GO!GO!ドーナツ盤ハンター

追悼・平尾昌晃作曲のドラマ主題歌特集【GO!GO!ドーナツ盤ハンター】

 

昨今のアナログ盤ブームで、改めて注目されているのが歌謡曲のレコード。デジタル音源より音に厚みがあり、またCDでは味わえないジャケットの大きさも魅力の一つ。あえて「当時の盤で聴きたい」と中古盤店を巡り、昔のレコードを集めている平成世代も増えているようです。
そんなアナタのために、ドーナツ盤ハンター・チャッピー加藤が、「ぜひ手元に置きたい一枚」を、アーティスト別、ジャンル別にご紹介していきます。

歌謡界を代表するヒットメーカーがまた一人、逝ってしまいました…。7月21日に亡くなった平尾昌晃さんですが、その偉大な足跡については、ここ数日繰り返し報道されましたので、敢えて触れません。本稿では個人的な思いを綴って追悼したいと思います。
平尾さんには、何度か番組出演をお願いしましたが、あれだけの大御所にもかかわらず、一切偉ぶったりすることのない方でした。どんな小さな仕事でも、それが音楽に関係し、面白いと思えば二つ返事でOK。ラジオに電話出演をお願いして「デュエットのキモを教えてください!」なんて、今考えると申し訳ない限りですが、的確なアドバイスをくださった上に、話を面白くまとめていただき、制作サイドにとっては本当に有り難い方でした。ただただ感謝、ご冥福を祈ります。
平尾さんが遺した作品は多ジャンルにわたり。とても一回では語りきれませんが、劇伴(=ドラマの音楽)も積極的に担当。『必殺シリーズ』はじめ「エ?あれも平尾さんだったの?」という作品がいくつもあります。今回は「平尾さんが書いたドラマ主題歌」というククリで、私が個人的に思い入れのある曲を3曲、当時のジャケット込みでご紹介しましょう。いずれも、アラフィフ世代の琴線をくすぐる名曲ばかりです。

 

【その①】・・・『キラキラ星あげる』大場久美子(1978)

「一億人の妹」というキャッチフレーズでデビューした大場久美子を、一躍トップアイドルにしたドラマが『コメットさん』(TBS系)です。このドラマはリメイク作で、大場は初代・九重佑三子に次ぐ二代目のコメットさん。“卒業試験”のため宇宙からやって来たヒロインが、バトン片手に魔法を使い、人々と触れ合っていくストーリーですが、その主題歌が本曲。ジャケットが、コメットさんのユニフォームの、黄色いホットパンツじゃないのはちと残念ですが。
不安定な歌唱力が「萌え」につながる好例で、平尾さんは大場の頼りなさげな歌声を計算した上で曲作りに臨んだのでしょう。結果的に、不安に揺れる乙女心が見事に表現されています。ただし、レコーディングには相当苦労したようで、大場は平尾さんに「キミは音階にない音が歌えるね」と言われたそうで(笑)。実に平尾さんらしい、厳しくも優しい一言じゃないですか。ある意味、アイドル歌謡の“本流”がここにあると思います。200~500円くらいで入手可能。
【その②】・・・『ぼくの先生はフィーバー』原田潤(1978)

平尾さんのドラマ劇伴を語る上で欠かせないのが、水谷豊が小学校教師・北野広大役を演じた『熱中時代』(NTV系)です。これは第1シリーズ(78年10月~79年3月)のオープニング主題歌でした。自分も当時小学生でしたが、「オイオイ、先生はなぁ?」ってなフレーズが大好きで、ああ、こういう先生がいたら学校も楽しいだろうなあ…なんて思ったモノですが、歌っていた原田潤は当時9歳。当時子役として活躍しており、平尾昌晃ミュージックスクールの生徒でもありました。
ありがちな学園モノ主題歌でなく、『サタデー・ナイト・フィーバー』の大ヒットに乗っかり、ディスコサウンドをいち早く採り入れたあたり、さすが最新の音楽に敏感な平尾さんらしいところですが、でもしっかり歌謡曲なんですよね。そこがいい。
平尾さんは、第2シリーズ(80年7月~81年3月)の主題歌『やさしさ紙芝居』、刑事編(79年4月~10月)の主題歌『カリフォルニア・コネクション』も作曲。いずれも水谷豊自身が歌いましたが、今なおカラオケで歌い継がれているのはご存じの通りです。つい口ずさみたくなるんだよなあ…。

 

【その③】『玉ねぎむいたら…』(1981)

このドラマ、大好きでした。81年4月からTBS系で放映された、桜田淳子主演のホームコメディです。大御所マンガ家(=藤岡琢也)のチーフアシスタント(=石立鉄男)と、その家に“お手伝いさん”としてやって来た、家事も料理もまるでダメなお転婆娘(=桜田)が織りなすドタバタ劇。二人がケンカしながらだんだん惹かれ合い、最終的に結婚するという展開は、昭和のドラマのお約束です。
藤岡演じる先生は、趣味の昆虫採集に没頭して、原稿は弟子にお任せ。代わりにアシスタントが描いている、という体の連載マンガが毎回劇中で紹介され、それをなんと、石ノ森章太郎が描き下ろしていました。そんな遊びに加え、桜田淳子のコメディエンヌぶりがとにかく秀逸で、でもちょっとホロッとさせるところもあるんですよ。「玉ねぎむいてるだけなの 泣いてないわ」のフレーズがキュンと来るこの曲、その部分のメロディが温かくて、いかにも平尾節なんですよね。
なかなかCSでも再放送されないんですが、改めて平尾さんの劇伴も味わいつつ、じっくり観てみたいドラマです。このレコードは結構レアらしく、1000円前後で取引されています。

 

【チャッピー加藤】1967年生まれ。構成作家。
幼少時に『ブルー・ライト・ヨコハマ』を聴いて以来、歌謡曲にどっぷりハマる。
ドーナツ盤をコツコツ買い集めているうちに、気付けば約5,000枚を収集。
ラジオ番組構成、コラム、DJ等を通じ、昭和歌謡の魅力を伝えるべく活動中。

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