「とても元気に…観て勇気が湧きました。」演劇集団キャラメルボックス『また逢おうと竜馬は言った』 【ひろたみゆ紀・空を仰いで】

演劇集団キャラメルボックスをご存知ですか?
1985年に、早稲田大学の学生演劇サークル「てあとろ50’」出身の成井豊、加藤昌史、真柴あずき、らを中心に結成され、役者との間に一切の契約関係がなく、演出家との信頼関係だけで1年間の活動を決めるという異色の劇団です。

さて、その演劇集団キャラメルボックスの5/28に初日を迎えた『また逢おうと竜馬は言った』を観てきました。
とても元気になった…観て勇気が湧いてきました。

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一言で言ってしまうと、主人公のツアーコンダクター岡本くんの成長物語です。

岡本くんは、ツアコンにあるまじく乗り物酔いがひどく、そして坂本竜馬に憧れ、片時も話さず文庫本の「竜馬がゆく」を携えている独身サラリーマン。
竜馬のように男の中の男になりたいけれど、いつもドジばかりです。
今日も岡本くんのせいで、同僚の本郷くんとその妻ケイコさんが大喧嘩して、離婚騒動にまで発展。竜馬の力を借りて、喧嘩の仲裁に乗り出しますが、なぜか絵画密輸事件に巻き込まれてしまいます。
岡本くんは、無事2人の仲を執り成すことが出来るのか、そして密輸事件の行方はどうなるのか…

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という手に汗握るドキドキなストーリーです。

岡本くんはどうやって竜馬の力を借りるのだろう…とても不思議だったのですが、岡本くんの心の中の竜馬が実像化されて現れます。
もちろん、岡本くんにしか見えません。
その実体化した竜馬に時に励まされ、時には叱られ、岡本くんはこれでもかと次から次へと降り懸る問題を解決するために奮闘します。そのおかげで大きく成長していくのです。

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「あー、ダメダメ!頑張れ岡本くん!!」観ている私たちも心の中で岡本くんを応援し、いつの間にか舞台に引き込まれてしまいます。
引き込まれる理由は、テンポの速さにもあります。
ストーリーも舞台もめまぐるしく変わり、一時たりとも気が抜けません。

派手なアクションシーンも多く、展開が早いので、俳優さん達が舞台の上を行ったり来たり…下手から登場して上手に消えたかと思えば、また下手から現れる…どれだけ舞台裏で走っているのでしょう。全力の演技が清々しさも感じさせてくれます。

今回は、俳優集団D-BOYSから、主人公の岡本くんをはじめとして若手の4人を迎えています。
岡本くんと竜馬は2人が演じるダブルキャスト。
BLACK CASTとWHITE CASTの2パターンあります。
しかも、他の役も演じるクロスキャストです。
つまり、BLACK CASTで岡本くんと竜馬を演じた俳優さんは、WHITE CASTでは、それぞれ別の役を演じます。
逆も同じです。
だからこそ、もう一度観たくなってしまうのです。

私はBLACK CASTの回を観せて頂きましたが、ぜひ、WHITE CASTも観てみたいです。
なぜなら、岡本くんを演じるD-BOYSの陳内将さんと三津谷亮さんは、見た目も印象も全く違うのです。

端正な顔立ちでシュッとした印象の陳内さんに対して、三津谷さんは人懐こい笑顔が可愛いタイプ。
演出の成井豊さんは、インタビューで2人の魅力を
「陳内君は論理的で知的。三津谷君は感覚派、500位ある岡本の台詞の中で同じ解釈は一つもない。今までのダブルキャストでこんなに違いがでたことはないのではないか。好対照でとても面白い」
と語っています。
共演の俳優さんも2パターンの違いをお菓子に例えて「ブラックサンダーとマシュマロ」と仰っています。
どちらも美味しい!だから、2パターン観たくなっちゃうんですよね。

その2人が、2時間の中で大きく成長していくのです。面白くないはずがありません。

前に読んだ外国語の教科書に面白い記述があったのを思い出しました。
それぞれの国のドラマの特徴を捉えた表現だったのですが、アメリカのドラマはヒューマン。
韓国のドラマは家族と恋愛。
そして、日本のドラマは主人公の成長が題材としてよく選ばれている、というものでした。
裏を返せば、日本人は主人公が成長していく物語が大好きなのです。
確かに主人公が困難を乗り越え成長していくドラマは多いですよね。

この岡本くんの成長記『また逢おうと竜馬は言った』は、1992年に初演され、今回で5回目の上演。
それだけ愛され支持されているキャラメルボックスの代表作なのです。

あなたも、是非!岡本くんを間近で応援してみませんか?
成長した岡本くんから私たちが得られるもの、それは元気だけではないはずです。
そう!その一歩を踏み出す勇気をくれる竜馬は、あなた自身の中にもいるのですから。

『キャラメルボックス featuring D-BOYS  また逢おうと竜馬は言った』は、6/12まで(月曜は休演)池袋のサンシャイン劇場で行われています。
そのあと神戸公演も控えています。

photo:伊東和則

レポート:ひろたみゆ紀

「ひろたみゆ紀・空を仰いで」

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たったひとつ眩しく輝く大きな太陽、おぼろげに優しい光を放つ月、一つ一つは小さいけれど幾千幾万という圧倒的な数でキラキラ輝く星たち…空の主人公たちです。
晴れの日もあれば曇りや雨の日、そして嵐の日もあり、毎日刻々と表情を変え、一つとして同じだったことがない空。
その空に輝く太陽・月・星も毎日姿を変えています。空には果てしないドラマがあるのです。

そして、私たちの世界もまた同じ。同じような毎日でも一日たりとも同じ日はありません。ひとりひとりに果てしないドラマがあります。
ここでは、人一倍空から遠いちっちゃいひろたが、空を見上げるように、低いところからいろんなものを見上げてひとつひとつドラマを探しにいきます。