トランプ政権の人種差別問題

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8/17(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③

人種差別問題~トランプ大統領「双方の陣営に責任がある」
7:11~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター山本秀也(産経新聞論説委員)

トランプ大統領の発言への抗議として、大手企業が相次いで助言役を辞任

アメリカ南部バージニア州で、白人至上主義を掲げる団体と反対派が衝突した事件で、トランプ大統領は「現場にいた双方の陣営に暴力の責任がある」と述べました。
一方、トランプ大統領の人種差別への対応を巡り、大手企業の首脳が、相次いで大統領の助言役を辞任しました。

バージニア州のシャーロッツビルで12日に起きた衝突は、南北戦争で奴隷制存続を訴えた南軍の司令官、リー将軍の銅像の撤去計画がきっかけで、白人至上主義者たちと、人種差別反対派が衝突したものです。
トランプ大統領は当日「多くの側から示された憎悪、偏見、暴力を非難する」と。双方に責任があると臭わせ、与野党から非難が集中したことから、14日になって白人至上主義者を名指しで非難しました。

ところが、それでも批判が収まらないということで、トランプ大統領は側近に怒りをぶつけたとのことです。
トランプタワーのロビーで15日、記者団の取材に応じたトランプ大統領は「両陣営の責任だ。左派は、暴力的に別のグループを攻撃した」と述べ、反対派にも非があると指摘しています。トランプ大統領としては3年後の大統領選を睨み、支持者をつなぎ止める狙いがあると見られており、秘密結社KKK(クー・クラックス・クラン)の元指導者は、Twitterで「真実を語り、左派テロリストを非難した」と賞賛しています。

ただ、今回の事件を巡り、アメリカ大手企業、「インテル」や、スポーツ企業大手の「アンダーアーマー」などの経営トップが、相次いで、トランプ大統領の助言役を辞任しました。トランプ大統領に抗議する狙いがあり、アメリカ経済界では政権と距離を置く動きが広がってきています。
トランプ大統領自身はTwitterで「代わりはたくさんいる」と述べていたのですが、けっきょく大企業の経営者等で作る、2つの助言組織は廃止した、と明らかにしました。

今回の事件を契機に、「人種差別的」と懸念されてきたトランプ政権のバノン主席戦略官兼上級顧問への風当たりも強まっており、解任説も浮上しているのですが、「最側近を解任すると、更迭続きのトランプ政権に、さらに痛手になる」という見方もあります。


トランプ大統領はバノン氏を切ることができない

高嶋)議会の方でも、重鎮が相次いで反トランプというような動きに。

山本)マケイン上院議員。それから、大統領経験者であるブッシュ親子。いずれも非難の声明を出していますよね。
もともとトランプ政権の立ち位置というのは、こうした共和党の保守本流とは距離があったところなのです。とはいえ、声明の中身を見ると、民主党が言っている批判声明も、共和党の保守本流が言っている非難の内容もほとんど同じですので、アメリカの大多数の層から、これは異端視されているということでしょう。

高嶋)これでも、大統領は強気の姿勢は崩さないのですね。「代わりは誰でもいる」と。

山本)そこは本性違わずというか、結局のところ、トランプという人が、こういう考え方を持っているということですね。それから、いま話に出てきたバノン主席戦略官。これがもう、明確な人種差別主義に立っている人ですから。

高嶋)ずっと言われ続けていましたが、最近はおとなしくしていると思っていましたが。

山本)背後でキチンとものを言って、やっていたわけですね。トランプ政権はいろいろな立ち位置の人、家族だったり、バノンだったり、政府の系統だったり。いろいろな人がいろいろなことを言ってくるわけですが、しかし、「バノンを切るか?」となると、なかなか切れないと私は思います。彼を切ってしまうと、この状態でも「絶対にトランプがいい」と言う人が約30%いますから。ここがトランプ本人の立ち位置というか、基盤ですよね。それを失ってしまうと何も残らないわけですから、切りにくいだろうと思います。

高嶋)そのガチガチの3割だけで、大統領期間中に間に合うわけですか?

山本)本人はそこで乗り切れると思っているのでしょう。

高嶋)パリ協定から離脱したときも、相当の動きがありましたよね。

山本)ええ。これもバノンの吹き込まれた内容で動いた、と言われていますけどね。
とにかく非常に難しい政権運営になってきた、ということは絶対に間違いないと思います。

高嶋)パリ協定のときも、たとえばディズニーのトップとか、電気自動車会社「テスラ」のトップとか、私でもよく知っている世界的に超有名な、そういうところのCEOがみんなトランプさんを見切っているわけじゃないですか。


トランプ大統領はこれまでの人種問題への取り組みを台無しにしてしまった

高嶋)最後に1つ聞きたいのですが、トランプ大統領は人種差別主義者に味方をしているようなところがあるわけですよね、明らかに。そういった人種の問題は、南北戦争以前からも根強くあるわけですよね?

山本)あります。そこはアメリカにずっと存在している問題ですが、表に出ないようにしてきたのが、いままでのアメリカ政治の取り組みだったはずなのですが、そこの努力を壊してしまった。やはり「Divided States of America」にしてしまった、と私は見ています。

高嶋)「分割合衆国」ということですね。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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