ニッポンの観光列車は伊豆急行「リゾート21」から始まった!~伊東駅「鯛どんたく」(810円) 【ライター望月の駅弁膝栗毛】

今、全国各地で人気を集める「観光列車」。
「乗って楽しい」「乗ること自体が目的になる」・・・そんなコンセプトをウリにする列車も多いですね。
でも、実はコレ、もう30年以上前から「実現」していた列車があるんです。

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静岡・伊豆半島の東海岸、伊東と伊豆急下田の間を走る「伊豆急行」。
この看板列車で、昭和60(1985)年に誕生した伊豆急行2100系電車「リゾート21」こそ、ニッポンの観光列車のパイオニア的な存在です。
「21世紀へ進む鉄道車両へのひとつの提案」として、斬新なデザインでデビューして去年で「30周年」!
リゾート21」で取り入れられた新しい発想は、2010年代に入ってすっかり観光列車のスタンダードになりました。
ちなみに、この30周年を記念して「リゾート21」の1編成「アルファ・リゾート21」は期間限定のカラーリングになっています。

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現在「リゾート21」は3編成が活躍、それぞれユニークな塗装となっているのも特徴です。
特に独特の存在感を漂わせているのが、真っ黒な車体の「黒船電車」。
幕末、下田に来航した「黒船」に由来、平成16(2004)年の下田開港150周年を記念して誕生しました。
車内には下田開港にまつわるエピソードが展示されているほか、先頭車両デッキでは壁に描かれたペリーや坂本龍馬が出迎えます。
初代の「黒船電車」はすでに引退しており、今は平成2(1990)年デビューの「リゾート21EX」が2代目としてその任を担っています。

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そしてハワイアンカラーに身を包んだ「リゾート21」は「リゾートドルフィン」号。
ハワイアンカラーは昭和36(1961)年の開業以来「伊豆急行」の伝統色。
現在「リゾートドルフィン」となっている車両は昭和63(1988)年にデビューした編成で、初期の「リゾート21」の雰囲気をよく残しています。
平成23(2011)年に、このカラーにリニューアルされました。
「リゾート21」は通常7両編成で、特急「リゾート踊り子」で東京にやって来る際はグリーン車相当の「ロイヤルボックス」を連結、8両編成となります。

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「リゾート21」は4つのコンセプトで生まれました。
①運転士が独占している「先頭展望」を生かす。
②海と山があるのだから左右は非対称にする。
③座席配置を「海側」に向ける。
④誰でも気軽に乗れる「普通電車」で運用する。
(参考:伊豆急行公式HP

その1つ「先頭展望」が楽しめる先頭車には、階段状の展望室があります。
この階段状、実は「劇場」をイメージしたものなんだそう。
なお安全のため、展望室では「着席」して乗車する必要があり、満席の場合は立って乗車することは出来ません。

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展望室からの前面展望は、何度乗っても素晴らしい!
特に東伊豆の海岸線を走る「片瀬白田~伊豆稲取間」は伊豆急行随一の絶景区間。
案内放送はもちろん、時間帯によっては徐行運転も行われ、じっくりと景色を楽しめます。
海の向こうには伊豆大島、天気が良ければ利島、新島、神津島など伊豆諸島の島並みも・・・。
特に梅雨明け直後、スカッと晴れた日には、ハワイアンブルーの海に向かって走る感覚が楽しめるかも。

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今や観光列車では当たり前の「海側と山側で異なる」シート配置・・・「リゾート21」では30年前から始めていた訳です。
しかも各地の観光列車では、今も週末のみ運行であったり、特急列車や座席指定制の列車で走ることが多いもの。
でも、伊豆急行の「リゾート21」は「毎日運行の普通列車」として運行し続けているのが特筆すべき点。
原則、熱海~伊豆急下田間を4往復、熱海~伊豆高原間を2往復運行、熱海発8:24,9:38,12:24,13:40,16:33,17:37の列車に充当されています。
なお、車両が予告なく変更される場合もあります。

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「リゾート21」は伊豆急行の車両ですが、熱海~伊東間のJR伊東線にも直通運転されています。
伊東線はJR東日本の路線ですが、熱海始発の普通列車がほぼ伊豆急行の車両で運用されているのも特徴的。
代わりに「踊り子」をはじめとした伊豆急線直通の特急列車は、一部を除いてJRの車両で運用され、車両使用料を相殺しているものと思われます。
熱海から「リゾート21」に乗ると、最初に『伊豆だなぁ』と感じさせてくれる景色が伊東線・伊豆多賀駅付近からの「初島」。
初島へは熱海港、伊東港から高速船が出ていて、およそ30分です。

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網代、宇佐美と下って伊東の市街地が近づいてくると、並行する国道135号の景色も南国風に・・・。
東京から1時間半ほどでこの景色に逢えるってだけで、改めて伊豆ってイイなぁと思います。
こんな素晴らしい車窓を眺めてしまったら、何も食べないわけにはいきません!

