大船駅「鯵と小鯛の押寿し」(1,050円)~伝統を守りながら、時代に合わせて進化する大船の味!

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【ライター望月の駅弁膝栗毛】

湘南新宿ライン

湘南新宿ライン・E233系

横須賀線・北鎌倉駅ですれ違うのは、湘南新宿ラインのE233系電車。
横須賀線といえば、かつては青と白の横須賀色の電車が殆どでしたが、平成13(2001)年の湘南新宿ライン開業以降、宇都宮線から「湘南色」の列車が逗子まで乗り入れるようになりました。
宇都宮線~新宿経由~横須賀線直通列車は、日中はほぼ毎時2本の運行となっており、そのうち1本は宇都宮線内(大宮~小山間)を「快速」として運行します。

鯵と小鯛の押寿し

鯵と小鯛の押寿し

大船軒」の押寿し駅弁といえば、かつては鯵が基本でしたが、2000年代以降は、様々なバリエーションが増えています。
その1つが「鯵と小鯛の押寿し」(1,050円)。
スリープ式の包装には、大きめの鯛に鯵が寄り添うように、温かい雰囲気で描かれています。
実は「大船軒」には、包装(掛け紙)専門に担当されているデザイナーの方もいらっしゃるんです。

鯵と小鯛の押寿し

鯵と小鯛の押寿し

「鯵と小鯛の押寿し」は、小鯵を使った「伝承 鯵の押寿し」が3カン、小鯛の押寿しが3カンの合計6カンで構成されています。
小鯛も小鯵と同じように、贅沢に「半身」を使って作られ、昆布の合わせ酢で〆られています。
もちろんこの駅弁も、大正2年以来の「関東風ににぎり、関西風に押す」基本は変わりません。
鯛が入ったことで、鯵とはまた違った食感が楽しめるのが、嬉しいですね!

鯵と小鯛の押寿し

鯵と小鯛の押寿し

「大船軒」では、取引先に魚についてあらかじめ細かくリクエストを出した上で、納入された魚を、大きさ・厚さなど、職人さんの目で厳しくチェック。
勤務して概ね20年以上のベテラン社員の方が食味も行っているといいます。
そのチェックをクリアした鯵や鯛だけが、押寿しとなるんですね。
たくさん作られる駅弁でも、1つ1つ丁寧に作られているからこそ、また食べたくなる訳です。

大船駅

大船駅付近の車窓

観音様に見守られて発展する大船の街。
駅が変わり、車両が変わり、駅弁も時代に合わせて変わっていますが、押寿しの伝統と観音様は変わらず、大船の名物であり続けています。
今や、鎌倉市内の小学校で使われる社会科の副読本にも登場している「大船軒」の駅弁。
若い社員の方の中には、学校で「大船軒」のことを学んで、入社した方もいるそうです。
誕生から1世紀あまりを経て、世代を超えて愛される地元の味になっているのです。

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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