しゃベルシネマ

スクリーン上で奏でられる坂本龍一の“音”『Ryuichi Sakamoto:CODA』

【しゃベルシネマ by 八雲ふみね・第303回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回は、11月4日から公開の『Ryuichi Sakamoto:CODA』を掘り起こします。


世界的音楽家 坂本龍一の音楽と思索の旅


第30回東京国際映画祭「SAMURAI(サムライ)賞」。これは比類なき感性で“サムライ”のごとく時代を切り開き、その才能を世界に向けて発信し続けてきた映画人の功績を称える賞で、開設4年目となる今回は、世界的音楽家として活躍する坂本龍一氏が受賞しました。

そんな坂本龍一の音楽的探究を正面から捉えた『Ryuichi Sakamoto:CODA』が、いよいよ日本でも公開となりました。


本作は2012年から5年もの長期間にわたって坂本龍一に密着取材を敢行、制作された初の劇場版ドキュメンタリー。

YMO時代のライブ映像やさらに幼少期からの膨大なアーカイブ素材、プライベート映像や写真まで織り交ぜて彼の過去の旅路を振り返り、新たな楽曲が誕生するまでを追いかけています。


今年3月に8年ぶりにリリースされたオリジナルアルバム「async」の制作過程を中心に描きながら、坂本龍一の作曲プロセスや新たな表現との出会いを映し出していく本作。メガホンを取ったスティーヴン・ノムラ・シブル監督は、東日本大震災以降、坂本龍一の音楽表現の変化に興味を持ち、密着取材を始めたとのこと。

震災で津波に流された“被災ピアノ”との対峙、福島第一原発を囲む特別警戒区への訪問、そして自身の闘病生活。コンピュータ音楽の草分け的存在だった彼が、自然の“音”に耳を傾け、そこから導かれるように新しい音楽を生み出していく姿は興味深い限り。

彼が見つけ出す音の美しさはもちろんですが、坂本氏の音に対する真摯な姿勢はそれ以上に美しく、思わず固唾を飲んで見入ってしまいます。


タイトルの「CODA」とは、ひとつの楽曲や各楽章の終わりに、終結の効果を強めるために付け加えられる音楽用語。しかし、この映画は決して“終わり”を描いているわけではありません。

枯れることない坂本龍一のあくなき探究心を堪能出来る一作です。


Ryuichi Sakamoto:CODA
2017年11月4日から角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー
監督:スティーヴン・ノムラ・シブル
出演:坂本龍一
©2017 SKMTDOC, LLC
公式サイト http://ryuichisakamoto-coda.com/

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