横浜駅「昔ながらのシウマイ(15個入)」(620円)~駅弁屋さんの「工場」ですよ!(崎陽軒編①)

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【ライター望月の駅弁膝栗毛】

特急 踊り子

185系・特急「踊り子」、東海道本線・川崎~横浜間

思い切りモーターの音を唸らせ、横浜市内の東海道線を下っていく185系・特急「踊り子」号。
東京駅に乗り入れる最後の国鉄形車両にして、昔ながらの窓が開く車両でもあります。
窓が開く車両には、やっぱり「駅弁」がよく似合うもの・・・。
今週はベイスターズ・日本シリーズ進出に合わせて、「駅弁膝栗毛」も特別企画!
“駅弁屋さんの工場ですよ!”と題して、横浜駅弁「崎陽軒」に注目してまいります!!

シウマイ

昔ながらのシウマイ

横浜名物としておなじみの「シウマイ」。
このシウマイを手掛ける「崎陽軒」は、明治41(1908)年に横浜駅(現・桜木町駅)における構内営業の許可を得て創業しました。
「崎陽軒」の名は、創業者の1人である久保久行氏のふるさと・長崎が、当時“崎陽道”と呼ばれていたことにちなんだものといわれています。
程なく「崎陽軒」は、野並茂吉氏が初代社長に就任し、その歩みを進めていくことになりました。

シウマイ

昔ながらのシウマイ

「崎陽軒」のシウマイが誕生したのは、今の場所に横浜駅がやって来た昭和3(1928)年のこと。
この横浜駅には、地理上の大きな課題がありました。
それは東海道線のお客さんの多くは、東京で駅弁を買ってきてしまい、東京へ向かう方にとっては、列車の乗車時間が短すぎるという課題・・・。
加えて、東海道線沿線の小田原には蒲鉾、沼津には羽二重餅、静岡にはワサビ漬といったそれぞれの土地には名物がありましたが、当時の横浜には、名物と呼べるものがありませんでした。
そこで横浜らしい名物を作るべく、中華街の突き出しとして出されていたシウマイに注目。
点心の専門家「呉遇孫(ご・ぐうそん)」を招いて、列車が揺れてもこぼれにくい、冷めても美味しい一口サイズの「シウマイ」が生まれたという訳なんです。

崎陽軒

崎陽軒横浜工場

そんなシウマイが作られているのが、「崎陽軒」の横浜工場。
鉄道では東海道新幹線・横浜線・市営地下鉄の新横浜駅から路線バスで10分ほど、クルマでは第三京浜・港北インターが最寄りとなります。
この崎陽軒横浜工場で行われている「工場見学」は大きな人気を集めていて、今年8月にはリニューアルが行われました。(毎週水~土、1日4回、月末・年末年始等は休みあり)
今回はこの新しくなったばかりの工場見学を体験しながら、シウマイが出来るまでを追いました。

崎陽軒

崎陽軒横浜工場

「シウマイ」の原材料は、極めてシンプル!
特に餡は、関東地方を中心とした良質の国産豚肉、玉ねぎ、オホーツク海産の干帆立貝柱、グリンピース、塩、砂糖、胡椒、澱粉のみで、他の調味料は全く使っていないんです。
あくまでも、私自身の印象ですが、フツーに「いいもの、美味しいもの」と呼ばれるものは、総じて原材料が少なくて、シンプルな作りなんですよね!

帆立貝柱

オホーツク海産の干帆立貝柱

中でも、崎陽軒のシウマイの肝というべき「冷めてもおいしい」という特徴。
そのカギを握ると言ってもいいのが、オホーツク海で水揚げされ、加工されている干帆立貝柱です。
工場見学では、この干帆立貝柱だけ実物が展示されており、案内係の方がガラスケースを外してくれるので、自分の鼻でそのいい風味を感じることが出来ます。

シウマイ

シウマイの成型風景(崎陽軒提供)

