訪日外国人観光客増加で考える観光バスの問題 【ひでたけのやじうま好奇心】

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爆買いの中国人をはじめとする昨年度の訪日外国人観光客数は約2,000万人。
強気の安倍総理は、これを「2020年に4,000万人にする!」と言っていますが、そんな中で、課題となっていることの1つに「観光バス」があります。

例えば、皆さんもご存知の「違法駐車・駐車場」の問題。
乗降待ちの観光バスが二重三重に駐車して、車線を占拠しているケースもあり、迷惑な観光バスが交通渋滞、歩行者の危険にもつながっています。

通常、観光バスは乗客を降ろした後、周辺の駐車場に待機し、集合時間に戻ってきて、集まった客を乗車させて次の目的地に移動するのですが、困ったことに、買い物に出掛けた観光客が集合時間に戻ってこないケースが続出。
客の帰りを待つうちに次のバスがやってきて、どんどんバスが溜まっていくんですね。
このあたり、観光客のモラルの問題で、一向に改善しません。
また あまりにも多くの観光バスがやってくるため、駐車場が満杯になり、駐車禁止の道路沿いにバスを待機させるケースや、集合時間までグルグルと道路を走らせるので排気ガスの問題なども出てきています。
結局のところ、バスの数に駐車場の数が追い付いていないんですね。

観光地や自治体、警察などが連携し、周辺の駐車場へ移動するように声をかけたり、取り締まりを強化したり、観光バス用の駐車場を増設したりと 様々な対策をとっていますが、現状では「いたちごっこ」になっていると言わざるを得ません。

そんな中、具体的な対策として動き始めているのが台東区の浅草地区。
今年度中に都内で初めて、バス専用の駐車場の事前予約システムを導入します。

現在、浅草地区周辺には4ヶ所に57台分のバス駐車場がありますが、これまでは予約なしで 先着順に使える仕組みをなっていました。
そのため、駐車場が満車になると、あふれたバスが路上駐車をしたり、周辺を周回するので、混雑に拍車がかる状態が続いていました。
そこで、予約システムを導入し、事前に駐車場や乗降所をバス会社が確保させることで、バスを周辺4ヶ所の駐車場に分散。
さらに駐車場の満車状態を知らせることで、観光バスがやってくる時間帯も知らせることができるようになります。

都心部の場合、駐車場の用地を新たに確保するのは難しいですから、このような予約システムを導入することで「観光バスをコントロールする」という考え方が必要なのかもしれません。
ほかの都市部の地域も、この取組には注目をしているそうです。

そして「観光バス」にかかわる問題。もう1つが「深刻な運転士不足」です。
国土交通省によると、バス運転手の数はこの10年間、約12万人で横ばい。
しかも6人に1人が60歳以上で、高齢化が進み、今後は減少していく一方と言われています。
「観光客は増えているのにバスの運転士がいない」状況なんです。

運転士が不足している理由の1つは、バスの運転に必要な大型2種免許の保有者数。
保有者数は、この10年で112万からら101万人に減少していて、なかでも40歳以下は全体の10%。
若い人が所有していない現実があります。
大型2種免許は、取得する際に「21歳以上」「3年以上の運転経験」などの条件があり、費用もそれなりにかかるので、取得するのに結構ハードルが高いんですね。

最近は各バス会社で、大型2種免許を取得のための技術的・金銭的なサポートを充実させていて、免許取得にかかる費用を一部負担したり、助成金を出したりして、若い運転士を育成・確保する取組が増えてきています。

バス会社としては、運転士を確保できていないと、観光バスの増発ができなくなり、外国人観光客が増えても対応ができません。
特に2020年を見据えると、今のうちに若い運転士を確保しておかなければ、ビジネスチャンスを逃すことになります。

また運転士の確保でいえば、「女性」の運転士を増やす試みも増えています。
男の職場とされるバス業界を見直し、「女性限定の大型バス運転体験」を実施したり、育児休暇・介護休暇などの制度を作って、女性でも働きやすい環境を整えたり…何とかして運転士を確保しようという試みが行われています。

最近は、バス会社の間で、「運転士争奪戦」も起きていると言われます。
新人を育成するよりも、以前の会社よりも良い給料で経験豊富な運転手を引き抜くという争奪戦です。
ヘッドハンティングといえばそれまでですが、それを続けても、根本的な運転士不足が解消されるわけではないですよね。

観光立国を目指し、安倍総理も笛を吹いていますが、実際に訪日客をさばくことができるのか。
観光バスのような現場の問題もしっかりと考えなくてはいけませんね。

※写真はイメージ

6月9日(木) 高嶋ひでたけのあさラジ!三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より