ひろたみゆ紀・空を仰いで

ご存知ですか?世界初のBONSAIの聖地「大宮盆栽美術館」【ひろたみゆ紀・空を仰いで】

東京オリンピック・パラリンピックまで後3年。
4年に1度のスポーツの祭典に向かって盛り上がってきましたね。

そして4年に1度といえば、サッカーW杯が来年ロシアで開かれますし、ラグビーW杯は2019年に日本で開催される予定です。
しかし!今年4月末、もう一つの4年に1度のすごい大会が埼玉で開かれたのをご存知ですか?
しかも第1回大会を日本で開いて以来、28年ぶりの凱旋です。国内外から多くの方々が訪れました。

その大会とは!ズバリ『世界盆栽大会』です!

盆栽といえば…波平さんが大切にしている盆栽をカツオが壊してしまうというサザエさんの場面を思い出す方が多いかもしれませんね。
日本では「昭和のお父さんの趣味」というイメージの盆栽ですが、海外では年々人気が高まっています。
農林水産省の統計でも、2009年には44.7億円だった植木などの輸出額が、2012年には81.7億円に急増しています。
ヨーロッパ、特にイタリアでは盆栽は「BONSAI」として人気が高いのです。

ヨーロッパ・アメリカ・アジアなどで世界盆栽大会が開かれるほど、なぜそんなに魅力があるのか。
その秘密を探りに、さいたま市の『大宮盆栽美術館』に行ってきました。世界で初めての公立の盆栽美術館です。

大宮盆栽美術館

JR土呂駅から歩いて5分。実はこの辺りは大宮盆栽村と呼ばれ、かつて東京で盆栽業を営んでいた職人さんたちが、関東大震災をきっかけにこの地に移り住んできたのです。最盛期の1935年頃には30ほどの盆栽園がありました。その数は減ってしまいましたが、今でも国内はもとより世界中から多くの愛好家たちが訪れている名品盆栽の聖地なのです。

緑豊かな静かな環境にある『大宮盆栽美術館』は、一見、一軒家の佇まい。立派な邸宅だなと思うような素敵な日本家屋です。
建物の中には、盆栽の見方や歴史などがわかりやすくパネルで展示されていたり、素晴らしい盆栽のコレクションが季節に合わせて美しく飾られています。

特に座敷飾りが圧巻!お座敷に掛け軸とともに飾られた盆栽は、どっしりしているのに繊細でまるで呼吸をしているようです。1mにも満たない盆栽を見て圧倒されるような感覚を味わったのは初めてのことでした。

大宮盆栽美術館

それもそのはず。盆栽とは、大自然に生きる雄大な樹木の姿を凝縮したもの。自然の樹木に盆栽家が極限まで手を加えてその姿を整え、小さな木に大樹の威厳を宿らせるものなのだそうです。
つまり鑑賞する時は、盆器(鉢)の中に凝縮された大自然の情景をイメージすることが大切です。それを容易くするには、盆栽を下から見上げるようにして見るといいのだとか。

他にもこんなことも教えてもらいました。盆栽を見ていると枝や幹の一部が白骨化して白くなっているものがありますよね。その白い部分にも名前があるんです。白い枝先のものを「ジン(神)」、幹の一部が白く枯れたものを「シャリ(舎利)」と呼びます。有難い名前ですね。

ギャラリーでそんな盆栽の知識を手に入れたら、盆栽庭園に出て見ましょう。
ここには常時約60点の盆栽が展示されています。

大宮盆栽美術館,花梨

花梨

高さ1mほどの実もの盆栽《花梨》。
太く力強い根と堂々とした幹から炎のようにゆらめく枝先が大樹のようです。元首相の佐藤栄作や岸信介らに愛蔵され、日本盆栽協会から「貴重盆栽」第一号に認定されました。まさに凝縮の美がここにあります。

大宮盆栽美術館,真柏-銘-寿雲

真柏-銘-寿雲

時を経て白色化したシャリと褐色のしなやかな幹、そして緑の葉の対比が見どころの《真柏 銘 寿雲》。
真柏とはヒノキ科の常緑樹ミヤマビャクシンのこと。生命の力強さが表れています。

大宮盆栽美術館,五葉松 銘 千代の松

五葉松 銘 千代の松

高さ1.6メートルを超える大作《五葉松 銘 千代の松》。
土を力強く掴み巨体をくねらせながら上昇する幹と豊かに繁った葉から、大型盆栽の迫力が感じられます。

大宮盆栽美術館,山もみじ-銘-武蔵ヶ丘

山もみじ-銘-武蔵ヶ丘

根が癒着して盛り上がった盤根が山あいの散策路を思わせ、歩きたくなるような景色をかたちづくっている《山もみじ 銘 武蔵ヶ丘》。
このひと鉢の盆栽を通じて、四季折々の武蔵ヶ丘の散策が楽しめます。

鳥のさえずりも聴こえる心落ち着く風景の中、静かに盆栽に対峙すると、ひとつひとつの個性が際立ってきます。「ああ、この盆栽はここが正面だ。幹の立ち上がりがなんて優雅なんだろう。」「おお!ジンシャリだ!品があって綺麗」…見れば見るほど楽しく面白くなってきます。ここに来るまでは、なんとも思っていなかったどころか、盆栽に対峙することさえありませんでした。
それなのに、じっと見ていると自分が森や林の中にいるような気分になるのです。それが盆栽の魅力なのかもしれません。自然に手を加えることで作られる生きたアート。自然のミニチュア。誰かが作った作品が何十年何百年と生き続けているものもあるのです。

綿綿と引き継がれてきた盆栽は、自然との共存なのかもしれません。両手で抱えられる憧れの自然。すぐそばで癒してくれる自然。
小さな盆栽が、都市化する現代社会に生きる私たちにエネルギーを注入してくれるのです。
あなたもぜひ一度、世界で唯一の『大宮盆栽美術館』で、大自然の大樹の真髄と向き合って見ませんか。

大宮盆栽美術館
大宮盆栽美術館
さいたま市大宮盆栽美術館
さいたま市北区土呂町2-24-3
電話:048-780-2091
URL:http://www.bonsai-art-museum.jp
開館時間:(3~10月)9:00~16:30(11~2月)9:00~16:00
休館日:木曜日(祝日は開館)年末年始、臨時休館日あり(6/12~15休館)
観覧料:一般    300円
高大生・65歳以上  150円
小中学生      100円

ひろたみゆ紀,空を仰いで

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