藤枝が”狭軌”乱舞した日~静岡駅「茶めし弁当」(980円) 【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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静岡駅から東海道線の下り普通列車に揺られて20分あまり。
静岡県島田市の「六合(ろくごう)駅」にやってきました。
六合駅は国鉄末期の昭和61(1986)年に開業した東海道線の中では比較的新しい駅。
新しいといっても今年で開業30周年を迎えた、普通列車のみが停まる小さな駅です。
でも、実はこの駅、鉄道好きには隠れた「名所」があるんです。

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六合駅北口の広場に降りる階段下にあるのが「狭軌最高速度記念碑」。
昭和35(1960)年11月21日、東海道本線の島田~藤枝間の上り線で、狭軌の線路としては当時の世界最高時速175キロを達成したことを記念した碑です。
これを達成したのがクモヤ93000という試験車両で、既に工事が始まっていた新幹線向けに基礎データを収集するための高速度試験でした。
この記録を作ったクモヤ93000は、国鉄時代の昭和50年代に廃車されており、車両は現存していません。
ちなみに「狭軌」とはレール幅が1,067mmの在来線の線路のこと、これに対し「標準軌」はレールの幅が1,435mmで線路のことです。

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これに先立つことおよそ1年、昭和34(1959)年7月には、金谷~藤枝間の上り線で実際の営業車両を使った高速度試験も行われていました。
当時の最新車両・国鉄20系(後の151系)「こだま」形電車が、当時世界最高の「時速163キロ」を記録。
地元の方に「当時の写真があるよ」と聞いて、藤枝駅に戻り旧東海道を島田方面へ歩きながらやって来たのは「千貫堤(せんがんづつみ)・瀬戸染飯伝承館」。
「千貫堤」とは大井川が氾濫した時に威力を発揮した堤防の跡で、「瀬戸染飯」とはこの地域(瀬戸地区)を通っていた東海道の名物だった食べ物だそう。
今でいえば「駅弁」のような名物が、昔からこの地域にあったという訳ですね。

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伝承館に入ると、さっそく壁に高速度試験に用いられた「こだま」形電車がいっぱいの大きさで貼られていました。
当時「こだま」は8両編成で運行されていましたが、真ん中のモーターの無い車両を抜いた6両編成を充当。
様々な観測機器を積み込んで、昭和34(1959)年7月27日から31日にかけて試験が行われました。
最終日・31日の夕方4時過ぎ、東海道本線202キロポスト付近で、当時の狭軌世界最高・時速163キロを記録。
この実績が最高時速210キロの「新幹線」の実現に向けて、大きな一歩になったという訳ですね。
伝承館には当時使われた規格のレールなども展示されており、藤枝にはこの歴史について伝えるグループもある様子。
記録映画も作られたこの試験、きっと当時はこの世界記録に狂喜乱舞ならぬ”狭軌”乱舞したのかも!?

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「こだま」の高速度試験が行われた金谷~藤枝間は、日本有数の茶どころでもあります。
新茶のシーズンを迎えたこの時期、やっぱりそそられるのは、静岡駅弁「東海軒」の「茶めし弁当」(980円)。
レトロな雰囲気の紙蓋は「茶飯」らしく、緑茶を想起させるグリーンのもの。
やっぱり駅弁って「中が見えない」のが大事で、どんなモノが入っているのか想像する時間が楽しい!
ラジオがよく「想像力のメディア」といわれるように、駅弁も「想像力の食」なのです。

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うわぁ!緑色のご飯に茶葉が載ってる!!
よく味付けご飯のラベルを見ると「茶飯」なんて書いてあったりしますが、コレは「本気の茶めし」。
抹茶ではなくホントの茶葉を使っており、ちゃんと「お茶の味」がしながら、表に出すぎない程よい炊きあがり。
おかずは「幕の内弁当」とほぼ共通のものに加えて、鮪の角煮、鶏の照焼きが入ったお得感あるものになっています。
茶どころ・静岡ならではの「本気の茶めし」、試す価値アリです。

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57年前の夏、ボンネット型の「こだま」形電車が、時速163キロで駆け抜けた東海道本線202キロポスト付近。
今は211系や313系電車による短編成の普通列車がおよそ10分おきに走ります。
現在は、東海道・山陽新幹線の各駅停車タイプの列車の愛称にその名を留める「こだま」。
通過待ちが長いので「遅い」イメージがありますが、実は「のぞみ」から逃げる必要があるので、足はとても「速い」んです。
この春からは早朝の「こだま693号、702号、704号」、深夜の「こだま703号、705号」で最高時速285キロ運転も行われています。

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
「ライター望月の駅弁膝栗毛」
(取材・文:望月崇史)

【ごあいさつ】
はじめまして、放送作家の望月崇史(もちづき・たかふみ)と申します。
ニッポン放送には、昔の有楽町の社屋の頃から、かれこれ20年お世話になっています。
最近では、月~木・深夜24時からの「ミュ~コミ+プラス」で放送された、
ルートハンター」のコーナーに、5年ほど出演させていただきました。

そんな私がライフワークとしているのが「駅弁」の食べ歩き。
1年間に食べる「駅弁」の数は多い年でのべ500個。
通算でも4500個を超えているものと思います。
きっかけとなったのも、実はニッポン放送の番組。
2002年~05年に放送された「井筒和幸の土曜ニュースアドベンチャー」の
番組ウェブサイトで「ライター望月の駅弁膝栗毛」を連載することになり、
本格的に「全国の駅弁をひたすら食べまくる生活」に入りました。
以来、私自身のサイトや、近年は「ライター望月の駅弁いい気分」というブログで
「1日1駅弁」を基本に「駅弁」の紹介を続けています。
”駅弁生活15年目”、縁あってニッポン放送のサイトで連載させていただくことになりました。
3つの原則で「駅弁」の紹介をしていきたいと思います。

①1日1駅弁
②駅弁は現地購入
③駅弁のある「旅」も紹介

「1日1駅弁」ですので、日によって情報の濃淡はありますが、
出来るだけ旬の駅弁と鉄道旅の魅力をアップしていきますので、
ゆるりとお付き合い下さい。

【プロフィール】

望月崇史(もちづき・たかふみ)望月

1975年12月8日静岡県生まれ。
早稲田大学在学中から、ニッポン放送で放送作家に。
卒業後の2002年「井筒和幸の土曜ニュースアドベンチャー」の番組サイトで始めた
ライター望月の駅弁膝栗毛」をきっかけに、全国の駅弁食べ歩きをスタート。
以来およそ15年、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。
1日1駅弁のウェブ紹介を日課とし、これまでに食べた駅弁は4500個以上。
ニッポン放送「ミュ~コミ・プラス」ルートハンター、鉄道特番などにも出演。
丸の内朝大学・温泉クラスの講師も務める。