とおっしゃいましたが、中国の幹部の人たちはそんな取り方は承知の上で部長を出していると。

宮家)そうです。だってこんなことできるなら今までもっと前からやっていますよね。

高嶋)それでトランプさんには「やったよ」と。

宮家)中国はアメリカに「進展があったな」と錯覚させることには成功しているのだけど、本当に進展があるかどうかは北朝鮮がありますから、北朝鮮が「NO」と言ったら「どうしようもないよ」と言ってなんとなくその場をしのぐと。

高嶋)何度も出て来る中国としては朝鮮半島は現状維持という、その基本的な考えは変わらないと。

宮家)私はまだ変わっていないと思います。もちろんこれで劇的な進展があれば僕は見直しますけど、あまり期待できないですね。

高嶋)板門店の亡命兵士というのは蟻の一穴みたいになりますか? 関係無いですか?

宮家)関係無いですね。全く関係無い。だって下っ端が逃げて来ただけですから。このくらいでは驚かないと思いますね。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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