「夢は見るものではない。自分は、力士。土俵で表現する。」大関・稀勢の里(29歳) スポーツ人間模様

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7月10日愛知県体育館で初日を迎える名古屋場所まで約1か月。
焦点は今場所も綱とりがかかる大関、稀勢の里でしょう。
5月30日からすでに始動、1週間、シコ、テッポウ、ストレッチだけでじっくり体づくりを行い、今月7日から土俵でのけいこを再開しました。

一方、横綱昇進のためには絶対に倒さなければならないのは、やはり白鵬でしょう。
大きな壁となっている上に、稀勢の里のことになると、嫌味ともとれる発言を結構している。

「日頃の行い。本気で戦っていない。相撲ひと筋ではだめだ。もっと世界を広げないとね。」

育ての親ともいえる、先々代の鳴門親方(元横綱隆の里)は現役時代、土俵の鬼ともいわれた二子山親方(元横綱初代若乃花)の薫陶を、もっとも受けた力士。
その教えを厳格に自身の弟子へも伝えています。

「慣れあいはすべからず」。

出げいこを禁止して、ひたすら相撲道へまい進することを実践しました。
よく、本場所で勝った力士がにっこりとほほ笑む、勝った力士が付け人とグータッチするなど、先々代からすればとんでもないことです。
若い弟子には、うどんやそばを打つこともひとつの修行として行わせた。
とりわけ隆の里は、中学時代から目をかけられ、今日があるといえるでしょう。

「相撲あっての自分。相撲があって、ここまできた。場所中は、ずっと相撲のことだけを考えている。」

寡黙で多くを語らない、それが魅力といえば魅力。
ただし、揶揄されるのは、豆腐のようだといわれるメンタル。
夏場所も、白鵬とのここ一番での勝負に敗れたものの、緊張してイライラした際の、目をぱちぱちするクセが大幅に減少したといわれています。
関係者の多くは、気持ちに余裕が出てきたのだろうと分析。

2場所連続の13勝をあげているのですから、なるほど以前とは違う。
それだけに、人気面も考慮して昇進の話も出ていました。
勝ち星だけでいうと過去、柏戸が前3場所、10勝5敗、11勝4敗、12勝3敗で横綱になっています。
でも、隆の里には優勝が1度もなし。
実際に、優勝がなく昇進した照国などの例があるものの、双羽黒の一件から昇進が厳格になった。
また、年齢的な問題も取りざたされています。
30代で昇進した横綱は、短命に終わるケースがある。
琴桜、三重の海は在位8場所で引退。

7月3日、30歳の誕生日を迎える隆の里は、そういった不安まで払しょくしなければなりません。
名古屋場所で優勝すれば文句なし、心強いデータもある。
過去、1場所昇進を見送られた大関は、貴乃花など4人。
ところが、全員、その後、横綱になっている。
夢は見るか?という質問を受けた隆の里は

「夢は見るものではない。自分は、力士。土俵で表現する。結果を残していない以上、何も言えることはない」

と話しています。
稀勢の里、ぜひ、横綱になって欲しいですね。

(原文)青木政司

6月10日(金) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」