冒頭解散~安倍首相の狙いは「今なら勝てる」?

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9/25(月)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③

野党一本化の可能性はあるのか?
7:10~ やじうまニュースネットワーク:コメンテーター 須田慎一郎(ジャーナリスト)

安倍晋三

【安倍首相米国へ出発】報道陣の囲み取材に応じる安倍晋三首相=2017年9月18日午後、羽田空港 写真提供:産経新聞社

安倍首相、本日記者会見 小池新党へ相次いで参加表明

安倍晋三総理大臣は今日総理官邸で記者会見を開き、臨時国会冒頭の今月28日に衆議院を解散する意向を表明します。

その後の自民党の臨時役員会、公明党の山口那津男代表との自公党首会談と。政府与党間での環境整備を得て会見ということになりそうです。安倍総理大臣は、週末は菅義偉官房長官や岸田文雄政調会長と相次いで会談しました。とくに岸田政調会長とは選挙公約の取りまとめを急ぐように指示しております。いろいろ公約はありますけれども、一番注目されているのはやはり消費税増税の扱いです。増収の分を国の借金返済から子育て支援策に振り替えることを訴えることにしております。

一方野党は「森友・加計学園問題隠しである」「大義なき解散である」として批判を強めております。民進党の前原誠司代表は「総理は結局逃げているのではないか」と党の会合でこう発言しました。また国会冒頭の解散については「憲法違反の疑いがある」として総理大臣の衆議院解散権に歯止めをかけるという憲法改正を目指しております。

そして東京都の小池百合子知事の側近、若狭勝衆議院議員と細野豪志元環境大臣が結成を目指す新党、仮にこれを『小池新党』ということにしておきますけど、候補者擁立に向けた準備が急ピッチで進められています。発足時のメンバーは7人ということで固まっているようです。長島昭久、笠浩史、木内孝胤、行田邦子、松沢成文の各議員に先程申し上げました若狭議員と細野元環境大臣を含めた7人ということになります。

これに小池知事がどう関わってくるかで選挙の景色も大きく変わってくるというわけです。その動向が大きく注目されているわけですが、小池知事は都知事と新党との関わりについては「矛盾するものとは思っていない。どの方法が一番良いのかと模索していきたい」と話しておりまして、関わり合いに含みを持たせております。

こうした中、新党合流への動きも出ておりまして、先程の7人とは別に『日本のこころ』の中山恭子代表が新党に参加する意向を表明しました。また民進党の松原仁元国家公安委員長も離党して新党に参加することも含めて対応を検討しているということです。民進党の元東京都連会長でもある立場ですから、もしこれが現実になりますとまた離党ドミノということになりかねないと。

高嶋)産経新聞によると柿沢未途さんも入っていますね。

畑中デスク)民進党の東京の勢力というものにも大きな影響を与えるというふうに思われます。そして自民党でも福田峰之内閣府副大臣も新党参加を表明しているということで、福田さんは副大臣のポストでありながらの離党なので、この辺り少なからずショックを与えるのではないかと見られています。

中山恭子

小池百合子都知事らと会談し、取材に応じる日本のこころの中山恭子代表(左)と中山成彬氏(前衆議院議員)=2017年9月24日午後、東京都新宿区 写真提供:産経新聞社

「今だからこそ勝てる」民進党離党ドミノ~小池新党結成前

高嶋)小選挙区は一旦風が吹くと、片方に傾く傾向がありまして。今までも大勝するケースはありました。今回素人目で見ていると、安倍さんは都議会議員選挙で小池さんに完膚なきまでやられてから、小池新党がまとまる前に一気に解散に打って出ようとするのが本音だと分析する人がいますが。須田さんは何が一番の本音だと思いますか? 憲法改正や消費税だとか後で付けることはいろいろありますけど。勝負ということになるとどこにありますか?

須田)今だからこそ勝てると思ったのでしょうね。小池新党の問題もあるでしょう。あるいは民進党の離党ドミノがあって、しかも幹事長候補が辞任し離党したこともあって体制が固まっていない。さまざまなところから見て「やるのだったら今だろう」ということだと思います。

高嶋)大方が言うには、自民党は議席を減らすと。増えるなら別ですよ。かなり減らすよと。それでなおかつということはどういう理由ですか?

