好調広島が今季から導入した「ターンオーバー制」とは?広島・緒方孝市監督(48歳)【スポーツ人間模様】

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緒方孝市監督

【プロ野球阪神対広島】広島・緒方孝市監督2017年7月19日=甲子園球場 写真提供:産経新聞社

同率2位の阪神、横浜DeNAに10ゲーム差の独走状態。勝負は最後までわからないといわれますが、地元広島では、もうリーグV2が既定路線のようです。気の早いファンは、日本一を思い描いている。戦力の充実は当然ですが、3年目を迎えた緒方監督が、どっしり構え、今や名将のたたずまいです。

最近、

「1年目はバカだったよ」

とぽつりとつぶやいたことがあります。なぜ、バカだったのか。それは創設以来、連綿と続くカープ独自の根性論を選手へ押し付けたからでした。実際、緒方監督も現役時代、それを柱にしています。監督就任、1年目のオフ。広島は4位に終わっています。オーナー報告の際、進退伺をしのばせていました。ところが、そうしたことを見越したかのように、松田オーナーは、激励の言葉を次から次へと口にしたそうです。

一喜一憂しないことも、広島の伝統でしょう。監督はよほどのことがない限り、5年を一区切りにする。2019年までは緒方体制が既定路線です。その後は、前田智徳、佐々岡真司、黒田博樹とOBの候補者がひしめいている。指揮官の人材に恵まれています。

ところで、今シーズンのここまでを振り返ってみて、思い出すのは、4月19日のDeNA戦です。珍しく1塁の判定を巡って緒方監督が猛抗議。人生初の暴言退場に驚いた関係者も多い。

「2度目だぞ。どこを見ている」

とミスジャッジを指摘して、それが抗議を超える暴言だと退場を宣告されています。確かに、退場はほめられたことではありません。しかし、選手やコーチからすれば、自分たちが言いたいことをすべて監督が引き受けてくれた。勝つためには、ワンプレーたりともおろそかにしないという姿勢をチームへ浸透させることも含まれていました。

マツダスタジアムの監督室は、就任2年目からいつも開かれています。何かあれば遠慮なくどうぞ、というサイン。1年目はいわゆる説教部屋でした。選手に何かを伝える際、現在はどうしているのでしょうか。説教といっても、周囲にはわからないよう、試合前の練習で立ち話程度です。

「今の時代、スマートフォンなどで、すぐにいろいろなことが伝わるから…」

もっと話をしたくなれば、1対1で食事をとりながらする、といった具合。栗山監督とは違うスタンスです。

また、さい配でも、かつては広島の機動力野球の源といった、ヒットエンドラン、送りバントなど、細かいことにこだわらないことも特長のひとつ。前年に続き、試合でのサインなどは担当コーチが積極的に行っています。一方、今季、監督がこだわっているのがターンオーバー制。サッカーのビッグクラブで導入されている、試合の重要度によって、主力へ休養を与え、長いシーズンを戦う方法です。ベテランの新井やエルドレッドを休みながら使って、若手にもチャンスを与える。相乗効果で、逆転劇などが多いのはこのためです。

はたして、今シーズンもこのまま広島の独走、優勝となるのでしょうか。

7月26日(水) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」

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