消える名前 出る名前~個人情報保護時代の“名前出し”の現状とは?!【ひでたけのやじうま好奇心】

先日、同窓会で懐かしい面々に会いまして、名簿を求めたところ・・・
「このご時世ですから、名簿はありません」。
おやじばかりで、何かあるとは考えにくいと思うんですが、“名簿は作ってない”・・・
というんです。

こうした『名前が消える動き』があちこちにある、というのが今日のテーマです。


一番最初に名前が消え始めたのは「学校」です。
学校における個人情報に詳しい「全国webカウンセリング協議会」の安川雅史理事長によりますと・・・

およそ10年前から、子供たちの安全のために、小学生が登下校時に名札を着けないようになりました。こうした動きは保護者にも広がり、個人情報保護の名のもと、緊急連絡網などを作らない幼稚園や学校が増加。
ところが一時期、やはりお互いの連絡先がわからず、急な連絡が取れないなど、たいへん不便だ、という訴えも多くなった。そこで、学校や園では「承諾を得た保護者だけ」という条件で、連絡網を復活させるところも出てきました。
しかしそうなると、連絡網を使って、あまり交流のない父母から「セールス」や「宗教のお誘い」や「選挙のお願い」がある。
そんな揺り戻しがあって、やはり今は『連絡網を作らない動き』の方へと加速しています。

特に問題が大きいのは“住所録”。学校では住所録は作らない方向となっています。
なぜなら、学校の知らないところで、保護者が同級生の家に怒鳴り込む、といった事例が頻繁に起こっているから、だそうです。特に、自治体は教員に対して「自宅の住所・電話番号を教えないように」との通達を出しているそうです。

これは、“保護者と先生の個人的なつながりを防ぐ”という目的もありますが・・・
一番は、自分勝手な親が先生の自宅に電話してきたり、訪ねて来たりすることで、仕事とプライベートの線引きが出来ずに心が休まらず、うつ病などを発症する例が後を絶たないから、というのが大きな理由です。


結論。いま、保護者の間で広がりつつあるのは・・・学校が関与しない「ライン連絡網」。
電話も住所も知らないけど、ラインでつながっている、という状況を保護者同士で作ったり、私学ではむしろラインを推奨している所もあります。今の時代、ならではと言えるのではないでしょうか。

 
こうした“名前を隠す”現象は、大人の社会にも広がりつつあります。
私が体験したような同窓会名簿や社内名簿を作らない、というのがソレ。住所や電話番号などの個人情報が流出するのを防ぐためです。
今や、年賀状を書こうにも上司の住所を知らない、のは当たり前。

そしてここに来て大きな動きとなっているのが「レシートから名前が消える」という現象です。
スーパー、コンビニなどで買い物するたびに発行されるレシート。そこには、レジ担当者のフルネームが記載されているのが通例でした。
ところが最近は、従業員の安全のために、この記載を見直すようになってきているのです。
それは、SNSの普及で、知らない人から個人を特定されたり、ネット上で攻撃されるのが簡単になってきている、というのが一番の理由です。


たとえば、レシートにあるフルネームから、フェイスブックを閲覧されたり書き込みをされたりする。写真や動画を撮られて、知らない間にSNSに投稿され、拡散される。場合によっては、住所やどういった経歴の人間かまで、極めて個人的なことまで特定するのが簡単になってきているのです。
もちろん、フェイスブックなど友達以外にも公開していることにも原因はあるのですが・・・

SNSの問題だけではなく、アナログな理由の問題点もあります。
見知らぬ男性から下の名前で呼ばれて不快だ、という女性従業員の声。
また客から「名前を覚えたからな!」とすごまれて、不安にさいなまれることもよくあると言います。

小売店がレシートにレジの担当者名を記す一番の理由は、問題があった時の責任の所在を明らかにするため。だったら、社員番号でも問題はないだろう、ということで、最近フルネームを公開せずに社員番号を書くようになった店が出てきました。
たとえば、セブンイレブン、ファミリーマート、イオングループの「まいばすけっと」、IKEAなどがそうです。
社員番号にはせずに、名字だけというのが、「ローソン」「イトーヨーカ堂」。
いずれも、店員の不安を解消するためです。


こうした“名前を隠す方向へ”と社会が動く一方で、デパートや専門店などの、顧客への丁寧な対面販売が求められる場所では、担当者名を明確に記して、付加価値を高めています。
小田急、京王、高島屋、三越、伊勢丹。
どこも「名前出しが信頼や安心感につながる。従業員も責任感を持って接客する」という理由を挙げています。

確かに、高価な買い物の際に担当者名がわかったほうが安心ですよね。
もし心に残る接客をすれば、店側にも名指しでお客様からお礼の連絡があることもあり、従業員も励みになる、という利点があるのです。


特別な名前が重宝される現場というのもあります。『宝くじ売り場』や『積み立て担当』での、縁起のいい名前。
これ、本当にある話なんですが・・・
どことは言いませんが、「恵比寿屋」さん、「大黒」さん、「福徳」さん、「金箱」(かねばこ)さんなど、縁起のいい名前はわざわざ出しています。

そして近年名前を出すようになったという言えば・・・「農産物を作った人」。
名前を公開することで、場合によっては写真付きという方法で、その商品の信頼を高める側面もあるのです。

出す名前と、出さない名前。
大人の社会でも名前を出さなくなる傾向が広がってはいますが、ことサービス業に関しては、“客との距離感が考慮される”。出すか、出さないか、は、さらにきっちり二分化されるということになるのではないでしょうか。

7月11日(火) 高嶋ひでたけのあさラジ!三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より

高嶋ひでたけのあさラジ!
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