錦織圭からは「仙人」と呼ばれています。男子テニス・杉田祐一(28歳)【スポーツ人間模様】

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杉田祐一

男子シングルス1回戦 ブライダン・クラインを下し、四大大会初勝利を挙げた杉田祐一=ウィンブルドン(共同)写真提供:共同通信社

ウインブルドンで話題の日本人といえば、錦織圭をまず思い浮かべます。ところが、開幕前、錦織を上回る注目を集めたのは杉田でした。前週、開催されたウインブルドンの前哨戦、アンタルヤオープンでATPツアー初優勝。松岡修造、錦織に続いて、日本人3人目の偉業を達成しました。また、この勝利で世界ランクが44位と躍進。92年の松岡の46位を超えて、2番目の記録になりました。

そして、同一シーズンでチャレンジツアー(下部ツアー)とATPツアー、両方の芝コートを制した史上初の選手に。

「日本人に最もチャンスがあるのは、芝だと思う」

と一念発起して、2年ほど前から、各会場の芝のバウンドなどを徹底研究しました。ただし、トルコのアンタルヤオープンは今回が初開催。傾向と対策をじっくりと練り、元世界3位のフェレール、元同8位のバグダティスなどを次々と破っていきました。

杉田は宮城県仙台市出身。7歳からテニスをはじめ、06年、三菱電機とプロ契約を結びました。翌07年には早大の第1期トップアスリート入試に合格。同期には、福原愛、斎藤佑樹がいました。また、デビスカップ日本代表へも選出され、当時の最年少記録をマークするなど、なかなかの素質を持っていた。

ただし、世界のカベはとてつもなく厚く、世界ランクトップ100入りを果たしたのは昨年2月。遅咲きといっても過言ではありません。錦織は、杉田を「仙人」と呼んでいますが、それは「ものすごくストイックなところがある」から。並の努力では、ここまでこられなかったでしょう。ウインブルドンで、トップムーバーとして、ジョコビッチと杉田が紹介されたのは、前週の試合で優勝しているからです。特に、杉田は、ほとんど無名だっただけに、選手たちも大いに興味があるとか。あこがれは、芝の帝王ともいえる、ロジャー・フェデラー。そのフェデラーから、会場で

「おめでとうと祝福されました」

と話しています。

ロンドンへ到着するまでがひと苦労でした。本来なら、アンタルヤオープンの初代チャンピオンとして、プライベートジェットで送り届けてもらうはずが、機材の到着が遅れてキャンセルになった。良いことの後には悪いことがある、とはよく言われることですが、大会側から用意されたのは、格安航空会社のチケット。天国から地獄とは、まさにこのことでしょう。でも、

「試合が終わっても、かなり興奮していました」

と振り返っています。

さて、ウインブルドン1回戦は、地元英国のブライダン・クラインをストレートで下して、4大大会初勝利を飾りました。ちなみに今日行われる、2回戦の相手は、アンタルヤオープンの決勝で対戦した、フランスのアドリアン・マナリノです。

7月6日(木) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」

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