「さわやかウォーキング」に参加してJR東海静岡車両区へ行く②~新富士駅「駅弁版 極 富士宮やきそば弁当」(1,000円) 【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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5/14.15に静岡で開催された日本最大級の鉄道イベント「グランシップトレインフェスタ2016」。
合わせて5/14(土)に行われたJR東海のウォーキングイベント「さわやかウォーキング~静岡銘菓とJR東海静岡車両区を訪ねトレインフェスタ2016を楽しむ」に参加。
今世紀になってからは初公開、滅多に見られないJR東海静岡車両区を見学してきたライター望月です。
私自身、中学生時代以来、およそ四半世紀ぶりの静岡車両区(当時は静岡運転所)再訪。
展示されていた211系電車のヘッドマークにあった「SUNPU博’89」の文字が、そんな時代を思い起こさせてくれました。
「SUNPU博」は静岡市が平成元(1989)年に市制施行100周年を記念して開いた地方博で、真ん中のキャラクターは「スンピー」といいました。
ニッポン放送でいうと「ラジオビバリー昼ズ」が始まった頃、「かぼちゃ計画 もも計画」の頃ですね。

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今回「さわやかウォーキング」に参加して静岡車両区を見学した皆さんは、オリジナルのボードで記念撮影のサービスも・・・。
滅多にないことですので、急行「トレインフェスタ」号にも充当されたJR東海373系電車をバックに私も1枚パチリ。
JR東海373系電車は、去年で運転開始から20年を迎えた特急用車両で、3両で1編成、普通車のみ。
現在は身延線の特急「ふじかわ」や飯田線の特急「伊那路」などで活躍しています。
かつては特急「東海」、快速「ムーンライトながら」、東京~静岡間の普通列車などで活躍していたので首都圏でもなじみの車両ですね。

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373系電車は、静岡を拠点に運行されていた急行用の165系電車を置き換えるために登場した車両です。
その165系電車が使われていた代表的な列車が、1996年まで東京~静岡間で2往復運行されていた急行「東海」号。(画像上がかつてのヘッドマーク)
元々は昭和30年代から東京~名古屋・大垣間を結ぶ準急として始まり、新幹線開業後も新幹線通過駅のニーズを汲む列車として走り続けていました。
私も中・高生の頃は新幹線より安く横浜・東京へ行ける列車として重宝しており、大学進学で上京する時に乗ったのも急行「東海2号」でした。
現在、165系電車の先頭車とグリーン車1両ずつが名古屋市の「リニア・鉄道館」で保存・展示されています。

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165系電車の側面には電動幕は無かったので「サボ」(行先案内板)が使われていました。
急行「東海」と並んで、静岡車両区(当時の静岡運転所)が受け持っていたのが身延線の急行「富士川」。
昭和30年代末の運行開始以来、静岡で新幹線に接続して山梨と名古屋・大阪方面を結び、JR初期まで三島発着も1往復運行されていました。
「富士川」は途中の「富士」で進行方向が変わるため、サボが行先のみの「静岡行」となっており、私も物心ついた頃からよく見てきたモノです。
急行「富士川」は、平成7(1995)年に373系電車の特急「ふじかわ」となって、今も身延線の速達列車の役割を担っています。

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そんな東海道線と身延線が接続する「富士」を拠点に駅弁を販売しているのが、大正10(1921)年創業の「富陽軒」。
明治時代からの駅弁屋さんが多い東海道線にあって後発なのは「富士駅」の開業が、明治42(1909)年と遅いためと推察します。
明治22(1889)年に東海道線が通った時には、江戸時代の宿場に合わせて鈴川(現・吉原)、岩淵(現・富士川)に駅が設置されました。
しかし製紙工業の発展で、工場の前に「駅」が必要になって「富士駅」が誕生、合わせて富士身延鉄道(現・身延線)も乗り入れてきました。
1921年というタイミングは、前年に富士身延鉄道が身延まで開通、身延山への参詣客など「乗換駅」として駅弁のニーズが高まったことが伺えます。

