優勝マジック33点灯「もっと技術をあげたい」広島・鈴木誠也外野手(22歳)【スポーツ人間模様】

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鈴木誠也

【プロ野球セ・リーグ DeNA対広島 17回戦】5回、広島・鈴木誠也は2点本塁打を放ちベンチ前で出迎えを受ける=2017年8月6日午後、横浜市中区の横浜スタジアム 写真提供:産経新聞社

セ・リーグ首位を快走中の広島に、優勝マジック33が点灯しました。過去、1980年と昨年は、奇しくも8月24日でしたから、球団最速です。劣勢から同点を放ったが鈴木。まさに、4番の仕事といえるでしょう。アンダー23(23歳以下)の4番打者となった年齢の一例をあげると、西武・清原が18歳で別格。巨人の松井、横浜DeNA・筒香は22歳です。鈴木も同じ22歳。日本を代表するスラッガーの道を歩んでいます。

昨年までは本来の4番が新井だったため、鈴木はパートタイムの4番と呼ばれていました。それが今季は年齢的なもので、新井はフル出場ができない。うまく世代交代をした典型でしょう。その布石は、緒方監督が昨年オフ、ハワイへのV旅行で行っていた。

「来年は4番の可能性がある。足も使える。戦力的におもしろい」

と、それとなく伝えていたそうです。

東京生まれの鈴木、幼少時は巨人ファンでした。テレビのバラエティー番組で紹介されたほど、有名な父子で、倉庫を改造して連日の猛特訓。いつか、巨人の星になることを目標にしていた。そんな事情を知っていたのか、緒方監督は4月11日の巨人戦から4番へ据えたのです。数試合なら、4番目の打者と気楽な立場を通せるかもしれない。しかし、不動の4番は精神力がものをいう。鈴木も肉体は元気でも、メンタルはかなり疲れていると思います。

「適当な表現ではないかもしれない。今まで、どうでもいいところで打っていた。でも、4番で出ている以上、チームの勝ち負けを背負っていかないと…。自分で4番を打ってわかったのは、チャンスで打席が回ってくる。それから、いつも誰かに見られている、という意識があって」。

気持ちの切り替えが大変な様子です。

今季に向けて昨年から準備を整えてきました。最初がたばこ。カープきってのヘビースモーカーの評判だったそうですが、まずは禁煙に成功します。それから、試合中、ガムを噛んでいたものを、

「おまえは、カープを背負っていく選手。良く考えろ。思い出せ。松井さん、イチローさんはガムを噛んで野球をしているか」。

現役最後のシーズンの黒田から指摘されました。今シーズンも新井は、鈴木がつらそうにしていると、さまざまな助言を与え、支え続けています。カープの伝統は、こうして受け継がれているのでしょう。

鈴木も自分の立場を、神ってた昨シーズン、と理解した様子。オフの自主トレでは、『忘却』をテーマに掲げ、1からやり直す覚悟でスタートしました。

「数字で野球をしているわけではない。もっと、もっと技術をあげたい」

と必死の毎日です。広島は、12球団ナンバーワンのチーム打率、2割7分8厘。鈴木も打率3割4厘、本塁打23本、そしてリーグトップの82打点は、勝負強さの表れといえるでしょう。

8月9日(水) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」

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