やじうま好奇心

自分で書いた本を気軽に売る時代到来!コスト激減“POD出版”の方法とは?

一生に一度は本を出版したい、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、印刷する書籍は出版社経由でないと出版できないのが一般的です。個人が自ら原稿を持ち込んでも、出版社に評価されない限りは出版社経由では出版できない。

その評価が取れない場合、著者自身が紙の書籍を自分で出版することを「自費出版」といいます。自費出版は事前に一定数の書籍を印刷し、その製造費を著者自身も負担するケースが一般的です。よって、数十万円、数百万円とお金がかかるというのが実情です。

さてさて今回の話は、初期投資ゼロ円で、すぐに紙の本が出版できる時代になった、というお話。

簡単に言うと、「出版社が原稿チェックなどしないで」、えっ?!「自分が書いた原稿をそのまま」、えっ?!「値段も自分で決められて」、えっ?!「最速1週間ほどで」、えっ?!「アマゾンから出版できる」、ええっ?!……というものです。

いったいどういう仕組みなのか?実際、どんな人が本を出しているのか?ヒットしている本はどんな本か?儲けの部分はどうか?では細かい部分を紐解いていきましょう。

一言で、どういう出版スタイルかと言いますと……「POD出版」と言います。PODとは、客から注文が入ってから、1冊ずつ印刷する「POD(プリント・オンデマンド)」という技術のことです。

POD出版に至るまで、1冊の本を例をとって説明しますと……あなたは歴史マニアで、特に戦国時代について研究していて、本能寺で織田信長の遺体を見た者がいない、という点から、大胆な仮説『織田信長はいなかった』という本の原稿を書いたとしましょう。

これを出版社にもっていったところ、「バカバカしい」「遺体がなくても、古文書では居た証明がいろいろとあるのでその説は支持できない」などとマトモなことを言われて、出版とならなかった。まあ、あたりまえでしょうね。

そこで、自費出版を考え出版社に原稿を持って行った。出版社経由で出版する場合、出版社が原稿のチェックや調整を入念に行うため、出版までに数カ月〜年単位の時間がかかることが分かり……それだけでなく、「書店に本を置くためにある程度刷る分が実費でかかりますよ」「それが何十万、数百万となりますよ」などと言われてしまい……

そこで新しい出版方法=POD出版のサービスシステム「NextPublishing(ネクストパブリッシング)」を利用することにした。ネット上に、「NextPublishing」のホームページがあり、個人で本を出版したい人向けのページ「著者向けPOD出版サービス」をクリックして、すでにできている原稿をPDF(ピーディーエフ)データで送った。登録費や利用費など、初期費用はゼロ。そして、なんと1週間後、ネット書店のアマゾンに、自分の本『織田信長はいなかった』が並んだ。

自分でつけた本の価格は1,000円。ページ数によって印刷費は違いますが、たとえば1冊あたり、印刷費430円・販売手数料400円、もうけは170円というのが一般的なモデルケース。普通の出版だと印税が1割と言われているので、170円はまあいいのではないか。

しかし嬉しいのは、出版社の自費出版だとこちら持ちのお金がべらぼうにかかる、と言われたのが、こっちは初期費用がゼロ、という点。

なぜそれが実現できるのか?これこそがまさに「POD」、プリントオンデマンド、というものです。買いたい人がポチっとした瞬間に、アマゾンの印刷工場で印刷が始まって製本。そして1日2日で届く、という仕組みだからなのです。仕組みはなんとなくお分かりいただけたでしょうか?

こうした“プリント・オン・デマンド出版サービスは、5年前から始まりました。行っているのは「NextPublishing(ネクストパブリッシング)」という、「POD出版サービス」。始まった5年前は、出版社向けに行っていたのです。

なぜ出版社が、こうしたプリント・オン・デマンドを利用するのか?たとえば、売り上げが見込めなくて、何千、何万も刷れない本というのはいくらでもあります。しかし出版社側としては「需要がある」「良い本だから出したい」という願いがある。

具体的にどんな本がPODを利用していたのか、具体的に挙げた方が分かりやすいでしょう。たとえば、ある出版社から出ている「旅の指差し会話帳」。日本語で言いたいことが、英語とか、フランス語とかに訳されていて、海外で指させば伝わる、便利な本です。

しかし、マニアックな言語の場合、安定した売り上げが見込めないので出版物として在庫を抱えるわけにはいかない。だから、刷らない。そういうときに、この「ネクストパブリッシング」を利用して、アマゾンのPODで注文が入ったときに印刷する方法を取っていたのです。こうして、「イラン編」が出来た。需要があることは確実ですが、数が多いわけではない。そうした場合に非常に向いているのがPODなのです。

そうこうしているうちに、出版社を相手にしてきた「ネクストパブリッシング」側に、個人の人たちから「本を出版したい」という声が届き始めた。そこで1年前から、このシステムを個人に向けてもサービスを開始した、という成り行きなのです。

個人向けのPOD、プリントオンデマンド出版が始まって1年。150冊もの本が出版され、様々な傾向が分かってきています。

まず、書いてある内容の責任はすべて著者が負うことになっているので、基本的に、誹謗中傷、パクリでなければどんな本でも出せる。常識の範囲内で、エロでも大丈夫です。まあ難しく言えば、出せないものは、公序良俗に反するもの、誹謗中傷、出版社が出版権を保有するもの、他者の著作権を侵害するものなど知的所有権を侵害する書籍は販売できない。これらに反する書籍が発見された場合は、販売・利用停止などの措置が取られます。どんなジャンルも出版OKで、小説、エッセイ、自己啓発、自分史、教材、技術書、専門書、解説書などが出版されています。

その中でもヒットを記録する本が現れました。まず、「アスリートのための最新栄養学」。1冊3,000円、上下巻で6,000円。なんですが、予約時点で28位にランクイン。その後も売れ続けている。プロユースの本で難しいですが、大変真面目な本です。

また、海兵隊のフィットネスメソッドを英語から日本語に翻訳した本「ヒューエットフィットネスメソッド」。こちらはA4版で、自分のトレーニングの記録が書き込めるようになっていて、こちらも非常に売れている。

このように、仕事先で使うとか、講演会を行うとか、何か紙の本を利用した方法がある場合、POD出版で本を出すことは非常に有効と言えそうです。

ほかにも、本になりにくいものを自分で出版する例としては「お寺など宗教関係者が教えを本にする」「在日インド人が数学法を日本語で出版する」というものがあって、なかなか興味深い。反対に、今のところ売り上げが難しいもので言えば”小説“。プリントオンデマンドは、最速で1週間で本が出せるというのが最大のメリット。とにかく速い。ですから、日々移り変わりやすい「金融本」や「政治本」も非常に向いているということです。

さらに、日本図書コード管理センターが発行したISBN(出版者記号)を持っている人は、5万円で自分だけの出版社名を名乗って、本を出せるシステムがこの秋から始まりました

みかけは書店で並んでいる本とほとんど変わらない。それを自分であっという間に出版できる。POD出版はさらに一般的になるのではないか、と考えられています。

11月14日(火) 高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

Copyright Nippon Broadcasting System, Inc. All Rights Reserved.