あけの語りびと

アノ骨董品店の街で古き良きものを愛でる骨董店主

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それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。
上柳昌彦あさぼらけ 『あけの語りびと』

骨董品

赤い郵便ポストとのれんを越えて。さあ、何が待っているのでしょう?

北海道の旭川市~と聞くと、どんなイメージが浮かぶでしょうか?
ベストセラー『氷点』の舞台になった極寒の地。「ペンギンが飛ぶ動物園」として注目を浴びた旭山動物園。ま、いろいろなイメージがあるでしょうが、豊富な品物を並べた「骨董品店の街」と答える方は少ないでしょう。

湿度が低く、冬は全てのものが凍り付いてしまうほどの寒さ!カビや虫などが生きにくい気候は、骨董品も傷むことが少ないとされます。古い物を大切に扱うために、旭川のような環境は商売に最適!そんな理由から骨董品店が増え、「旭川骨董市」というオークションも、この街で行われ、大きな骨董店が10店舗以上も並んでいます。

北口誠二

今回の主人公は『お董姫』の店主・北口誠二さん

北口誠二さんが骨董に目覚めたのは、ちょうど40年前。自動車会社の人事異動で旭川に来たのは23歳の時でした。その後、自分で会社を立ち上げ、店を開店したのは2003年。店名は、骨董の「董」に「姫」と書いて「お董姫(とひめ)」と名づけました。

『お董姫(とひめ)』の建物からこぼれだしそうに陳列されている品々は、赤い郵便ポスト、店のディスプレイ用の人形、様々な看板~などなど。

お董姫

北海道の旭川市にある『お董姫』の外観

そして店内に足を踏み入れれば、昔なつかしい飲み物のビン、お菓子の缶、昭和20年代の街路表示板、駅舎や蒸気機関車にかかっていた各種表示板、旧型テレビ、ラジオ、柱時計、置時計、大皿や食器、レコードに至るまで、忘れていた時間が今すぐにでも動き出しそうな物たちが、天井までギッシリ!

かつてこの店を取材した新聞記者は、見出しにこんなタイトルを付けました。『骨董 お宝ジャングル お董姫』

骨董品

ところ狭しとひしめき合っている“あの頃の”骨董品たち

ご主人の北口誠二さんは、帯広の農家のお生まれ。少年時代から、テレビに強い憧れを抱いていたといいます。ですから、店を開いた当初は、九谷、伊万里などの焼き物とともに、ブラウン管テレビなど、古い家電製品ばかり集めてしまったそうです。

建物の内外にあふれる暮らしの文化財。人々の営みの証し・・・。それにしても、骨董品の何がそんなに北口さんを引き付けるのか?ズバリ! うかがってみました。

「昔のものにはロマンを感じるんです。たとえば、ホーロー引きの看板一枚でも手にすると、時間がゆったり流れる感じがします」

骨董品

好奇心をくすぐる景色。懐かしのあんなものやこんなものがいっぱいあります

北口さんのお話は続きます。

「昔の看板に書かれている「言葉」が好きなんです。日本一、世界一、一番、一等賞! ピタリと治る! 何よりもうまい! どんな言葉も元気が良くて前向きでね、明日につながる力が伝わってくるんです」

今のように誇大広告や虚偽宣伝など、きびしい規制の無かった時代、看板を作るものは、思いのままにパワーがある言葉を選んで、それを自由に並べることができました。そんな時代の大らかさ、ゆるやかさに、北口さんは強く引かれるといいます。

骨董品

こんなにたくさんの“あの時代の”看板がひとところに大集合!

無理を言ったり頼み込んだりして仕入れたものは一つもないそうです。それを使っていた人と、十分に話し合い、本当に手放してもいいという気持ちを確かめてから、仕入れてくるという北口さん。他には二つとないものを手にしたときの喜びと充実感を伝えるために、その品物を店内に並べる。北口さんは、こんなふうにもおっしゃいます。

「小さな石ころを蹴飛ばすだけじゃなく、蹴飛ばした後に何かが隠れているんじゃないか? そんな好奇心をもって、掘出し物を探していきたいですね」

骨董品

今日も骨董品たちがお店でお待ちしております。何か不思議な出会いがある予感がしますね

2017年9月13日(水) 上柳昌彦 あさぼらけ あけの語りびと より

朗読BGM作曲・演奏 森丘ヒロキ

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