河野太郎外相外交デビュー~日中外相会談から見る課題とは?【高嶋ひでたけのあさラジ!】

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8/8(火)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②

王毅外相は「お父さん“は”正直な政治家だった」
7:02~ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター富坂聰(ジャーナリスト・拓殖大学教授)

河野太郎

【新旧外務大臣交代式】挨拶する河野太郎新外相=2017年8月4日午後、外務省 写真提供:産経新聞社

日本人は言葉のセンスが欠けている

河野太郎外相は7日、中国の王毅外相と会談しました。王毅外相からは、父であり親中派であった河野洋平氏を引き合いに「あなたには失望した」と厳しい言葉をかけました。今回の外相会談から、日本に欠けている政治的な会話について、富坂聰さんに伺います。

高嶋)河野太郎外務大臣が外交デビューということで今日の新聞はそれ一色ですが、「東南アジア諸国連合地域フォーラム」閣僚会合で中国の王毅外相が南シナ海についての河野太郎外相の発言に対して、日中外相会談で2人になったときに、「あなたのお父さんは正直な政治家だった。本当に付き合える人物だった」と父親(河野洋平氏)の方は持ち上げておいて、「あなたの発言を聞いて、率直に言って失望した」と、そういうことだったらしいですが。
王毅さんというのは、いつも上から目線でけっこう言うのですが……

富坂)「あなたにも失望した」と(河野氏は)言ってあげればよかったですね。

高嶋)河野太郎さんの方は、中国のそういう大国としての振る舞いもきっちりやらなければいけない、と釘を差した。逆襲しているからこれは良いのですが……

富坂)応酬というか、外交とはこういうものだろうな、と私は思います。「言いたいことをぶつけ合う」というのは当たり前のことなので。それに大国としての振る舞い方を身に付けてもらう必要がある、という方向性は、私はすごく良いと思います。
ただ、実は日本人に欠けているのは、ここで中国人がクスリと笑ってしまうようなイヤミを言うとか、ちょっと面白い言い方をする必要があるのですよ。
ところが、同じことを言うにしてももう少し政治家というのは言葉を選ぶ必要がある。
たとえば、中国人はあれだけ酷いことを言われているのに、トランプ大統領のことがけっこう好きなのですよ。面白いわけですよ。


日本政府は中国人民の心を掴もうとしていない

高嶋)そういう国民性があるのですか。

富坂)そう。あれを面白がってしまうところもある。
他にも、小泉純一郎というのは、一時は憎まれたのですが、やはりすごく気になってしまう人でもある。だから知名度がすごく高いし、どこか「面白いな」と思うところがある。
やはり中国人と付き合うときというのは、政府と暗い形で言い合うよりも、ガッチリと中国人民の心を掴んでいくというのはすごく大事なことで。どうして日本政府はこれをやらないのか。
ちょっと昔の中国の古典を引いて「こんなことを言っていた人がいましたね、どうですか?」みたいな。クスッと思ってしまうような変化球をキチンとやっていくという外交が、全く出来ていない。

高嶋)昔の首脳会談では、「よく調べたな」というのがありましたよね。
ケネディにしても、誰にしても。

富坂)ジョークも大好きですから。だから、ちょっと揶揄してしまうようなね。「そう言われたら困るけど、そうだよなぁ」という。

高嶋)白髪三千丈の国ですからね。多少大げさに面白く言っても……

富坂)外交というのは、もちろん利益がぶつかるところなので、ぶつけなければいけない。ただ、ぶつけたままというのは外交ではないので、解かなければいけないですね。
結局、王毅外相もカメラが回っている間はずっと国内に向けてアピールするわけです。そうやって出世してきた人なので。そこは優しいことを言ってくれると期待してはダメですよ。

高嶋)国内向けね。

富坂)そうなのですよ。だから、かなり日中関係を悪くしたと私は思っているのですが、そういう意味では、カメラが回っているということは、そういうことなので。


日中関係は結局、あまり変わらない

高嶋)大まじめに言うと、父である河野洋平さんの「河野談話」というのが、慰安婦強制連行云々で、日本の軍部がそれに関与していたことを認めた、ということになってしまっているのですが、これについてはどういう風に受け取っているのですか?

富坂)中国は、実際のところ1人の外務大臣が日中関係をどうこうできるとは思っていません。
小泉純一郎さんの時に「中国が味方を作ろうとすると、その人が日本で嫌われる」ということをよく知っているので、そういうことは小泉時代にもう終わった話なのです。
なので、こういうことを言うのですが、実際の日中関係はあまり変わらないと思います。実際、中国が日中関係を改善していく方向に動くと思います。ただ、南シナ海で応酬するというのは、我が国の尖閣問題にプラスになるかどうかというと、私は必ずしもそうではないと思います。日本はそこをもっと見極めていかないといけないところかな、と思いますね。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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