佐世保駅「佐世保名物 レモンステーキ弁当」(1,300円)~新しいJR最西端の名物!【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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783系特急「みどり」

783系特急「みどり」

夕暮れの佐世保駅に入ってきた4両編成の列車は、博多からの特急「みどり」。
博多を出ると二日市・鳥栖・佐賀・肥前山口・武雄温泉・有田・早岐(はいき)に停まり、佐世保までは2時間弱の旅となります。
武雄・嬉野の温泉郷や、有田・伊万里など陶磁器の郷への観光輸送を担う列車でもあり、終点・佐世保の1つ手前、早岐までは特急「ハウステンボス」と併結する列車もあります。

佐世保駅

佐世保駅

佐世保駅の改札を抜けると、目に入ってくるのが1つの木製モニュメント。
実は佐世保駅、東経129度43分にあって、全国のJR線では最西端となる駅なんです。
やはり「端っこ」には一度は行きたいものですが、最北端・稚内(宗谷本線)、最東端・東根室(根室本線)、最南端・西大山(指宿枕崎線)は、それぞれ列車本数が極めて少ない駅。
その点、佐世保は博多から毎時1本の「みどり」があるので、とても「行きやすい端っこ」なんです。

松浦鉄道・普通列車「たびら平戸口」行

松浦鉄道・普通列車「たびら平戸口」行

佐世保は、あくまでも「JR最西端」の駅で、国鉄時代の最西端は、松浦線の平戸口(ひらどぐち)駅でした。
松浦線はJRになって程なく第3セクター化されたため、今では松浦鉄道の「たびら平戸口」駅が、“普通鉄道の”日本最西端の駅となります。
“普通じゃない鉄道”まで入れますと、沖縄・ゆいレールの那覇空港駅が日本最西端。
那覇空港駅は飛行機でひとっ飛びすれば、簡単に行けてしまいますが、佐世保からたびら平戸口までは、気動車にトコトコ1時間20分ほど揺られないと行けないのがまた旅情を誘います。
平戸へ足を伸ばす際は、ぜひ「日本最西端の駅」を訪ねる旅を組み込みたいものです。

佐世保駅弁「匠庵」

佐世保駅弁「匠庵」

さて、JR最西端・佐世保駅には、「駅弁」があります。
つまり佐世保は、JR最西端の「駅弁販売駅」でもあるわけです。
実は佐世保では2010年代前半、昔からの業者さんがやめてしまったため、「あごめし」をはじめとした名物駅弁が失われてしまいました。
現在、佐世保の駅弁を手掛けているのは、平成27(2015)年8月に出来た「自家製麺あごだしうどん 匠庵(しょうあん)」。
これに合わせて、駅弁の販売も改めて行われるようになりました。

レモンステーキ弁当

レモンステーキ弁当

佐世保で肉といったら・・・・佐世保バーガーだけじゃない!
鉄道旅的には、以前から佐世保の名物駅弁だった「レモンステーキ弁当」(1,300円)でしょう。
新しい駅弁屋さん「匠庵」も、レモンステーキの駅弁を作ってくれました!!
レモンステーキ」とは、アメリカ海軍の影響で流行したステーキを日本人の口にあうようにアレンジして生まれたという佐世保のご当地グルメ。
普通のお店では、食べやすい薄切りの肉を鉄板の上に置いて、焼きあがる直前にレモン風味の醤油ベースソースをかけていただくのが一般的とされています。

レモンステーキ弁当

レモンステーキ弁当

白い掛け紙を外すと、香ばしい匂いと共に、スーッとレモンの香りが漂ってきました。
見た目も脂がのったステーキ肉がジュワっとしていて、とても食欲をそそってくれます。
お店の方に伺うと、前の業者さんからレシピ等を受け継いでいないとのことですので、コチラの「レモンステーキ弁当」は、「匠庵」のオリジナル!
九州産の黒毛和牛を薄切りにして、自家製のレモンソースで仕上げているそうです。

レモンステーキ弁当

レモンステーキ弁当

今回、夕方に訪問したこともあり、電話予約(0956-23-3316)をして伺ったのですが、手に取ると、まだご飯の温もりが感じられる弁当をいただくことが出来ました。
実は「匠庵」の駅弁、駅の中のうどん屋さんの厨房で作られているので、常に出来たてなんです!
やっぱり特急列車の始発駅では、駅弁の1つくらいは欲しいもの。
厳しさは相変わらずの駅弁業界ではありますが、その中で一度は途切れた佐世保駅弁の歴史を「匠庵」が新たに紡ぎ始めてくれたことに、1人の旅人としてまずは感謝です。

佐世保の夕日

佐世保の夕日

きょう(6/21)は、1年で最も昼間の時間が長い「夏至」。
佐世保の「夏至」の日の入りは19時33分で、東京より30分以上遅くなっています。
この時期、夜7時半を過ぎても明るさを感じられることが、ほぼ東経140度の東京から、経度10度西にやってきたことの何よりの証といえましょう。
こんな時期こそ、日本最西端の駅を訪ねてご当地の味をいただきながら、日本の広さを身をもって体験されてはいかがでしょうか。

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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