日本最大級の鉄道イベント「グランシップトレインフェスタ2016」①~浜松駅「三ケ日牛&遠州しらす弁当」(1,030円) 【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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5/14(土)JRの「さわやかウォーキング」に合わせて公開されたJR静岡車両区を後に、1キロほど歩いてようやくゴールの「グランシップ」へ。
「グランシップ」前の特設テントで「ゴール」の受付をしたところで、ウォーキング終了。
久しぶりの10キロウォークはだいぶ体に堪えましたが、思いのほか心地よい汗をかくことが出来ました。
かくして、いよいよこの日の本命イベント「グランシップトレインフェスタ2016」に乗り込むことになったわけです。

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今回で17回目となった「グランシップトレインフェスタ」。
例年「静岡ホビーショー」と同時開催され、地元をはじめ各地から鉄道好き、模型好きの人たちが「ホビーのまち・静岡」に集まります。
最寄りのJR東静岡駅からは「静岡ホビーショー」の会場・ツインメッセ静岡と「タミヤオープンハウス」(タミヤ本社)巡回する臨時循環バスも運行。
3つの会場をはしごする人も多く見られます。
「トレインフェスタ」は入場無料、子供向けの催しも多いことから家族連れで楽しめるイベントで、毎年およそ2万人から3万人の人出を記録しています。

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「トレインフェスタ」のメインは鉄道模型なのですが、私自身は「駅弁」が主目的。
先日の記事でもご紹介したように「トレインフェスタ」は静岡県内のJRで営業する駅弁屋さん・5社が一堂に会する年1度の機会でもあります。
静岡の駅弁屋さんは「東海道」という地の利もあって、5社が販売エリアを棲み分け、地元に密着した営業を行っているのが特徴。
東京駅などにあるような各地の駅弁を取りそろえた店で、商品を見かけることはほとんどありません。
なのに静岡1県で「5社」も駅弁屋さんが頑張っていて、加えて私鉄各社にも駅弁があるのは、全国的にも奇跡的なこと。
その意味でも静岡は「駅弁のあるべき姿」を伝統の味と共に守っている、真の「駅弁王国」とも言える地域なのです。

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とはいうものの「模型」も観ておきたいもの。
2階の客席に登ってメイン会場を見下ろすと、その景色は圧巻です。
ピークには、全館でおよそ「5,000両」も鉄道模型が走行。
静岡県内はもちろん、全国から「鉄道模型サークル」の人たちが、思い思いの模型を走らせます。
自分で模型やジオラマを作ったりする手先が器用な方には、ホントにたまらないでしょうね。

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11階のフロアでは、横浜の「原鉄道模型博物館」が出張展示。
やはり見たくなるのは「或る列車」ですよね。
或る列車」とは明治39(1906)年に当時の「九州鉄道」がアメリカのブリル社に豪華客車を発注しましたが、国有化のため活躍する機会がなかった幻の客車のこと。
特に名称も無かったのですが悲運の客車が「伝説」となっていく間に、通称が「或る列車」となっていきました。
この客車の模型を、世界的な鉄道模型の神様といわれた故・原信太郎氏が作成。(画像)
さらにこの模型を元に誕生したのが、去年、JR九州でデビューした豪華スイーツ列車「或る列車」です。
JR九州のデザイン顧問を務める水戸岡鋭治氏がデザイン・設計し、「原鉄道模型博物館」副館長を務める原健人氏が監修を務めています。
実際に九州で走っている「或る列車」は私も一度体験しましたが、大変素晴らしいもてなしでしたので、また機会を改めてご紹介したいと思います。

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そして3階では静岡県内の鉄道各社がブースを開設して、オリジナルグッズなどを販売。
「伊豆急行」「伊豆箱根鉄道」「岳南電車」「静岡鉄道」「大井川鐵道」「遠州鉄道」「天竜浜名湖鉄道」の静岡県内の私鉄7社が参加。
これに「JR東海」「JR貨物」が加わって、それぞれのカラーを感じさせるブースとなっていました。
他に会場では、アマチュア写真家の皆さんによる鉄道写真展なども開催。
グランシップの会場では「模型鉄」「撮り鉄」、そして「食べ鉄」まで楽しめてしまうという訳です。
「食べ鉄」のシンボル、静岡県内の駅弁屋さんによるブースは、例年同じ3階のフロアに展開。
10時の開場と共に多くのお客さんがやってきて、例年、昼前後には各社とも完売してしまいます。
今回、ウォーキング体験をして訪れた初日は到着が遅く、ほぼ全店で完売・・・。
このため2日目の開場に合わせて改めて訪問、各駅弁屋さんにお邪魔してきました。

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今日、ご紹介するのは静岡県西部を代表する駅「浜松駅」を拠点に「掛川駅」でも駅弁を手掛ける「自笑亭」。
自笑亭」とは数ある駅弁屋さんの中でもかなりユニークな屋号ですが、その誕生はなんと江戸時代!
安政元(1854)年、最後の浜松城主・井上河内守正直から「自笑亭」の屋号をいただいたという160年以上の歴史ある駅弁屋さんなのです。
もちろん「駅弁」に進出したのは明治に入ってからで、明治21(1888)年に東海道線が西から伸びてきて浜松まで開通した年のこと。
さらにその翌年「国府津~浜松間」が開通(御殿場回り)、西の滋賀県内でもレールがつながって、東海道線は「全通」となった訳です。

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そんな「自笑亭」の目下イチオシ駅弁といえば「三ヶ日牛&遠州しらす弁当」(1030円)。
浜松と聞いて「うなぎの駅弁は?」と思った人も多いと思いますが、もちろん現在でもうなぎ駅弁は販売されています。
ただ、昨今の「うなぎ」を取り巻く環境の変化により、1個「2000円台半ば」という高額駅弁になってしまいました。
そこで最近の浜松駅弁は、ご当地ブランド牛の「三ヶ日牛」と遠州灘の「しらす」が二枚看板となっています。
ちなみに「三ヶ日牛」は、みかんの名産地・浜松市の三ヶ日で飼われていた農耕用和牛をルーツに生産が始まった肉牛のこと。
現在では浜松のご当地ブランドとなっています。

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「三ヶ日牛」と「しらす」がハーフ&ハーフの構成。
面白いのは、何と言っても「三ヶ日牛」が敷かれた下の「黄色いご飯」!
もちろんこのご飯、サフランライスではなく・・・みかんピューレを使って炊き込まれた「みかんご飯」なのです。
ほんのり甘酸っぱく牛肉の味を引き立てる存在となっており、しらすの塩っ気とちょうどいいバランス。
自笑亭」には「三ヶ日牛」「しらす」それぞれ単独の駅弁もありますので、気に入ったほうをガッツリいただくことも出来ます。

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
「ライター望月の駅弁膝栗毛」
(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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