「組織犯罪処罰法改正案」衆議院を通過 高嶋ひでたけのあさラジ!

5/24(水)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③

英マンチェスターコンサート会場で爆破テロ発生~日本のテロ対策と「テロ等準備罪」はどうあるべきか?
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター鈴木哲夫(ジャーナリスト)

衆院本会議で「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案の採決で投票する議員=20170523午後国会 写真提供:産経新聞社

衆院本会議で「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案の採決で投票する議員=20170523午後国会 写真提供:産経新聞社


イギリス・マンチェスターで爆破テロ発生~日本では「組織犯罪処罰法改正案」が可決

イギリス中部マンチェスターのコンサート会場で22人が死亡した爆発について、メイ首相は自爆テロと断定しました。一方日本では共謀罪の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する「組織犯罪処罰法改正案」が昨日の衆議院本会議で自民・公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決しました。

高嶋)いやあ、またぞろ怖いテロが起きました。それではその辺も含めまして、ニッポン放送報道部の森田耕次解説委員です。

森田)イギリス・マンチェスターのコンサート会場で起きた爆発では、8歳の女の子を含む22人が犠牲となった他、59人が怪我をしました。会場で手製の起爆装置を持った男1人が死亡しましたが、実行犯はサルマン・アベディ容疑者(22)とみられ、リビア系イギリス人とされています。
それで過激派組織「IS-イスラム国」がネット上に声明を発表しまして「ISの兵士の1人が実行した」と主張しているのですが、ISとの具体的な結びつきには言及しておりません。
今回のテロについて「FBI-アメリカ連邦捜査局」でテロ対策を担った専門家は「多くの人が集まる場所全てを完全に警備するのは不可能だ」と指摘しておりまして、劇場だとか競技場、映画館といった“ソフトターゲット”の安全を確保する難しさが改めて浮き彫りになった事件でもありました。
一方日本では「テロ等準備罪」を新設する「組織犯罪処罰法改正案」が昨日衆議院を通過しました。この法律は対象犯罪を277に絞り込んでおりまして、適用対象をテロ組織や暴力団といった組織的犯罪集団と規定しています。構成員が2人以上で犯罪を計画し1人が下見などの準備行為をすれば、計画に合意した全員が処罰されるというものです。これまでは犯罪を実行した後に処罰するというのが原則だった刑法の体系がこれで変わることになります。
安倍総理は「一般の方々が対象になることは無い」と重ねて答弁しているのですが、野党は「捜査機関による恣意的な捜査への疑念を解消できない」と指摘しています。昨日の衆議院法案通過後の金田法務大臣と民進党の蓮舫代表です。

金田法務大臣)国民の安全・安心そして明るい社会の為に、是非とも必要であり重要な法案であるということをご理解いただいた結果だと、このように思っております。

蓮舫代表)しっかりと熟議をするべきだと私たちは主張してきましたが、いとも簡単に数の力で押し切った。とてもでないですけれども納得出来ません。

森田)それでこの法律の目的というのは日本がまだ批准していない「国際組織犯罪防止条約」に加盟する為ということでして、各国とテロなどの情報共有を進めていくにはこの条約に加盟しなくてはならないのですね。ですからこの条約に加盟すれば様々な情報を融通し合えて、テロ対策などの国際協調も可能になります。
ただこの法律はテロ以外の組織犯罪集団も対象でして、組織犯罪の典型がテロだということでテロだけど対象にしている訳ではありません。
野党は今後の参議院の審議の中ではこの法案について、プライバシー権に関する国連特別報告者のケナタッチという人物が「表現の自由を制約する恐れがある」という書簡を日本政府に送っていたということで、この辺を参議院の審議では問題視する構えなのですが、政府としては「この書簡は一方的に送られた物で、法案を正しく理解して作ったものではない」という風に反応しているのですね。


多くの人が集まる“ソフトターゲット”への対策の難しさが浮き彫りに

高嶋)まずマンチェスターの方の、でかい事件でソフトターゲットなんていう。
それで今度は何か帰りを狙っているのですよね。2万数千人入るというでっかい会場で、それで“マライア・キャリーの再来”なんて言われている女性、彼女はその後本当に錯乱状態みたいになって「ごめんなさい」を連発していましたけど。そういうものまできっちり守るにはどうしたら良いか。
自爆テロというのはISが犯行声明を出していますけど、これは分かりませんよね。

鈴木)いやあ、森田さんもさっきおっしゃっていたように、それを防ぐのは中々やはりプロも難しいと言っている。入る、つまり中は例えばボディチェックだとかいろんなことがあるからできない。それで一番帰りというのは皆が間違い無く大勢がわーっと出て来る、間違い無く出て来る訳ですよね。

高嶋)コンサートの興奮に酔いしれながらね。

鈴木)そうですよね。だからもちろんそこを狙う側としてはそのときが一番犠牲者も多く出る訳だし、というところですよね。だから非常に悪質ではありますよね。一番そこを狙って、出て来るところにやっていますから。