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現在「富陽軒」は、昭和63(1988)年に開業した東海道新幹線・新富士駅がメインの売り場となっています。
数ある駅弁の中で、ひと際目を引くのが「駅弁版 極 富士宮やきそば弁当」(1000円)!
B級ご当地グルメの雄「富士宮やきそば」を使った、全国的に珍しい「焼きそば」メインの駅弁なのです。
「富士宮やきそば」は中心市街地の「まちおこし」を原点に、2000年頃から「富士宮やきそば学会」による積極的なメディア展開で一躍有名になりました。
富士宮市内では「富士山本宮浅間大社」前の「お宮横丁」をはじめ各所で食べられますが、時間がない時は駅弁でもいただくことが出来ます。
(参考:富士宮やきそば学会HP

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「富士宮やきそば」は何といっても「蒸し麺」を使用するため、コシのある食感が特徴です。
製麺業者も決まっており、富士宮市内の「マルモ食品工業」「叶屋」「曽我めん」「木下製麺所」の4社のいずれかのものを使用。
駅弁版ではやきそばのほか、ピリ辛のわさびご飯に牛肉、エビ・ホタテ・イカ、野菜まで入った、少しボリュームのある作りとなっています。
所々「おや?」っとした小さな固まりに出逢うことがありますが、これも富士宮やきそばならではの「肉かす」。
食べる直前に、地元では「だし粉」と呼ばれるイワシの削り節を振りかけていただきます。

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そして静岡県内の駅弁では唯一、ひもを引っ張って温める「加熱式駅弁」なのがこの駅弁。
以前、製粉業者の方に訊いた話では、小麦粉の成分は「加熱」して初めてその美味しさが引き出されるのだそう。
つまり「冷めても美味い」が基本の駅弁には最も向かないのがコナモン・・・だからこその「加熱式」なんでしょうね。

ちなみに「富士宮やきそば」が蒸し麺なのは、実は身延線を通じて繋がる山梨の皆さんの存在もあるといわれています。
昔も今も山梨県南部の富士川沿いには、県境を越えた「富士宮」で働いたり、買い物をする人が多くいます。
この人たちが冷蔵庫の無い時代、富士宮でやきそばの麺を買って、身延線で帰る際に大事だったのは「日持ち」すること。
そこで開発されたのが水分を極力少なくする「蒸し麺製法」で、水を足したり、キャベツの水分で補うという工夫。
現在、富士宮駅近くに巨大なショッピングセンターがありますが、ココは元々「オーミケンシ」という大きな工場でした。
身延線沿いで生まれ育った私が小さい頃、朝夕の列車にはココの制服を着た人たちが多く乗車していたというおぼろげな記憶があります。
そんな人たちが、仕事帰りは商店の買い物袋を下げて、旧型国電に揺られ身延方面へ乗っていったもの。
ということは・・・食べテツ的な観点では「富士宮やきそば」のあの独特の食感は「身延線が生んだ」とも言えるのではないかと思います。
「富士宮やきそば」の駅弁は通常、新富士駅での販売ですが、身延線を旅するなら、ぜひ買い求めてほしい駅弁でもあります。

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現在、身延線のみならずJR東海エリアの主力車両となっているのは313系電車。
東海道線(静岡地区)ではロングシート、身延線・御殿場線ではボックスシート中心の車両。
東海エリアでも、路線によって車内にバリエーションがあるのが特徴です。
普段は東海道線の熱海、御殿場線の国府津、身延線の甲府ほか、名古屋周辺や信州、西は米原辺りまで見られる313系。
この日はロングシートの2両編成の車内が開放され、運転台の見学や展示が行われていました。

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車内には列車の運行に当たっての「安全対策」への取り組みなどの紹介も・・・。
今では静岡エリアだから・・・ということでもなくなってきましたが、地震対策、津波対策への取り組みも紹介。
やっぱり、鉄道会社というのは「たくさんの命を預かる会社」ですから、「安全」が全てに最優先されるわけです。
鉄道イベントの中に、こういった「学び」の要素があるのも大事ですね。

