藤原和博さんに聴く!プログラミング教育

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藤原和博さんに聴く!プログラミング教育

2020年に行なわれるのは、東京五輪パラリンピックだけではありません。他にも色々重大な出来事が起きるんです。
きょう取り上げるのは、2020年の4月から小学校で、必修化されるという「プログラミング教育」。私には、さっぱり分からないのですが、どういうものなのか?

そこで、けさは、奈良市立一条高校で、プログラミング教育を取り入れている民間企業出身の校長先生、藤原和博さんにお話をうかがいます。

≪藤原和博プロフィール≫
1955年東京都生まれ。奈良市立一条高等学校校長。東京大学経済学部卒業後、リクルート入社。メディアファクトリーを立ち上げる。小中学校の教育改革に関わり、2003年東京都で民間人初の公立中学校長に就任。正解が一つではないテーマをブレストやディベートしながら思考力や判断力を鍛える「よのなか科」を創設。

ベネッセ賞、博報賞、文部科学大臣賞などを受賞。著書に『10年後、君に仕事はあるのか?』(ダイヤモンド社)、『つなげる力 和田中の1000日』(文藝春秋)など。

http://www.yononaka.net/

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Q.一条高校では先んじて、プログラミング教育を始めているそうですが、そもそもプログラミング教育とは?

藤原)高嶋さんや私たちの子供時代には「未来」はコンクリートと鉄の塊で現れましたよね。高速道路が出来て車がガンガン走るようになって、ビルがニョキニョキ立ち上がって、大型の旅客機が飛んで、新幹線がどんどん早くなって、大型客船が就航して・・・というように。

でもこの10年、スマホで世界の50億人(現在20億人)がつながる「未来」では、世界の半分はネットの中に建設されます。ネットの中に都市が建設され、AI武装したロボットが繋がりサービスが革新されていくからです。

土木の建設労働者の代わりに必要となるのは、プログラミング言語を読み取って、AIやロボットをキーボードで動かす様々な種類のプログラマー。AIロボットに奪われる仕事がある一方で、新しく生まれる仕事が多数あり、そのうち一番量が必要なのはネット内の土木作業員であるプログラマーということになります。

Q.誰が教えるんですか?

藤原)システムエンジニアやプログラマー、専門の指導者を学校に送り込む形になると思います。実際、奈良市立一条高校では、授業ではなく、クラブ活動なんですが、私がかつて勤めていたリクルートから2名プログラミングに詳しい人間を派遣していまして、図書館の片隅でやっております。

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Q.小学校で必修化されると、子供から大人まで、誰もがプログラミングに詳しくなる時代が来るんですね?

藤原)それは、違うと思います。プログラミング言語を覚えて高度にやれるのは一部の子だと思います。向き不向きがありまして、実は自閉傾向のあるような子が夢中になっているケースがありまして、そういった子供を徹底的に鍛えると、天才プログラマーになる可能性があるんです。

英語もそうだったと思うんですけど、向かない子に押し付けると、地獄になってしまう。必修にすべきなのは、むしろ論理思考を鍛えるという形。

たとえば、ある問題が起きた時に、物事を整理して流れ図で考えるフローチャートを描けるとかですね。これよりも、この方が優先順位が高いとか。論理思考を鍛えて行くにはふさわしい。そういうレベルのものと、もう1つはロボットやAIを動かせられるプログラミングを組める人材を育てる事と2つに分かれると思います。

さらに、統計を分析して隠された事実を発見するようなデータマイニングができる人材は高給取りになるでしょう。データや統計が読める人材が強くなる時代。そうやって、レベルごとに、わかれて行く。

みんなにプログラミング言語を覚えさせようというのは僕は明らかに無理があると思います。

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Q.プログラミング教育を受けておかないと、時代から取り残されてしまうんですか?

藤原)いや、その手前で論理的な思考を鍛える為に、小学校で言えば、象とウサギと亀とイルカとマグロがいたら、どのような仲間分けができますか?・・・というような問題からでしょうね。哺乳類が象で・・・大きいのが象とマグロかなみたいな。

こういう「分類」を繰り返して、「同類」を見極めグルーピングし、その共通点に対して名前をつけたり、逆に何が「異質」なのかを判別することを繰り返すと、頭の中に論理的な思考回路ができますから。

こういった論理的な教育が日本は弱いので、そういうところから始めたら、これは万人に効くと思います。

藤原和博さんに聴く!プログラミング教育

Q.2020年という時期は、海外から比べると早いんでしょうか?

藤原)インドなどから比べますと、遅れめでありますが、ロボット産業では日本はリードしているので、間に合うと思います。

将来、ロボットは中国の人口を超すかもしれませんので、外国語を勉強するような感じで、プログラミング言語を学べばいいのではないでしょうか?

 

ありがとうございました。2020年4月から小学校で始まるプログラミング教育について、奈良市立「一条高校」の校長先生、藤原和博さんにうかがいました。

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9月22日(金) 高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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