神戸駅「夢鉄道トロッコ弁当」(930円)~わたらせ渓谷鐵道「トロッコわたらせ渓谷3号」の旅

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【ライター望月の駅弁膝栗毛】

トロッコわたらせ渓谷 号

わたらせ渓谷鐵道「トロッコわたらせ渓谷」号

今や鉄道の主流は、電車かディーゼルカー。
機関車が客車を引っ張る「客車列車」という存在は、貴重なものになりつつあります。
その中にあって、第3セクターの「わたらせ渓谷鐵道」には、毎年春~秋の週末を中心にDE10形ディーゼル機関車が牽引する観光列車、「トロッコわたらせ渓谷号」が1往復運行されています。
特に大間々10:54発の「トロッコわたらせ渓谷3号」は、ちょっと懐かしい人気列車です。

わたらせ渓谷鐵道

わたらせ渓谷鐵道「トロッコわたらせ渓谷」号

わたらせ渓谷鐵道のトロッコ列車は「定員制」となっており、わたらせ渓谷鐵道の相老、大間々、通洞の各駅(当日も可)か、JR東日本のみどりの窓口(前日まで)で、乗車券とは別に乗車整理券(510円)を買い求めることで乗車することが出来ます。(一部フリーきっぷに利用制限あり)
「トロッコわたらせ渓谷号」は真ん中の2両がトロッコ車両で、前後の2両は荒天時などを考慮した窓のある車両(元・国鉄12系客車)となっており、3号のみ全車指定席となっています。

わたらせ渓谷鐵道

わたらせ渓谷鐵道の車窓

わたらせ渓谷鐵道の車窓のメインは、何と言っても渡良瀬川!
列車は、群馬県みどり市の大間々駅と、栃木県日光市の足尾駅の間を1時間半あまりかけて走り抜けますが、その間、ほぼずっと車窓から渡良瀬川が見えています。
今回の乗車は9月下旬でしたが、例年10月末から11月にかけては紅葉のシーズン!
車窓を赤や黄色の木々が彩り、わたらせ渓谷鐵道は1年で最も人気の時期を迎えています。

わたらせ渓谷鐵道

わたらせ渓谷鐵道の車窓

わたらせ渓谷鐵道の看板列車であるトロッコ列車。
車窓が美しい場所や滝が見える場所では徐行したり、長いトンネル区間では、灯りを落とすなど、いろんな楽しみが詰まっています。
個人的には、草木ダムの建設に伴って出来た延長5km以上の草木トンネルを通過時に、敢えて窓のある元・12系客車に行ってみると、プチ国鉄夜行急行気分が味わえるのでおススメです。

トロッコわたらせ渓谷3号

「トロッコわたらせ渓谷3号」の車内販売

美しい景色はもちろん、「トロッコわたらせ渓谷3号」最大のプレミアムは、何と言っても大間々~神戸(ごうど)間で、車内販売があること。
わたらせ渓谷鐵道のオリジナルグッズをはじめ、神戸駅構内にある「列車のレストラン 清流」が作る駅弁の販売も行っています。
駅弁は、前日16:30までに、「清流」(0277-97-3681)に電話予約すれば、確実に入手可能。
なお、予約した場合は、乗車時に最後尾4号車で車内販売に向けて待機している「清流」の方に申し出て、代金と引き換えで受け取ります。

夢鉄道トロッコ弁当

夢鉄道トロッコ弁当

トロッコ利用者の方に人気の駅弁といえば、何と言っても「夢鉄道トロッコ弁当」(930円)。
この駅弁は、わたらせ渓谷鐵道が「トロッコわたらせ渓谷号」の運行を始めた平成10(1998)年10月10日から販売を開始しました。
トレーを入れ込むボックス型の紙箱のふたにも、「トロッコわたらせ渓谷号」の画像が使われており、まさにこの列車のために生まれた弁当と言ってもいいでしょう。

夢鉄道トロッコ弁当

夢鉄道トロッコ弁当

【お品書き】
・舞茸ごはん
・舞茸天ぷら
・トンカツ
・錦糸シュウマイ
・ごぼう鶏肉巻き
・マカロニサラダ
・かまぼこ
・細切昆布
・山くらげ
・香の物
・紅あずま甘露煮
・グレープフルーツ

夢鉄道トロッコ弁当

夢鉄道トロッコ弁当

“トロッコ弁当”は、「列車のレストラン清流」の看板メニューにして、地元の名物でもある「舞茸」を使った「舞茸ごはん」と「舞茸の天ぷら」がメインの幕の内風弁当。
特に舞茸の天ぷらは、ひと口ではまずサクッといくことが出来ないくらい大ぶりのものです。
これによく合うのが汽車土瓶なき後、缶やペットボトル茶の登場まで、駅弁のお茶を担ったいわゆる“ポリ茶”(100円)。
この駅弁とお茶なら、窓付きの元12系客車でいただいても、バッチリ昭和後期の旅が楽しめそう。
おそらく車販に回る駅弁の個数はそれほど多くないと思われますので、やっぱり“鉄道旅には駅弁だよね!”という方は、前日までの電話予約がおススメです。

神戸駅 立ち売り

神戸駅の立ち売り

「トロッコわたらせ渓谷3号」は、神戸駅で11:37~41まで4分間停車。
この4分の停車時間に、神戸駅のふるさと駅長さんによって、ホームでの立ち売りが行われており、9月下旬は蒸かしたサツマイモをはじめ、車窓に合った素朴なモノが販売されていました。
今やホームで売り子さんとお金をやり取りする経験自体が貴重ですから、神戸駅ではたとえお腹がいっぱいでも、日本が誇る“鉄道文化”を体感すべく、何らかのものを買うべき!
贅沢をいえば、もう少し長く10分くらい停まってくれたら、もっと嬉しくて楽しい時間になるでしょう。

トロッコわっしー号

トロッコわっしー号

沢入(そうり)駅では、ちょっと賑やかな雰囲気の車両と交換します。
わたらせ渓谷鐵道のトロッコ列車には、ディーゼルカーの「トロッコわっしー号」もあります。
実はコチラ、天皇・皇后両陛下がご乗車され、“お召し列車”として運行されたこともある車両。
今季の「トロッコわたらせ渓谷号」の運行は11/23までとなっていますが、「トロッコわっしー号」は、冬の間も窓ガラスを設置して、週末を中心に運行される予定です。

わたらせ渓谷鐵道

わたらせ渓谷鐵道の車窓

終着・足尾が近づくほど、川底がしっかり見える清流となっていく渡良瀬川。
わたらせ渓谷鐵道の前身・国鉄足尾線は、銅山の貨物輸送で賑わった路線です。
この美しい流れを取り戻すまでに、多くの犠牲と地元の皆さんの苦労があった歴史もしっかり頭の片隅に置きながら、トロッコ列車ならではの自然の風を感じたいもの。
「わたらせ渓谷鐵道」で、渡良瀬川の美しい流れと紅葉を楽しめるようになっていることそのものが、実はとても素晴らしいことではないかと思います。

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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