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313系電車からは「非常用はしご体験」という形で下車。
コレって乗客の立場からすると貴重な体験になりますし、いざという時の心づもりにもなります。
一方、鉄道会社にとっては、きっと避難誘導のシミュレーションにもなるハズ・・・。
双方にとっていいコトですよね。

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実は入場時に、展示を見ると答えられるクイズが3問、出題されていました。
クイズに参加すると、373系電車などに備え付けられている「滑り止めの砂」のプレゼントも・・・。
この砂、雨でレールが濡れたりすると車輪が空転しやすくなるため、これを防ぐために車両に備え付けられているもの。
私の実家の隣を走る身延線はちょうど登り坂になっており、昔、夕立があると165系電車が空転で坂を登れず、3~40分停まっていたこともよくありました。
こういった教訓から、最近の車両にはあらかじめ「砂まき装置」が付いている車両も多いようです。

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今回「さわやかウォーキング」のコースに組み込まれる形で、久々に公開されたJR東海静岡車両区。
車両基地の公開というのは、鉄道各社で行われていますが、どうしてもコアなファンが集まりやすいもの・・・。
その点、ウォーキング参加者のみということで「鉄道好きじゃない人にも、鉄道の裏側を知ってもらえる機会」になっていたと思います。
一方、鉄道好きにも、10キロの道のりを歩くことで”街の風景の中の鉄道”というものを感じることが出来ました。
年1回のお祭り「トレインフェスタ」と組み合わせて、恒例行事になってくれたら嬉しいかも。

さあ、いよいよ「トレインフェスタ」に・・・。

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
「ライター望月の駅弁膝栗毛」
(取材・文:望月崇史)

【ごあいさつ】
はじめまして、放送作家の望月崇史(もちづき・たかふみ)と申します。
ニッポン放送には、昔の有楽町の社屋の頃から、かれこれ20年お世話になっています。
最近では、月~木・深夜24時からの「ミュ~コミ+プラス」で放送された、
ルートハンター」のコーナーに、5年ほど出演させていただきました。

そんな私がライフワークとしているのが「駅弁」の食べ歩き。
1年間に食べる「駅弁」の数は多い年でのべ500個。
通算でも4500個を超えているものと思います。
きっかけとなったのも、実はニッポン放送の番組。
2002年~05年に放送された「井筒和幸の土曜ニュースアドベンチャー」の
番組ウェブサイトで「ライター望月の駅弁膝栗毛」を連載することになり、
本格的に「全国の駅弁をひたすら食べまくる生活」に入りました。
以来、私自身のサイトや、近年は「ライター望月の駅弁いい気分」というブログで
「1日1駅弁」を基本に「駅弁」の紹介を続けています。
”駅弁生活15年目”、縁あってニッポン放送のサイトで連載させていただくことになりました。
3つの原則で「駅弁」の紹介をしていきたいと思います。

①1日1駅弁
②駅弁は現地購入
③駅弁のある「旅」も紹介

「1日1駅弁」ですので、日によって情報の濃淡はありますが、
出来るだけ旬の駅弁と鉄道旅の魅力をアップしていきますので、
ゆるりとお付き合い下さい。

【プロフィール】

望月崇史(もちづき・たかふみ)望月

1975年12月8日静岡県生まれ。
早稲田大学在学中から、ニッポン放送で放送作家に。
卒業後の2002年「井筒和幸の土曜ニュースアドベンチャー」の番組サイトで始めた
ライター望月の駅弁膝栗毛」をきっかけに、全国の駅弁食べ歩きをスタート。
以来およそ15年、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。
1日1駅弁のウェブ紹介を日課とし、これまでに食べた駅弁は4500個以上。
ニッポン放送「ミュ~コミ・プラス」ルートハンター、鉄道特番などにも出演。
丸の内朝大学・温泉クラスの講師も務める。