須田)小選挙区制で前回の2014年の選挙を爆勝ちして291議席も取ってしまいました。ですからいつやっても議席数は減らすことになります。自民党が情勢捜査をしたところによれば、まだまだ安倍政権が40%台の内閣支持率があった時代でもマックス最大で47議席減らすという数字がでていました。

高嶋)そんな数字がもう出ていたのですね。

須田)その後、森友・加計問題が起こり、支持率が下がってきたのでもっと減らすだろうと。今支持率は若干回復基調ですが、それでも40から50は減らすということを前提に選挙戦は考えているだろうと思います。

高嶋)そうすると過半数を超えればいいという話ですか?

須田)自公で分立しても3分の2は大きく割り込むことは想定済みです。

高嶋)一言で片づけて欲しいのですが、憲法改正はもうやめたということですか?

須田)いやどうも取材をしているとそうでもなくて、野党でも改憲勢力はあります。『日本維新の会』がその代表格です。小池新党がどうなのかを見ていくと、憲法改正には相当前向きではないかなと。中山恭子さんも入ってきますからね。ですから自公と日本維新の会と小池新党で3分の2を確保すると。

高嶋)それは心配ないといっているわけですか。

須田)そういうところを目指していくと思います。

野党は大同団結できるのか?

高嶋)対する野党はいかに連合できるかということで、キーは共産党です。そして民進党がどんな手を打っていくのか。今日の読売新聞によると、2014年の総選挙のときの野党候補を一本化して得票数を合算したところ、59の選挙区で逆転勝利する計算となったとあります。うまくいけば、民進党も共産党も自由党もありとあらゆるものが大同団結する気配があると。その辺はどうですか?

須田)民教共闘に踏み込むと思いますが。がっちり手を組むと、応援カーの上に志位共産党委員長と前原代表が並び立って選挙戦を戦うという構図になります。確かに民進党の左派は拍手喝采でしょう。ただ民進党の保守のほうはよしとするかどうなのか。それをやってしまうと今度は民進党が割れてしまう可能性が高くなります。

高嶋)前原さん自体のアイデンティティが問われますよね?

須田)そうです。前原さんとしてはその辺をかっちり決めてこないのではないかなと。ただ決めてこないと逆に熊本の民進党の県連は共産党との共闘を勝手に決めてしまいました。それに対して前原さんは相当不快感を示していますので、地方の県連単位でドミノのように、共産党との連携を踏み切る動きも起こりかねない。民進党にとって現状はまた裂き状態ということになっていると思います。

高嶋)産経新聞が上手い表現をするなと思いましたが「民進前原氏 知らんぷり共闘」と。

須田)知らんぷりだと共闘とは言えませんよ。これは有権者に対する裏切り行為だと思います。

小池百合子

日本のこころの中山恭子代表らと会談し、取材に応じる小池百合子都知事=2017年9月24日午後、東京都新宿区 写真提供:産経新聞社

小池百合子の影がちらつく中、今後の政界はどう動く?

高嶋)今日総理が解散表明をする。所信表明もせず冒頭解散だと過去に3回自民党が勝っているというデータがありますが。小池さんがこれに乗るということは絶対ないですか? 乗るというのは都知事を辞めて、新党の代表になって。

須田)それはないと思います。都政を放り投げたと逆風が吹きます。

高嶋)みんなそういいますけど。ご本尊は小池さんですよ? 絶対にやりませんか?

須田)共闘代表に就くことはあっても、自らが出てくることはないと思います。高嶋さんがそこまでいうとは、何かありましたか?

高嶋)勝負勘など、すごいものがありますから。森友・加計については8割くらいの人が「総理はちゃんと答えていない」とまだ言っているわけですよ。何も明らかにしないで冒頭解散でしょう? 勝ったら「信任された」ときっと言うでしょう。そのときに選挙民の民意や本音を小池東京都知事はどう読むかなと思いましたが。それはないですか?

須田)確率は低いでしょう。

高嶋)最後にこれから先の政界の動きでどんなところが目立ちますか?

須田)最大の焦点は繰り返しになりますけど、憲法改正になってくると思います。小池新党がその点についてどう答えるのかを注目。ですから安倍さんとしてはもう一回憲法改正に対してリセットという状況になってくると思います。

高嶋)畑中デスクはどうですか?

畑中)今回の選挙は勝てる選挙というよりも、負けない選挙を安倍さんは目指しているのではないかなと思います。

高嶋)森友・加計みたいな小石は躓きの元になるような気がします。総理の信任投票の側面も強まる気がします。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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