中国共産党の長老会議が人事を決める?

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8/17(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!①

現役議員も非常に神経質になる重要な会議
6:30~ニュースやじうま総研!ズバリ言わせて!:コメンテーター山本秀也(産経新聞論説委員)

「北戴河会議」は路線や人事も決まる非公式会議

中国では、今年の秋に中国共産党第19回全国代表大会(第19回党大会)が開かれます。
先月、それに先駆けて北戴河(ほくたいが)会議が開会したそうです。開会や閉会が一般に公表されないなど、あまり日本では聞きなれないこの話題について、産経新聞論説委員の山本秀也さんに伺います。

高嶋)今年は中国共産党大会がありますね。

山本)第19回党大会です。

高嶋)それで、終わったと言われている、長老が集まる北戴河会議。あれはどういう資格の人が集まるのですか?

山本)まず「北戴河」がどういうところなのか、ということから説明します。
北京から北東方向に車を飛ばしていくと、渤海にぶつかるのですが、基本的にそこの畔の海水浴場です。もう少し上品な言い方をすると、「保養所」ということになります。
そこに、幹部向けの別荘。旧ソ連式の「ダーチャ」というヤツです。あれが並んでいる。もちろん、一般の人も行けますが、ちょっと違うビーチの方に行かされてしまいます。

高嶋)メンバーというのは、誰が決めるのですか?

山本)メンバーは党のトップで決めるわけですが、間違いなく呼んでもらえるのは、党の政治局常務委員で、いま7人います。首相、それから総書記経験者。いわゆる「長老」という一家言あるお爺様方。これらが呼ばれるということになります。

高嶋)それは、何か決定権のようなものを持っているのですか?

山本)不思議な会議で、党の規約にはこのような会議を開く、というのはどこにも書いていないのですが、党の路線や重要な人事は全部ここで決まってしまいます。
長老と現役指導部が、「これでいいですか?」、「いや、ちょっと……」という話を繰り返しているうちにだんだん方向が纏まって……最終決定はもちろん、党大会の方になるし、ギリギリで駆け引きはあるのですが、おおまかの方向の了解事項を固めるのがこの辺。原案作りの場ですね。


「北戴河会議」は毛沢東時代から続く

高嶋)いつ頃からそんなことを?

山本)基本的に毛沢東の時代からです。

高嶋)では、建国からずっと?

山本)建国初期には、もう少し南の内陸にある、廬山という山の中でやったこともあるのですが、北京から遠すぎる。なので、もう少し北京に近い場所にしよう、ということで現在の場所に替えたようです。

高嶋)では、いま常務委員とかの現役の人たちは、北戴河の、どういう風な流れになったとか、非常に神経質になりますよね。

山本)もちろんです。特に親分から「お前、準備しておけよ」と言われている人は本当に上がれるのかどうか、それはもう大変ですよね。


実権を手放すつもりは無い習近平

高嶋)それと併せてお聞きしたいのですが、習近平さんが辞めないでもっと先まで狙っているというウワサが……

山本)私はそう見ています。仮に総書記、国家主席を下りたとしても、実権は終生手放すつもりは絶対ないな、と思っています。そこを、昔の王朝政治と比べてみると、意外なことに多くの共通点が見えてきます。

高嶋)そうなのですか。

山本)比べてみると、もちろんこじつけもありますが、昔と今を比較すると、現在の部分だけ見ると分からないところが浮かび上がってきます。それも中国の伝統の儒教の重い政治の流れとか、そういうのも全部絡んでいますから、そんなところを書いたので、ぜひ読んでいただけると、中国を見るときに参考になるかなと思います。

高嶋)習近平さんは、辞める気はまったく無い?

山本)もちろん、今度は2期目の自分の子飼いをたくさん引っ張り上げた指導部を作ると思います。それに対立派閥とのバランスをどの程度取るのか、ということですが、私はかなりごり押しをしたと思っています。
まあ、北戴河会議の結果はまだ出てこないですけどね。

高嶋)最近動きのある、今度の指導部の必置になるのではないかと言われた、孫政才さん。あの人も、奥さんの問題でごたごたしてしまって……

山本)結局、足を掬われましたね。

高嶋)そういうのは、北戴河でも話題になって、「いいんじゃないか?」とか、「いや、それはちょっと違うのでは?」とか、やったわけですね?

山本)北戴河の話題になる前にそれをやってしまって、既成事実を作って、習近平さんは海水浴場に乗り込んだ。なので、会議をやる前に首をはねてしまったわけです。

高嶋)やはり非常に長い歴史の国ですから、いろいろなところから、いろいろな見方がある、ということですね。

高嶋ひでたけのあさラジ!
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