東芝子会社“東芝メモリ”売却~優先交渉先は日米韓3ヵ国連合  高嶋ひでたけのあさラジ!

By -  公開:  更新:

6/22(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③

アメリカ「ウエスタンデジタル」は反対声明を発表
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター山本秀也(産経新聞論説委員)

東芝メモリ,四日市工場

東芝メモリ四日市工場HPより


さまざまな条件から「日米韓3カ国連合」へ

経営再建中の東芝は、半導体子会社の売却に向けて、日本、アメリカ、韓国のファンドや企業による連合と優先的な交渉に入る方針を決めました。これについて、売却の中止を求める裁判を起こしているアメリカの「ウエスタンデジタル」は、「契約違反だ」と反対するコメントを発表しました。

経営再建中の東芝は、来年3月末に、2年連奥で債務超過になると、上場廃止になります。この事態を避けようということで、半導体子会社の売却を目指していますが、東芝は昨日、その半導体子会社「東芝メモリ」の売却に向け、経済産業省が主導した、日米韓の3カ国連合と優先的な交渉に入ると発表しました。この3カ国連合は、政府系ファンドの、産業革新機構、日本政策投資銀行、そして、アメリカファンドのべインキャピタルで構成されています。韓国の半導体大手「SKハイニックス」が、アメリカのファンドと連携し、参画しています。この3カ国の連合の提案では、買収額は2兆円。「東芝メモリ株の議決権の、66.6%を日本勢が握る」となっています。国外への技術流出の阻止や、雇用維持の観点から財界の実力者や有識者を含んだ東芝の取締役会が、「もっとも優位性が高い」と判断しました。世耕経済産業大臣も、昨日次のように述べています。

世耕経済産業大臣)技術の流出は防止しなければならない、ということ。また、四日市工場における、雇用を確保しなければならない、ということ。日本自身の産業革新に繋がるものではならない、ということを申し上げてきましたが、そういう観点からは、一定の条件を満たしていると、歓迎をしたい。そういう風に思います。

森田耕次解説委員)経済産業省は技術流出を懸念し、今年の3月に、「中国企業などが買収する場合は、中止の勧告を検討する」と表明しており、当初は3兆円近い買収額を提示したとされる、台湾の鴻海精密工業は、この時点で対象外となっていました。この後の流れですが、この買収案については28日の株主総会までに合意して、来年3月までの売却完了を目指すことになります。ですが、三重県四日市市の半導体工場を、東芝と共同運営している、アメリカの「ウエスタンデジタル」が、「契約違反」だと反対するコメントを改めて発表し、法廷で争う姿勢を鮮明にしました。ウエスタンデジタルは売却の差し止めを求め、アメリカの裁判所に提訴しており、裁判の展開次第では、売却手続きが頓挫するおそれがあります。裁判がひっくり返ると、巨額の賠償額を負いかねない、ということにもなっています。


28日の株主総会に間に合うか

高嶋)とにかく、半導体。会社にとっていちばんの儲け頭を売って、最低でも2兆円の資金を得て、それを借金に充てて、「東芝」という名前を残すというかね。

山本)そうしないと、赤字解消にならないわけですよね。

高嶋)やっと分かりました。韓国というのは、いまの話にあったように、革新機構と、政策投資銀行、アメリカ投資ファンドのベインキャピタルと、韓国半導体SKハイニックスと、合流して、「日米韓連合」を作る、と。やはりこれは組まないと、金が出ないということでしょうか?

山本)組まないで出そうと思ったら、いろいろな条件がクリアできず、除外されてしまいますからね。たとえば、鴻海やシャープは3兆円を持ってきた。額的にはOKでしたが、鴻海という会社は中国で手広く工場を持っているので、技術流出の懸念がある。

高嶋)もう典型的ですよね。

山本)まあ、それは置いておいて。いずれにしても、今度のシャープのこの話。ポイントは、カリフォルニア州の上級裁判所に出ている「仮処分」、売却話の差し止めを求めていますので、これの決定がどう出るのか、というのと、28日の株主総会に間に合うのかどうか。ここのところでの見合いなのですが、これはまずウエスタンデジタルの方と対立関係の解消ができないと、この話はご破算になりかねません。日数の少ない状況で、難しい状態になっていますね。


まるで詰将棋!どこに行っても別問題が付いてくる

高嶋)ウエスタンデジタルと東芝メモリは、かつては両方で資金を出し合う、割り勘の会社だったのですよね?

山本)ええ。ですから、四日市の工場も未だに共用関係にあるわけです。

高嶋)それを、なぜ相手にしなくなったのですか?

山本)要するに、「これで全部丸替えしてくれるのか」という話でもないわけです。鴻海ではありませんが、3兆円持ってきてくれれば、話は違ったのでしょうけれど、そういう話はないわけですよね。それで、もう消えてしまいましたが、アメリカの「ブロードコム」に売る、という話も途中まではありました。ところが、その場合ブロードコムとウエスタンデジタルはもろに競争相手ですから、これは片方が巨大になると、「俺の話はどこにいったんだ」となる。

高嶋)どちらに触れても何かの問題が引っ付いてくる。そういう感じですね。

山本)全部ですね。まさに詰将棋をやっているような感じです。

高嶋)それで、売却が無事に完了したとしても、上場維持に向けてはまたハードルがあり、例の監査法人がへそを曲げているところとか。

山本)そうですね。これは2017年3月期の、有価証券報告書の問題がありますから。これは、もう出さなければいけない。それが間に合う見通しがまったく立っていなくて、金融庁が延ばしてくれるか、という話。でも、「宿題の提出期限が来ているのに、先生がいつまで待ってくれるのか?」という問題ですね。これを出さないと、マズいわけです。

高嶋)あれだけの世界に進出した大企業の東芝が、こんな苦境に陥るとはね。私がいちばん悲しいのは、「いちばん儲かっている」というものを手放さなければいけない。背に腹は代えられない。一体誰が、こうしてしまったのか。

ockquote>高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

Page top