トランプ大統領が安倍首相に迫った下品な兵器ビジネスとは?

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11/16(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③

武器売買を言い値価格で行うのがトランプ流
7:02~ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター佐藤優(元外務省主任分析官・作家)

トランプ 安倍

トランプ米大統領初来日 日米首脳会談を前に、握手するトランプ米大統領(左)と安倍晋三首相=2017年11月6日午後1時32分、東京・元赤坂の迎賓館

トランプ大統領が売りつけた兵器商法の特徴は「定価がない」こと

今回のアジア歴訪で、トランプ大統領は兵器などのビジネスで、莫大な金額を動かした。定価の無い兵器を購入するということは不正な金が発生する可能性が高く、第2のロッキード事件になる危険な側面も持ち合わせているという。

高嶋)アメリカのトランプ大統領の、初のアジア歴訪。10日間。スゴい量の武器を買わせましたね。あれは総額でいくらになりますか?

佐藤)計算できないですね。トランプ型の武器商法の特徴は、「定価がない」ということです。「言い値で買え」ということなのです。元外務省の私の感覚からすると、こういうことだと思います。「おう、シンゾウ。貿易赤字を何とかして欲しいんだよ。2つ道がある。1つは難しい、表の外交協議をやって、業界の調整が大変なところで、1つ1つの分野で全部調整していって、貿易赤字をなくしてもらう。2つ目は、そこは適当で良いけど、代わりに俺の言い値で兵器を全部買ってくれ。結論はどちらも一緒だぜ」と。こんな感じですよ。

高嶋)表門と裏門、みたいですね。

佐藤)そういうことです。兵器の場合、値段はあってないようなものだし、最新兵器を買っても、2年後に「更新されてもっと新しいのができた」となったら、前のは全部スクラップにして新品を買う。こういうことです。

高嶋)「言い値の値段で買え」と言うのですか?

佐藤)たとえば、同じ地雷でも、武器市場では500円~5万円で出ていますよ。ドローンも、値段は10倍、20倍で、全然違う値段が付き得る。

高嶋)桁が1つ2つ違うのは当たり前だと?

佐藤)あり得ます。そうしたときには、必ず「合い見積もり」を似たような兵器を作れる国からとらなければいけないのですよ。

高嶋)それは常識ですね。

佐藤)ですから、フランスから、あるいはイスラエルから。特に、イスラエルとアメリカは、兵器が重なっていますから。「機能もほぼ同じ無人飛行機なのに、どうしてイスラエルだと値段が3分の1なの? 実戦ではイスラエルの方がかなり使っているんじゃないか?」みたいなのが出てくる。なので、「これからはイスラエルとの防衛装備品のビジネスをやらないように」と圧力が何となくアメリカからかかってきます。

兵器の購入は裏金が生じやすく、第2のロッキード事件になりかねない

高嶋)しかし、たまったものではないですね。100円を1万円で買わされるわけでしょう?

佐藤)ようするに赤字の解消ですから、何でもいいのです。「何でもいいから買ってくれ」と。でも、そこのところでコストをかけて貿易摩擦の交渉とか、そうしたことをやるのか? それとも言い値で買って、「こっちが欲しいのはお金だよ」と。こういう話です。

高嶋)赤字の解消については、その目的だけならそれでいいですけど、だけど……

佐藤)こういうものは、スゴく「下品」なのですよ。それから、値段がなくて、簡単に変動するようなものをやり取りすると、そこからはキックバックとかの裏金が生じやすい。東京地検特捜部の活躍の機会が増える、ということですよ。

高嶋)それはそうですよね。定価がないのだから、いくらでも構わないと言うのは……

佐藤)昔、ロッキードをやった検事から直接聞いたのですよ。「本当はロッキードではなかった。ロッキードは端牌で、実は防衛省に納入する戦闘機で、深刻な話があったのだけど、これは安全保証上問題があるから、手を付けられなかった。だから、本当は別の政治家がやられた可能性がある」と。「運の良し悪しはあるのですよ」と、その元検事も言っていました。

高嶋)本筋ではなかったと?

佐藤)ええ。防衛装備品というのは値段があってないようなものなので、いろいろなことが生じやすいのです。ですから、いまスゴく危ないことをやっていますよ。

アメリカから兵器は型落ち、需要な部分はブラックボックスに

高嶋)それと、もう1つ肝心なのは、せっかくいいものを買っても、肝心の部品、アメリカが秘密にしたいものは、全部取ってくるとか。

佐藤)それは、型落ちしたもので送ってくる、あるいは重要な部分はブラックボックスにして見えないようにする、というのがアメリカ型ビジネスの特徴ですから。

高嶋)でも、ずいぶんじゃないですか。高くて……

佐藤)だから、率直に言うと、イスラエルは「どうせブラックボックスにしてもこじ開け、すぐに追いついてくるから、常にオープンにしておけば、緊張感を持って、最新の技術で開発できる」という理由でブラックボックス方式にしていないので、イスラエル製品を買うのでないにしても、イスラエルから合い見積もりをとれば、だいぶ安く買えますよ。

高嶋)多少は安くなるだろう、と。

佐藤)かなり安くなると思いますよ。今度は「量を多く買え」と言ってくるかもしれないですけどね(笑)。だから「お前、この双六で落ちるところは地獄と決まってるの。道筋はいくつもあるけど、トランプ双六は結論が決まっているから、地獄に落ちるシナリオは選んでもいいよ」と、これくらいだと思いますね。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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