公明党と希望の党の連立もある!?佐藤優

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10/5(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!①

“常に与党にいる”のが公明党の発想
6:31~ニュースやじうま総研!ズバリ言わせて!:コメンテーター佐藤優(元外務省主任分析官・作家)

公明党

公明党Facebookより

公明党~自分たちの価値観を実現するためには与党でなくてはならない

10月10日の衆院選の公示まで、1週間を切りました。「自民・公明」、「希望・維新」、「民進左派・共産・社民」の3極で争うと予想されています。今回は、その中でも与党の重要なカギを握る公明党について佐藤優さんに聞きます。

高嶋)衆議院選挙の公示まで5日。与党の公明党が、選挙終了後も含めてどう動くのか、非常に注目されるところです。佐藤さんは公明党をよく研究されていますが、いまの公明党の胸の内を正直に語っていただくと、どんな感じですか?

佐藤)公明党や、支持母体の創価学会の人に会って実際に話を聞いたわけではないですが、公明党としては、いま何よりも考えているのは、常に与党でいることだと思います。

高嶋)常に与党?

佐藤)「常に与党にいる」ということは、「マキャベリズム的に、手段を選ばずに権力を握る」という発想よりも、「自分たちの価値観が実現されるためには、野党ではダメ」という発想からです。与党というのは、国政だけでなく、都政にも、各県の県政においても、与党でいるということです。それによって自分たちの価値観を実現する、というところから組み立てていますね。
それから、政策的には、右でも左でも、エキセントリックなものは嫌いです。たとえば安倍政権は憲法改正を思い切りやろうとしていますが、公明党代表である山口那津男さんからは、そんな雰囲気は出てこないでしょう? なぜなら、安保法制があれば憲法改正はいらないからです。与党だから文句は言えないけれど、「自民党が強調する点を強調しない」という形で、彼らは意志表示しています。

“与党になるための野望の党”が希望の党

高嶋)私は驚いたのは、公明党の大幹部が、今回の22日の総選挙が終わって、もし希望の党と「連立を組むかどうか?」とになったら、「当然、考える」と。もう当たり前のように言うのですよ。

佐藤)私には全然、意外性は無かったですね。だって、希望の党の本質は何かというと、これは、みんな逆で見ていますから。実質は「前原民進党」ですよ。前原民進党的な発想というのは、別に公明党とそんなに離れていないですから。ですから、その意味において、希望の党というのも、ある意味では選挙互助会というか、あるいは「与党になるための野望の党」なのですよ。その観点から見ると、「与党になる」という相互の目的というのは、公明党と非常に近い。

高嶋)ということは、公明党は、そのような視点で見れば、実に分かりやすいですね。

佐藤)分かりやすいです。それから、「自民党がきちんと票を公明党に出せるか?」ということですよ。小選挙区では自民党が協力しますが、そのかわり、比例区の1部は「公明党が書け」ということですが、いま自民党は、東京では焦りがあるでしょう? すると、「約束通りに公明党に票を回せるの?」と。これはやはり公明党が気にしていると思います。

高嶋)かつての都議会のドンである内田さんが、「希望の党が出てきたので、もう小池もおしまいだ」と周りの人が言ったのに対して、「お前らは本当の小池の怖さを分かっていない」と一喝したようです。

佐藤)それは確かにそうだと思います。小池さんは小池さんで、自分で生き残りを考えて必死になっていますからね。

高嶋)「都民ファーストの会」で音喜多駿さんと上田令子さんの2人が反旗を翻しましたが、何らかの動きになっていきますか?

佐藤)ならないですよ。政局が見えていないだけです。新聞だけ読んで、「もう小池も終わりじゃないか。早く逃げよう」とかして、行き場所がなくなるだけです。

高嶋)だけど、相当の言論統制とかがあるようですね。ああいうのは。

佐藤)裏返して言うと、それはその組織の弱さですね。強い組織は多少のことを言っても大丈夫なのですよ。弱い組織の特徴ですね。統制が厳しいというのは。

高嶋)まだそこまで、議員の自由な発言に任せるほど、成熟はしていない。

佐藤)そうです。もっとも、ぽろぽろ自由な発言が出てくるのは、組織がしっかりしているから多少のことは許す場合と、まったく壊れていて、組織が機能していない場合と両方あるから。見た目はよく似て見えますけどね。

太田昭宏 山口那津男

公明党の太田昭宏氏(右)の応援に駆けつけた山口那津男代表=2017年10月2日午後、東京都北区のJR赤羽駅前 写真提供:産経新聞社

公明党を観察していけば、政局の力関係も把握していくことができる

高嶋)ということは、公明党の、今度選挙にかける本音は、どの辺にありますか?

佐藤)本音は、「いまは全力をあげてやる。そして、出た結果を見て、あとは考える。明日のことは今日考えないで、一生懸命やる」ということですね。

高嶋)小池さんと同じようなことを言っていますね。

佐藤)でも、そこは小池さんがそういうルールでいまの政治を始めてしまったので、本気で政治をやっている人はそうですよ。「次の次」みたいなことを仮に言う人がいるとすれば、これは終わってリセットですね。こんな感じだと思います。
ただ、面白いと思いますよ。こういう形で分かりやすく、常に与党でいることを狙っている政党があるということは、そこの政党を見ていれば、政局の実態の力関係がどこか、よく分かるわけですから。公明党が「希望の党なんて関係ない」というような姿勢をしていれば、「希望の党は対して伸びないな」と分かる。

高嶋)寄らば大樹の陰と言ったら失礼ですが、人間の生き方にも通じるところがありますね。

佐藤)決して悪い生き方ではないと思いますけどね。寄らば大樹の陰ですが、「どうやって現実に影響を与えるか?」というリアリズムとも言えると思います。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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