身近な存在・横綱稀勢の里の優勝で感化されました。大相撲関脇・高安晃(27歳) スポーツ人間模様

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14日、東京・両国国技館で初日を迎える5月場所、高安が大関獲りへ挑戦します。
大関になるためには過去3場所の勝ち星が33勝必要ですので、あと10勝すればクリアです。
挑戦は昨年、11月に場所に続いて2度目ですが、この時は7勝8敗と負け越し、失敗に終わりました。

「夏は、全勝するつもり。身近な存在の優勝で、感化されました。自分にも欲が出て…」

頼もしい言葉です。
…というよりも、それだけ地力と自信が備わったということでしょうか。

【大相撲五月場所番付発表】西関脇になった高安 =2017年5月1日 江戸川区東小岩の田子ノ浦部屋 写真提供:産経新聞社

【大相撲五月場所番付発表】西関脇になった高安 =2017年5月1日 江戸川区東小岩の田子ノ浦部屋 写真提供:産経新聞社

所属する田子の浦部屋は、先代鳴門親方からの教えで、あまり出げいこは行いません。
ただ、稀勢の里が左肩の負傷で、高安の相手がいないのが実情でした。
そこで、付け人はなしで、一門の連合げいこなどへ積極的に参加してきたのです。

元々、厳しいけいこが当たり前ですから、息が上がって倒れそうになるまでとり続けます。
中でも、場所前に、白鵬には複数回、胸をかりました。
けいことはいえ、実戦さながら。高安が張り手を何度も見舞うシーンには、

「横綱によく、あれだけ張れますね」

と見ていた力士が漏らすほどです。

「相撲は、畳の上では敬意をはらい、土俵の上では、はらわない。勝負ですから」

と高安は話します。
この姿勢はまるで稀勢の里と同じです。

考えてみれば、3歳上の横綱とは、共通点が多く、野球少年から相撲界へ、それも中学を出てから叩き上げで今日の地位を築いています。
しかし、兄弟子との違いは、7回の脱走歴があることでしょう。
逃げたまではいいが、部屋へ戻る際はそれなりのペナルティーを覚悟しなければなりません。
鬼のしごきが待っているからです。

そんな時、稀勢の里は、高安へ

「とにかく辛抱しろ。お前は強くなる」

と励まし続けました。
スカウトした先代親方は、

「火山の中のマグマのような子だ。先に入った、萩原(稀勢の里)よりいい」

と言い、素質にほれ込んでいました。

先場所は稀勢の里とともに、初日から10連勝を飾りました。
1949年、1場所15日制が定着してから、関脇で無傷の10連勝は高安で14人目。
その中で13人がその後、横綱、大関へ昇進しています。
つまり、大関の昇進確率は100%。

高安は、平成生まれ初の関取で、平成生まれ初の三役になって、今度は大関へとなります。
稀勢の里も、昨年の11月場所と比較して、

「あの時とは違う」

と、タイコ判を押しました。

相撲界一番の大食漢。
フルコースの飲み会の後、締めはラーメンと思いきや、かつ丼と中華丼のダブルです。
体がどんどん大きくなっても、その分、けいこ量を増やしているのですから、どんどん強くなるわけです。

5月11日(木) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」

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