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今回は「リゾート21」30周年はめでタイ!ということで”鯛を使った休日気分”な駅弁、伊東駅弁・祇園の「鯛どんたく」(810円)をアップ。
「鯛めし」は、東海道エリアでは定番中の定番駅弁。
元々「鯛めし」は静岡駅の東海軒が明治30(1897)年に出したのが元祖と云われています。
現在は東海軒をはじめ、横浜・崎陽軒、大船・大船軒、小田原・東華軒、沼津・桃中軒・・・と東海道線沿線の各社が「鯛めし」を販売。
伊東・祇園では、ネーミングをちょいとひねって「鯛どんたく」という商品名で販売されています。

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掛け紙とふたを外すと、昔ながらの経木のわっぱに縁すれすれまでビッチリと敷かれた鯛のおぼろ。
その下には、濃すぎず程よい味わいの味付けご飯が盛られています。
これに帆立のから揚げ、椎茸の煮物、ごぼう、奈良漬とシンプルなおかず。
東海道が誇る駅弁文化「鯛めし」の古き良きスタイルを今にしっかりと伝えています。
古くから多くの人が湯治に訪れ、やがてリゾート地へと発展していった歴史を感じながらいただきたい駅弁です。

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「リゾート21」の下り列車の場合、伊東駅の停車時間は長くても乗務員交代の2分程度なので、駅弁を買うのは至難の業です。
いっそ伊東駅で途中下車してしまうのがいいかも・・・というのは伊東でJRから伊豆急に変わるため、料金体系も変わり1度改札を出ても料金は同じ。
しかも7/31までの期間限定、伊東駅「みどりの窓口」限定発売で、伊豆急線が1日乗り放題の「伊豆満喫フリーきっぷ」(1,700円、現金のみ)が出ています。
伊東~伊豆急下田間は片道乗車でも1,615円(Suica利用)かかることを考えますと、伊東~下田往復がほぼ半額というかなり「お得」なきっぷ。
伊東まで特急利用、伊東で1本落として駅弁を買い、日本の観光列車の先駆け「リゾート21」に・・・こんな旅の仕方もあるかもしれません。

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
「ライター望月の駅弁膝栗毛」
(取材・文:望月崇史)

【ごあいさつ】
はじめまして、放送作家の望月崇史(もちづき・たかふみ)と申します。
ニッポン放送には、昔の有楽町の社屋の頃から、かれこれ20年お世話になっています。
最近では、月~木・深夜24時からの「ミュ~コミ+プラス」で放送された、
ルートハンター」のコーナーに、5年ほど出演させていただきました。

そんな私がライフワークとしているのが「駅弁」の食べ歩き。
1年間に食べる「駅弁」の数は多い年でのべ500個。
通算でも4500個を超えているものと思います。
きっかけとなったのも、実はニッポン放送の番組。
2002年~05年に放送された「井筒和幸の土曜ニュースアドベンチャー」の
番組ウェブサイトで「ライター望月の駅弁膝栗毛」を連載することになり、
本格的に「全国の駅弁をひたすら食べまくる生活」に入りました。
以来、私自身のサイトや、近年は「ライター望月の駅弁いい気分」というブログで
「1日1駅弁」を基本に「駅弁」の紹介を続けています。
”駅弁生活15年目”、縁あってニッポン放送のサイトで連載させていただくことになりました。
3つの原則で「駅弁」の紹介をしていきたいと思います。

①1日1駅弁
②駅弁は現地購入
③駅弁のある「旅」も紹介

「1日1駅弁」ですので、日によって情報の濃淡はありますが、
出来るだけ旬の駅弁と鉄道旅の魅力をアップしていきますので、
ゆるりとお付き合い下さい。

【プロフィール】

望月崇史(もちづき・たかふみ)望月

1975年12月8日静岡県生まれ。
早稲田大学在学中から、ニッポン放送で放送作家に。
卒業後の2002年「井筒和幸の土曜ニュースアドベンチャー」の番組サイトで始めた
ライター望月の駅弁膝栗毛」をきっかけに、全国の駅弁食べ歩きをスタート。
以来およそ15年、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。
1日1駅弁のウェブ紹介を日課とし、これまでに食べた駅弁は4500個以上。
ニッポン放送「ミュ~コミ・プラス」ルートハンター、鉄道特番などにも出演。
丸の内朝大学・温泉クラスの講師も務める。