10時のグッとストーリー

廃業寸前のかまぼこ店を受け継ぎ、 見事復活させた二代目社長のストーリー

番組スタッフが取材した「聴いて思わずグッとくるGOODな話」を毎週お届けしている【10時のグッとストーリー】

きょうは、廃業寸前に陥った家業のかまぼこ店を継ぎ、新たな取引先を開拓。逆境を乗り越え、東京進出も果たした二代目社長の、グッとストーリーです。

笹田蒲鉾店

笹田蒲鉾店 徳島県庁から昭和町方面に約400m 緑色の看板が目印です

瀬戸内海・紀伊水道・太平洋…三つの海に囲まれた、徳島県。新鮮な海の幸に恵まれたこの土地で、獲れたての魚を使って、おいしい練り物製品を作り続けているのが、今年で創業50年の、有限会社・笹田蒲鉾店です。中でも一番人気は「だるまちくわ」。もちもちした弾力、フワフワした食感のとりこになる人も多いとか。

「ウチは魚を、機械を使わず、全部手でこねているんです。この食感は機械じゃ出せません」

と言うのは、笹田蒲鉾店の二代目社長・笹田圭一(ささだ・けいいち)さん・55歳。現在、10種類の商品を製造していますが、地元だけでなく全国からお客さんが訪れます。

笹田圭一

笹田蒲鉾店の二代目社長・笹田圭一さん 楽しい笑顔で人柄が伝わってきます

ちくわは、多い日で1万本を作るという笹田さん。エソやグチ、ハモなど、その日に獲れた魚を職人さんたちがすり身にし、手で練り込んでじっくりと焼き上げます。「手間と時間をかけても、美味しいものをより安く提供する」…それが、創業者の父・弘さんから受け継いだ社訓。

「昔はどこの店も、全部手でこねていたんです。人手不足でどこも機械に頼るようになって、こんな手間のかかることを今でもやっているのは、ウチだけなんです」

と言う笹田さん。朝から晩までちくわを焼き、ごぼ天などを大きなフライヤーで揚げているので、工場の中は常に暑く、冷房を入れても、焼け石に水。

「この夏は最高57℃まで行きました。たまらなかったけど、もう慣れっこです」

と笑う笹田さん。それもお客さんのためと思えば、ちっとも苦にはなりません。

笹田蒲鉾店

ひと手間かけてじっくり作ります とても大事にしていることは、食感!(笹田蒲鉾店HPより)

二代目社長としてお店を大きく発展させた笹田さんですが、もともと家業を継ぐ気はまったくなかったといいます。若い頃はアルバイト生活で職を転々とし、仲間と遊び歩いていましたが、見かねた父・弘さんに「ウチを手伝え!」と言われ、渋々働いていました。

そんなある日、偶然会った昔の遊び仲間が、立派な社会人になっているのを知り「このままじゃダメだ」と一念発起。練り物作りに真剣に取り組み、研究を重ねるうち、だんだん仕事が面白くなっていきました。

そんなとき、笹田さんに思わぬ苦境が襲います。1998年、明石海峡大橋が開通。徳島を訪れる観光客が増え、地元の商店も恩恵を受けるかと思いきや、都市部から大型店が相次いで進出。価格競争に敗れた地元の小売店や、個人店がどんどん潰れていったのです。

長年の取引先を次々に失った笹田蒲鉾店も、売上げが3分の1に激減。笹田さんは。父の弘さんからこう告げられました。

「お前がここを継ぐなら、すべて任せる。どうだ、やってみるか?」

フィッシュカツ

スタッフの方々が一生懸命、徳島名物フィッシュカツを製造しています

2005年、弘さんは一線を退き、笹田さんが二代目社長に就任。苦境を脱するため笹田さんがまず始めたのは「飛び込み営業」でした。百貨店、サービスエリアから、街の小さな商店まで徳島中を廻りましたが、門前払いばかりで、新規に商品を置いてくれるところはなかなか現れない辛い日々・・・。

「それでも、味に自信はあったんで、『絶対受け入れてもらえる。諦めず、前へ前へ進んでいこう』と、へこたれずに営業を続けていました」

と言う笹田さん。そんな地道な努力が、ついに実を結ぶ日がやって来ました。ある日、飛び込みで入ったスーパーの店長と意気投合。その店長の紹介で、系列の各店にも笹田蒲鉾店の商品を置いてもらえることになり、取引額は一気に10倍に拡大したのです。

さらに、オープン前から何度も足を運び、断られ続けたJAの産地直売所も、ついに根負けして商品を扱ってくれることに。口コミで評判が拡がって、取扱店は県内20店舗にまで増えました。

笹田蒲鉾店

もちもち感の秘訣は手こね製法 当然、天ぷらも手こねで一つ一つ丁寧に(笹田蒲鉾店HPより)

みごと、経営の立て直しに成功した笹田さん。しかしまた試練が訪れます。2014年11月26日、父・弘さんが他界。そして同じ日に、大恩人であるスーパーの店長も亡くなったのです。

「親と兄弟を一緒に亡くしたようなショックで、しばらく落ち込みました」

という笹田さんですがこれも「自立しろ」というメッセージかもしれないと、東京進出を決意。おととし、全国各地の地方グルメが軒を並べる、浅草の商業施設「まるごとにっぽん」に出店を果たし、売り上げも好調です。

「だるまちくわを食べて『昔食べた、懐かしい味がする!』と喜んでくれる人がいるから、ここまでやって来られました。これからも伝統を守りつつ、新しい挑戦を続けていきますよ」

笹田蒲鉾店

名物のだるまちくわ(上)他にも笹田蒲鉾店にはこんなにたくさんの美味しそうな商品があります(笹田蒲鉾店HPより)

笹田蒲鉾店

ショッピングサイトで通販もしております こだわりの味をいかがでしょうか(笹田蒲鉾店HPより)

【10時のグッとストーリー】
八木亜希子 LOVE&MELODY 2017年9月23日(土) より

八木亜希子,LOVE&MELODY

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