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海の日にお薦め「海が舞台の若大将ソング」加山雄三の名曲の数々【GO!GO!ドーナツ盤ハンター】

 昨今のアナログ盤ブームで、改めて注目されているのが歌謡曲のレコード。デジタル音源より音に厚みがあり、またCDでは味わえないジャケットの大きさも魅力の一つ。あえて「当時の盤で聴きたい」と中古盤店を巡り、昔のレコードを集めている平成世代も増えているようです。そんなアナタのために、ドーナツ盤ハンター・チャッピー加藤が、「ぜひ手元に置きたい一枚」を、アーティスト別、ジャンル別にご紹介していきます。

この夏最初の三連休、皆さん、いかがお過ごしでしょうか?7月17日は「海の日」。インドア派の私は海には行かず、扇風機を回しながら清涼感溢れるエレキサウンドを聴いて過ごす予定ですが、日本の歌謡界でいちばん海が似合うアーティストといえば、満場一致で加山雄三でしょう。逞しい胸毛を惜しみなく披露、海パン姿でウクレレ持って海辺にたたずむ若大将。しかも自分で曲を書き、歌い、映画にも出る…カンペキです!
2010年に「若大将50周年」を記念した武道館ライヴを観に行きましたが、2部構成になっていて、第1部はエレキ片手に独りで1時間以上熱唱!70代ということを忘れるパフォーマンスに圧倒されたことを憶えています。それからさらに7年が経過し、今年でちょうど80歳。生涯現役を宣言している若大将ですが、今回は「海が舞台の若大将ソング」を、ビーチ感満載のジャケットも込みでご紹介していきましょう。

【ビギナー向け】・・・『お嫁においで』(1966)

イントロのスチールギター+ウクレレから、すっかり気分はシーサイド。「舟が見えたなら、ぬれた身体で駈けてこい!」というフレーズ。駈けてきた彼女へのプレゼントは「サンゴでこさえた紅い指環」ですよ!くぅぅ~。ジャケットは見開き式になっていて、一枚で表と裏、2パターン楽しめますが、どちらも捨てがたいので両方載せました。裏面の方は、海パン姿でウクレレを掲げる若大将!海に行かずとも、ビーチ気分に導いてくれる大傑作です。
作詞・作曲は『君といつまでも』と同じ岩谷時子・弾厚作(=加山のペンネーム)コンビですが、編曲はハワイアンの大御所・大橋節夫が担当。大橋率いるハニー・アイランダースが演奏しています。この音はぜひアナログで聴いていただきたいですが、その演奏をバックに、ややハイトーンで軽~く歌い上げる若大将の声がまたイイんですよ。何度聴いても飽きないんだよな?。

改めてこの曲の素晴らしさを実感させてくれたのが、一昨年リリースされたPUNPEEリミックスの『お嫁においで 2015』。YouTubeで再生回数が290万回を突破。ぜひ聴いてみてください。
半世紀前の曲がHipHopとして再生され、懐かしさとは別な次元でこれだけ聴かれたのは、PUNPEEの手腕はもちろん、楽曲自体に普遍性があったからこそ。ソングライター・加山雄三の才能がいかに傑出していたかという証しでもあります。
本曲、中古盤店の若大将コーナーには必ず置いてあるアイテムで、300~500円程度で入手可能です。ぜひお手元に一枚。

【上級者向け】・・・『恋は紅いバラ』(1965)

若大将の海ソングといえば、やはりこの曲を外すワケにはいきません。映画『海の若大将』の主題歌。ジャケットがちょっと凝った作りになっていて、エンジ色のレコード袋に小窓が開いているんですが、ジャケットを引っ張り出すとバックに舟と海。最高です!
これも岩谷・弾コンビの作品ですが、間奏の部分でこんな名ゼリフが聞けます。「僕は君が好きなんだ。だけど…だけどそいつが言えないんだな。でもネ、僕は君を倖せにする自信はあるんだ!」…再び、くぅぅ~。次作シングル『君といつまでも』(1965)と並ぶ、セリフ入りソングの名作でもあります。これを若大将ソングの筆頭に挙げる人も多いですが、私もまったく同感で、バラードだと断トツでこの曲ですね。

そういえば先日、NHKの朝ドラ『ひよっこ』で、有村架純演じるヒロイン・みね子へ思いを寄せる巡査・綿引が、黄昏の海をバックにこの曲を歌うシーンがありました。ドラマの時代設定は1965年の夏、まさに当時最新のヒット曲だったわけです。ここでベタに『君といつまでも』(65年12月発売)を歌わせると「まだレコード出てないゾ!」というツッコミが入るところですが、時代考証の正確さとともに、この曲を選んだスタッフのセンスにも大拍手!NHKに「あれはなんて曲?」という問い合わせが殺到したそうで、ぜひオリジナル盤でも聴いていただきたいと思います。500~700円で入手可能。

【その他、持っておきたい一枚】

『ブラック・サンド・ビーチ』(1965)
映画『エレキの若大将』挿入曲。弟分のザ・ランチャーズを従え演奏するエレキインストナンバー。加山の演奏力と作曲センスを堪能できる傑作。

『ある日渚に』(1968)
映画『リオの若大将』主題歌。渚で一人、去ってしまった恋人を想って歌う、セリフ入りのバラード曲。トリビュート盤の玉置浩二のカヴァーも秀逸。

 

【チャッピー加藤】1967年生まれ。構成作家。
幼少時に『ブルー・ライト・ヨコハマ』を聴いて以来、歌謡曲にどっぷりハマる。
ドーナツ盤をコツコツ買い集めているうちに、気付けば約5,000枚を収集。
ラジオ番組構成、コラム、DJ等を通じ、昭和歌謡の魅力を伝えるべく活動中。

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