しゃベルシネマ

綾野剛と村上虹郎が魂の対決【しゃベルシネマ by 八雲ふみね・第215回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回は、6月3日から公開となる『武曲 MUKOKU』を掘り起こします。

闘うことでしか生きられない、男たちの魂の対決


古都、鎌倉。
剣道五段の腕を持つ矢田部研吾は、幼少期から剣道の達人である父に鍛えられ、その世界では一目置かれる存在。
しかし父をめぐるある事件がきっかけで、剣を捨て自堕落な生活を送っていた。

母はすでにこの世を去り、剣豪だった父は病院で植物人間状態。
アルコールに溺れ、駅ビルの警備員をしながら細々と暮らす研吾を見かねたもう一人の師匠である光邑師範は、彼を立ち直らせようと高校生の羽田融を送り込む。

ラップのリリック作りに夢中な融は剣道初心者だったが、実は本人も気づかない天性の剣の才能を秘めていた…。

生きる気力を失った凄腕の剣士と生まれながらの剣の才能を持つ少年の宿命の対決を描いた、芥川賞作家・藤沢周の小説「武曲」。
21世紀の剣豪小説と高く評価されている原作を『私の男』で第36回モスクワ国際映画祭最優秀作品賞に輝き、いまや世界中から注目される監督の一人となった熊切和嘉が映画化しました。

矢田部研吾を演じるのは、ラブストーリーからアクション、衝撃作からコメディまで幅広い役柄にチャレンジし続ける綾野剛。
剣道家の体を表現するために2カ月かけて肉体改造、野性味あふれる演技で観る者を引きつけます。
対する羽田融役は、若手ながら類稀な存在感を放つ村上虹郎。
二人が対峙するシーンからは狂気すら漂い、思わず呼吸するのを忘れてしまうほど。

共演には前田敦子、風吹ジュン、小林薫、柄本明と比類なき実力派たちが顔を揃え、彼らの激しく燃えさかる闘いを盛り上げました。
全編鎌倉ロケを敢行し、唯一無二の剣道映画が誕生しました。

本作を漢字一文字で表すならば、やはり「漢」でしょうか。
まるで剣道具の匂いがスクリーンから立ちこめてきそうな気迫があり、良い意味で漢臭い映画です。
剣道という武術の持つダイナミックさ、その道に身を置く剣士たちの精神性という繊細さが巧みに表現されていて、これぞ現代のサムライ映画と呼べるでしょう。
ラスト10分の決闘シーンは、観客も“覚悟”が必要ですよ。


武曲 MUKOKU
2017年6月3日から全国ロードショー
監督:熊切和嘉
原作:藤沢周『武曲』(文春文庫刊)
出演:綾野剛、村上虹郎、前田敦子、片岡礼子、神野三鈴、康すおん、風吹ジュン、小林薫、柄本明
2017「武曲 MUKOKU」製作委員会
公式サイト http://mukoku.com/

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