大企業の不祥事は日本の産業界にとって大打撃

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10/9(月)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②

データ改竄のアルミ製材はMRJにも使用されている
7:02~ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター須田慎一郎(ジャーナリスト)

 

 

神戸製鋼と日産自動車の不祥事 大企業の不正はいつから増えた?

 

高嶋)須田さん、ここに来て日産自動車と神戸製鋼所が、何でこんな大会社がこのようなドジを踏むのだろうというような事件を起こして、今日の新聞には神戸製鋼の内容が詳しく載っていますが「アルミ製材などの品質データを改竄していた」ということですよね。これはよく出て来る飛行機の炭素繊維とかの東レ、あれと並んでこのアルミ製材は軽量化に寄与するというので「三菱リージョナルジェット(MRJ)」やトヨタ自動車とか、要するに軽量化する為の鍵としていろいろなところで使われている。それに10年前からデータを改竄していたという。
それから日産自動車も不適格な検査をやっていまして、資格の無い人に検査をさせて書類を出すときだけは資格のある人の印鑑を押して署名をさせて出していたという。
こういうのは例えば神戸製鋼の場合は10年前からということですが、何でその頃からこんなことをやるようになったのですかね?

須田)やはり1991年3月のバブル崩壊後、各企業共にどんどん経費削減・経費圧縮というのを進めて来たのですね。企業の部門で考えると大きく分けて2つ、生産部門と非生産部門というのがあって、簡単に言ってしまえば生産部門は金を稼ぐことのできる部門、非生産部門というのはそうではない、例えば総務や人事といった管理部門が非生産部門と言われているところなのですよ。
そうすると企業としては業績を維持しつつ経費削減をしていかなければいけない、要するに景気が悪くなって来た状況ですから。金儲けをする部門に関しては減らすわけにはいかない、そこを減らしてしまうと利益・収益が減って来ますからね。そうではなくて人件費をカットしようとすると、非生産部門の人員をどんどん削るということをやって来たのですよ。

高嶋)要するに人件費圧縮がいわゆる企業収益の要だったという。

須田)柱になっていたのですね。

高嶋)そういえばそんなニュースがいっぱいありましたよね。

須田)じゃあどこを減らすのかと言うと、生産部門を減らしてしまうと自分で自分の首を絞めることになってしまうので、必然的に非生産部門に向かった、そうするとそういったチェックだとか検査といったところにシワ寄せがぐっと行くのですね。

高嶋)分かります。検査だとか管理だとか、要するに製品の具体的なところに見えない裏側の部分の経費を削ってしまうと。

須田)だから人員は減っていく、労働時間は短縮になる。となると「ここは減らしても良いだろう」とか「これはあまりしたくないけども、こいつにチェックさせても大した問題にはならないだろう」という部門の中でのやり繰りが行われてしまうのですね。

高嶋)なるほど。そこで神戸製鋼はデータの偽装をし、日産自動車は無資格検査というのをやったと。

一連の不正は経営者の判断ミス 大企業の不祥事は日本の産業界にとっても大打撃


須田)まあ経営者からすると当然そういったことは起こって来るだろうということはやはり予想していなければいけないのですよ。だってこれは容易にイメージできますからね。だから私は思うにこれは経営者の判断ミスということですね。経営判断ミスだと思います。

高嶋)経営者は当然分かっていただろうと。

須田)そうならないようにする為に体制を整えるのが経営者が経営者たる役目なのですよ。それをやらなかったということで社長以下経営陣は深く反省するべきではないかなと。

高嶋)まあそう言われても仕方が無いですよね。だけど神戸製鋼の場合は200社に出荷していたというでしょう。それも見るともう世界に冠たるすごい企業ばかりですよ。ここで信用を落したらこれは相当なマイナスに繋がりますよね。

須田)ダメージになりますし、先程冒頭に高嶋さんにも言っていただいたように、アルミ製材というのはMRJなどに使われています、炭素繊維と並ぶような新素材と言われていて、“ポスト鉄”と言われているのですよ。つまりそういった意味で言うと、これから日本がそこに重点を置いていかなければならないという重要な部門なのですね。そこで躓いてしまうとこれは神戸製鋼のみならず、日本の産業界にとっても大きな痛手になって来るのではないかなと思いますよ。

高嶋)日産自動車なんかもリコールの対象というか、車検をタダで調べ直すというようなことをやっていますけど、あれは何百億も掛かりますよね。

須田)おっしゃる通りです。だから人件費を減らしておいてリコールでそれを上回るコストを掛けていたら意味が無いだろうということですよ。

高嶋)本当にそうですね。まあこうなってみると誰しも気が付きそうなことだけども、当面の数字を見ている経営者はどうしても近視眼的になってしまうということですかね。

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