高嶋)まあイギリスもしょっちゅうやられていますから。もう厳戒態勢で、これ以上無いくらいいろいろやっているようですけど。

鈴木)あとスポーツとかですね。かと言って全部そういうイベントを取り止めて、全く何も無くすかということになると、これはこれでまた果たしてテロに対するひとつの考え方、向き合い方としてどうなのかということにもなりますよね。

高嶋)まあそういう風に考えると「すぐ影響されやすいのはお前は馬鹿だ」と言われるかもしれないけども、東京オリンピックに向けてこれからいろいろと国際的な交流なんていうのもより深化していくし、増えてきますよね。
そういう誰が入って来て「テロ」って書いてないですからね、誰も。例えば暴力団みたいにバッジを付けてくれるとか、いわゆる“代紋”をどうするとかこうするとか、これは分かりますけど、一般の市民の波の中に紛れる訳ですからね、皆。昔の過激派と一緒で。そういうものが国際的に広がって行って「さあそれじゃあ日本の」ということになると、オリンピックなんか近付けば近付くほどやれば効果的ですからね。


衆議院を通過した「組織犯罪処罰法改正案」~「テロ等準備罪」の実態とは?

高嶋)これはテロ等準備罪との兼ね合いで言うと、反対している方っていうのは言っていることが分からないでは無いのですけど、今の時代というものをどういう風に読んでいるのですかね?

鈴木)このいわゆる“共謀罪”と言われていましたけど、この法律に関して昨日採決も行われた、その議論と実際のテロというのは少し分けて考えないといけないところもあると思うのですね。
テロの為に備えをしなければいけない、法律的な不備があればやらなきゃいけない、世界各国とのテロに関する情報を共有しなきゃいけない――これはもう当たり前のことですよね。やらなきゃ絶対いけない。
ところが今回の法律って実は“テロ”と付いているからどうもそれと結び付けるけど、100%がテロではない。

高嶋)それよく言われますけど、それはもう本当に付ける必要とか無かったのですか? 「テロに対する」という。

鈴木)ここは議論のいろんな考え方があると思いますが、私がいろいろ取材している限りでは、テロと言いつつ大半はテロとは関係無い、つまり“組織的な犯罪に関する”という部分が多いのかなと。
もっと言うと実はテロに関しては2014年だったと思うのですが、やはりかなり法律を改正して、事前に踏み込んでテロに関してはいろいろ捜査が出来るという、簡単に言うと、そういうかなり厳しい範囲を広げた法改正をやっていて、これいろいろ研究者によっても意見は違いますけど。

高嶋)ということは政府側――自民党側の作為ですか? もうそんなの無くったってテロを防止する法律は現にあるのに、組織犯罪云々、その中に心の中に入って来るとか何だかんだ難しい議論がありましたけども、そういうことをシャットアウトする為に“テロ等準備”という。


「テロ等準備罪」に関しては更なる議論の時間が必要

高嶋)いわゆる世論の調査をやると「テロ等」と入ると賛成っていうのが多いって言うじゃないですか。

鈴木)だからこれは何度も言っていますが、研究者によっていろいろ意見は違いますが、ある程度テロに関してはもう厳しい法律が出来ているから、それで十分ではないかという意見もあります。
それで今回の場合はテロとは付いているけどもっと拡大されているではないかと。ここについてもっと国会での質疑が必要だったというのが僕の考えなのです。そういう意味では圧倒的に時間が少なくて、もっといろんな事例があって、例えば一般の市民がこうした場合に……これ細かく言うともう茶番みたいだと言う人もいるのだけど、これは非常に大事な議論だと思うのですね。そこで初めて国民が理解できるかどうかというのがあったと思うのですよ。

高嶋)敢えて穿った見方をすると、金田法務大臣なんて滅茶苦茶評判が悪いのですけど、だけどむしろそこが付け目であって、あそこにシャープな人を充ててもう理路整然と説明させなきゃなんてことをやっちゃうと、いろいろそこに逆につっこまれる要素が増える。あの人みたいにのらりくらりと、何だかよく分からないみたいな、鵺みたいな法務大臣で、あれの方がむしろ通しやすいと思っているのかもしれないですよね。

鈴木)まあそうですね(笑)。本来はやっぱりあの答弁はまずいですよ。もうあれ一日通して聴いてみたら「えっ?」っていうのが、皆は全部聴いていないけども、聞いてられないですよ。だからやはり参議院では私言いましたけど拡大ではないのかどうか、そこの議論はこれ時間を取って絶対やるべきだと思います。

高嶋)29日以降、どのくらいやるのだろうか。

鈴木)基本的には足りないですよ。だから延長、でも延長になると都議選も関わって来るから、さあ自民党は手前で締めろってことになりますよね。

高嶋)いつも非常にピシッと言う鈴木さんがそうやって首を捻ると、私もちょっと考えにゃいかんと思いました。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

Copyright Nippon Broadcasting System, Inc. All Rights Reserved.