香港返還から20周年~中国が変わるということは幻想だった!高嶋ひでたけのあさラジ!

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FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②

「一国二制度」から揺らぐ中国の民主主義
7:02~ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター宮家邦彦(キャノングローバル戦略研究所研究主幹・外交評論家)

香港,習近平国家主席,彭麗媛夫人,香港国際空港

香港返還20年の記念式典に出席するため香港国際空港に到着した中国の習近平国家主席と彭麗媛夫人=20170629 写真提供:共同通信社


習近平氏が9年ぶりに香港を訪問

明日で香港がイギリスから中国へ返還されて20周年。中国本土から独立した一定の自治を可能とした「一国二制度」を実施してきましたが、この20年の間に香港の言論はむしろ制限が強化されてきています。

高嶋)宮家さん、習近平さんが9年ぶりに香港に行った。以前行ったときは国家副主席だったそうですから、主席就任後、初の訪問ということです。香港返還から20年になる。早いですねえ。

宮家)あっという間ですねえ。20年ということは1997年ですかね。中国は「一国二制度」とは言うのだけど、今は「一国一・五制度」ではないですかね。「二制度」ではないですよね。20年前はどう感じたかというと、中国は変わるのだと。これから改革・解放をどんどんやれば中国自身が変わっていかざるを得ないのだから、やれば良いのだと。だから50年経ったら、ずっと民主主義をやっていたら中国が変わっちゃうのだから大丈夫と。

高嶋)大変化する。香港と似たようなものになると。

宮家)ところが、中国側からすれば「とにかく50年我慢すれば良いんだ」と。でも50年我慢しなかった。もっと早くどんどん自由を制限する方向に動いている。それだけ力を付けたからですよね。だから中国が資本主義化することで良くなると思った人たちは皆外れて、むしろ制限が厳しくなったという意味では、これは歴史的な読み間違い。それが今の香港だと私は思います。
日本は天安門事件の後に最初に対中経済協力をやったのですよね。それはどうしてかというと「あんなことよりも中国の経済を安定させて、資本主義をどんどんやらせれば中国は変わるのだ」と皆幻想を抱いたのですよ。でも結局政治の部分は変わらなかった。経済の部分は大きく変わったけど。政治の部分については一切妥協をしないということが分かったわけです。


「傘の革命」もごく一部だった ほとんどの香港の人たちは“今”を選ぶ

高嶋)一昨年マカオにボクシングを観に行ったのですけど、ものすごい橋の工事をやっていて、大きな橋ができるのですよね。そのときも船がしょっちゅう行き来していて、本土からものすごい数の観光客が来ていて。
いわゆるカジノなんかは通路が山手線みたいになっていてギシギシで、もう人民が占領してしまって。それでワーキャー言っていて。だから「中国人も変わったもんだな」と。

宮家)ギャンブル好きは変わっていないと思いますけどね(笑)。

高嶋)今度は日本にワーッと来て、似たようなものですよね。

宮家)僕もその頃行きましたけど、傘の革命というのがあったじゃないですか、あれを見に行ったのですよ。だけど香港の都市って広いですから、でっかい街のごく一画だけですよ。もちろん大きなデモが小さくなっていったのだろうと思うけど、あれを見て「あー、これはやられちゃったね」と。ごく一部の人だけが騒いでいて、香港の人たちが民主化の為に立ち上がっているという感じは全然しなかった。

高嶋)ということは、ほとんどの香港の人たちは今の制度で、今の状況で良いではないかと。

宮家)これで民主化をやって食えなくなるのと、今のままで食えるのとどっちが良いかと言ったら、彼らは食える方を取ると思うのですよ。若い人たちは当然のことながら自由でありたいと思うけど。

高嶋)中国共産党も50年経ったら放すというような、そんなことはするわけが無いと。

宮家)今から思えばそうだったのですよね。

高嶋)選挙制度も変える気は無い?

宮家)無い無い。今度はもう選挙も止めようと思っているのではないかと思いますよ。

高嶋)あの時の理想に燃えたようなものは全く消えてしまっているじゃないですか。

宮家)そんなことをやったら今度は中国本土が持たないから。中国は頑張って守らなきゃ。

高嶋)香港警察は1万人の警官を動員して習近平さんの宿泊ホテルを守っているそうです。

高嶋ひでたけのあさラジ!
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