10時のグッとストーリー

吉野杉と吉野檜~500年続く山守を受け継いだ七代目【10時のグッとストーリー】

番組スタッフが取材した「聴いて思わずグッとくるGOODな話」を毎週お届けしている【10時のグッとストーリー】

今日は、会社員を辞めて500年の歴史を持つ林業を継いだ七代目山守(やまもり)として活躍する男性のグッとストーリーです。

奈良県・吉野町(よしのちょう)。
南北朝時代に後醍醐天皇が朝廷を開いた地でもあり、春は桜の名所としても知られる自然豊かな町ですが、その伝統産業が「林業」です。
吉野林業は500年の歴史を持ち、吉野杉・吉野檜は高品質の木材として昔から重宝されていますが、その町の宝である山林を管理するのが「山守(やまもり)」という仕事。

現在、吉野で七代目の山守を務めているのが、中神木材代表の中井章太(あきもと)さん48歳です。

中神木材

中神木材代表中井章太(あきもと)さん

木がちゃんと育って木材として出荷されるまでには、何十年もの時間と、細かい手仕事が必要です。均一な年輪の節がない木にするために“枝打ち”をしたり、毎日朝から山に入って、一本一本、木の様子を見て回っています。

という中井さん。
大学卒業後、5年半会社勤めをしていましたが、28歳のとき吉野に帰り、家業を継ぎました。
当時はバブルが崩壊し、景気も下向きになっていましたが、まだその頃は、吉野の杉や檜にはブランド力があり、黙っていても木材は高値で売れていました。
ところが…1998年9月、大型の台風7号が吉野の山林を襲い、何代にもわたって育ててきた木々が、一瞬にして根こそぎ倒れてしまったのです。
倒れた木は商品価値をなくし、高値で取引されていた木材の価格も下落。
吉野林業そのものが、存亡の危機に陥りました。

家業を継いでまだ1年ちょっとの頃で、正直途方に暮れましたが、あの台風が林業そのものを見つめ直す、いいきっかけになりました。

という中井さん。
もうこれからの時代は、木を育てて、切って、出荷しているだけではやっていけない。
吉野杉・吉野檜の材質の良さを、顧客に直接伝えていかなくては…

そこで中井さんは、吉野の木材を使ったインテリア商品を開発して、東京の展示会に出展したり、有名デザイナーに学習机を作ってもらったり、吉野杉で作った樽を使っている酒蔵で日本酒の試飲会を行ったり、様々な形で吉野林業をアピールしていきました。

地域産材で作る自分で組み立てるつくえ

地域産材で作る自分で組み立てるつくえ

吉野杉で作った樽

吉野杉で作った樽

そういう活動をすることで、今まで出逢えなかった人たちと繋がることができて、これまでとは違った世界が開けてきたんです。

そう語る中井さんは、出逢った人たちに吉野の山を歩いてもらおうと「吉野山守モニターツアー」という企画を始めました。
実際に山林を歩くことで、吉野林業が長い歴史の中で代々営まれてきたことを実感してもらおうというこのツアーは好評で、吉野杉・檜の新たなファンも増えているそうです。

吉野山守モニターツアー

吉野山守モニターツアーの様子

吉野山守モニターツアーの様子

吉野山守モニターツアーの様子

吉野の木材の特徴である、均一な年輪の幅…それは長い年月を掛けて、人と自然が調和して作り上げた芸術作品だと思います。

という中井さん。

山守はスポーツでいうと、駅伝のようなものです。どんなに苦しいことがあっても次の世代にタスキを繋いでいく仕事。これからも、吉野の山を育て、山の豊かさを世間に発信していきたいですね。

【10時のグッとストーリー】
八木亜希子 LOVE&MELODY 2017年6月10日(土) より

八木亜希子,LOVE&MELODY

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