シウマイの歴史、原材料の解説が一通り終わると、いよいよシウマイの成型風景の見学へ・・・と言いたいところですが、シウマイの要となる部分だけに企業秘密も多いもの。
今回は、通常「撮影禁止」となっている製造現場を、ニッポン放送「駅弁膝栗毛」読者の皆さんにご覧いただくために、崎陽軒から画像をご提供いただきました。

崎陽軒

崎陽軒横浜工場

成型されたシウマイは、95℃で10分間にわたって、蒸し上げられます。
蒸されたシウマイが、続々と現れる様子は壮観!
よく見ると15個のシウマイが3列並んでいて、1つのトレーに全部で45個ものシウマイが載っています。
なぜ、15個のシウマイが一つの単位になっているのか!?
シウマイ大好きなあなたは、もうお気づきですよね?

シウマイ

昔ながらのシウマイ

そう、おなじみ「昔ながらのシウマイ」の中でも、最も人気があるのが「15個入」(620円)!
「30個入」(1,230円)は、この15個入2つ分という訳なんですね。
ちなみに、1日に作られるシウマイは、およそ80万個!!!
単純に積み上げると、富士山5個分以上もの高さにもなるといいます。
不思議とこの15個というのが、1人で食べても、仲間と食べても、ちょうどいいんですよね。

崎陽軒

崎陽軒横浜工場

崎陽軒横浜工場は、たくさんのロボットが活躍する場所でもあります。
ココでは5か月の保存が効く「真空パックシウマイ」が作られていました。
真空包装機には、崎陽軒のキャラクター「ひょうちゃん」が描かれていますね。
実は「真空パック」という言葉を作って、商品に名づけたのも「崎陽軒」が元祖なんだそうです。

崎陽軒

崎陽軒横浜工場

「崎陽軒」のシウマイ作りが面白いのは、ロボットによるオートメーションが進んでいる一方で、ちゃんと「手作業」の部分も残しているところです。
特に「昔ながらのシウマイ」の6個入(300円)は、完全手作業で仕上げられます。
お店にたくさん陳列されている「シウマイ」が、このように1つ1つ愛情を込められて製造されていく様子を自分の目で見られるだけでも、崎陽軒の工場見学に参加した価値があるというものです。

崎陽軒 シウマイ

崎陽軒のシウマイ(試食バージョン)

「崎陽軒」の工場見学は、心だけでなく、もちろんお腹も満たしてくれます。
およそ1時間半をかけて全行程を巡ると、お待ちかねのシウマイ試食タイム!
もちろん、蒸したてアツアツのシウマイです!!
「昔ながらのシウマイ」と、少し大きめでジューシーな味わいの「特製シウマイ」の食べ比べも出来てしまうほか、シウマイ弁当でおなじみの筍煮、デザートの「パインキューブ」が「ひょうちゃん小皿」に載って出てきます。

シウマイ

昔ながらのシウマイ

「昔ながらのシウマイ(15個入)」のふたを開けると、あの独特のいい匂いが漂います。
崎陽軒のシウマイは、グリンピースも餡の中に練り込まれているのが特徴。
実はコレが、私は素晴らしいと思っています。
というのも私、小さい頃はグリンピースが苦手で、普通のシュウマイは苦手な食べ物でした。
でも、グリンピースが見えない『崎陽軒のシウマイ』なら食べられたのです。
しかも小さくて食べやすく、肉と一緒にいただくとグリンピースも美味しいと気付くことに・・・。
そんなところからも、崎陽軒の「シウマイ」には、親近感を憶えています。

特急 踊り子

185系・特急「踊り子」、東海道本線・戸塚~大船間

昭和3年から変わらぬレシピで作られているという「昔ながらのシウマイ」。
横浜駅は「始発・終着駅に近い途中駅」という、駅弁販売駅の中でも特に不利な条件でありながら、シウマイという名物を作り上げたことで、「崎陽軒」はその高い壁を乗り越えていきました。
今や、すっかり横浜名物となっている「シウマイ」。
次回は、崎陽軒の工場見学・続編、このシウマイを使った名物駅弁の製造過程に迫ります。

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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