ご存知ですか?愛犬の散歩を10倍充実させる脳トレ【ペットと一緒に vol.28】

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最近、愛犬がシニアになってきたこともあり、「犬の脳トレ」が筆者のマイブームです。
今回は筆者が実践中の、散歩で愛犬の頭を使わせる方法をご紹介します。

ダラダラ散歩は無意味?

ほとんどの犬にとって、散歩は最大の楽しみでしょう。
けれども、いつもと同じ散歩コースをダラダラとめぐるだけでは、愛犬の充実度は少々低いかもしれません。

筆者がこれまで取材してきた動物行動学の先生方なども、「散歩コースは毎日違うほうが、犬にとっては刺激になる」と口をそろえます。
もし複数のコースのチョイスがないならば、同じコースでも、逆回りをするだけでも景色は違って見えるもの。
まずはぜひ、愛犬の感覚を刺激して満足度を高めてあげられるよう、毎日違うコースを選んで散歩してみてください。

「今日はどんなお散歩コースかなぁ~♪ワクワク」

「今日はどんなお散歩コースかなぁ~♪ワクワク」

散歩は愛犬にとって、体の運動のためや排泄のための外出ではありません。
広い庭で運動を十分させているから、散歩にはあまり行かないというのでは、圧倒的に脳への刺激不足に。
ふだんと違う景色やにおいによる視覚と嗅覚と聴覚の刺激はもちろん、飼い主さんを介してほかの人や犬とのコミュニケーションなどで頭を使うことは、小型犬から大型犬まで、すべての犬にとって生活の質を向上させるために不可欠です。

脳への刺激は、犬のストレスの軽減と情緒の安定に役立つほか、認知症などの予防にも効果があると言われています。
出発時間や所要時間はバラバラが良い!

犬たちは時計を見ませんが、食事など生活習慣のパターンは体で覚えています。
仕事や家事の都合で毎日散歩の出発時刻が同じという場合、悪天候や飼い主の都合で散歩をやめると、犬たちは混乱します。「まだかな?」と待ち続けることがストレスになってしまう可能性も。

筆者が取材を重ねてきた結果、「毎日同じ時間のほうが犬も安心する」と述べるドッグトレーナーさんもいましたが、「散歩時間は毎日同じにせず、サプライズ的に訪れるものにしたほうが、犬たちにはストレスにならず喜びが大きくなる」と述べるドッグプロや先生方のほうが多数でした。

さぁ!最高の脳トレ!お散歩へ(筆者が経営する「犬の幼稚園」でのひとコマ)

さぁ!最高の脳トレ!お散歩へ(筆者が経営する「犬の幼稚園」でのひとコマ)

同様に散歩の回数も、1日2回の日もあれば1回長時間の日があったりと、ランダムにするのがおすすめです。
1日トータル1時間の散歩時間が取れるならば、1日1回1時間だけよりも、30分間を2回行うほうが、脳への刺激という観点で言えばベスト! 20分間を3~4回になれば、脳トレ的にはさらに理想的です。
ペースに強弱をつけたり、トレーニングを取り入れて

人間も犬も少し息がハァハァとするくらいの早歩きが、有酸素運動になると言われます。筆者は自分の運動のためにも、愛犬との散歩中の半分ほどは、歩道では電柱などのにおい嗅ぎはほとんどさせずスタスタと早歩きをしています。

とはいっても、犬たちは嗅覚を使うことが大好き。公園に入ったら、不衛生な場所は避けつつ、春から秋はマダニなどにも注意しながら、ゆっくりとにおい嗅ぎを楽しませてあげています。
犬たちにとって、散歩中においを嗅ぐのはワクワクな情報収集タイムですから。

「刺激がいっぱい。陽光も心地よくてお散歩は楽しいな」

「刺激がいっぱい。陽光も心地よくてお散歩は楽しいな」

公園では、ほかに誰もいないときはロングリードにして、愛犬とボール遊びも楽しみます。ちょっと浮いたボールを空中キャッチした瞬間の愛犬の「ドヤ顔」がたまりません。
こうして、なにかを捕まえる行為に近い狩猟本能を散歩タイムで愛犬に満たさせてあげたいとも思っています。

散歩中、筆者は愛犬とトレーニングも行っています。
たとえば、一緒に歩いていて急に「待て」と言ってみたり。5秒間静止できたら、「よし」と解除の合図を出して、再び歩き始めたりしています。このとき、たまにおやつをあげるのですが、静止中の真剣な眼差しから一変、飼い主のおやつを満開の笑顔で受け取るときのギャップがたまらなくかわいくて筆者も毎回ニコニコ顔に。

「誰もいない公園でロングリードでね。待ってるよ!ドヤッ」

「誰もいない公園でロングリードでね。待ってるよ!ドヤッ」

公園や歩道で行う、呼び戻しのトレーニングも筆者の楽しみのひとつ。
愛犬が筆者から遠のいたと思ったら、「ミィミィ」と名前を呼びます。こちらに意識が戻り、近くに戻ってきて目が合ったら「そう♪」と笑顔でおやつを「ど~ぞ」。
この練習がレベルアップすれば、散歩中の刺激によって愛犬の興奮が高まったとき、飼い主さんに意識を戻すことで落ち着けてあげられます。

散歩をするのに、心地よい季節がしばらく続きます。
心身ともに愛犬も飼い主さんも、充足感たっぷりの質の高い散歩ができますように! 今回の記事が参考になれば幸いです。

連載情報

ペットと一緒に

ペットにまつわる様々な雑学やエピソードを紹介していきます!

著者:臼井京音
ドッグライターとして20年以上、日本や世界の犬事情を取材。小学生時代からの愛読誌『愛犬の友』をはじめ、新聞、週刊誌、書籍、ペット専門誌、Web媒体等で執筆活動を行う。30歳を過ぎてオーストラリアで犬の行動カウンセリングを学び、2007~2017年まで東京都中央区で「犬の幼稚園Urban Paws」も運営。主な著書は『室内犬の気持ちがわかる本』、タイの小島の犬のモノクロ写真集『うみいぬ』。かつてはヨークシャー・テリア、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らす。東京都中央区の動物との共生推進員。

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