函館駅「ジンギスカンラムチョップ」(1,680円)~小沼からの駒ケ岳と「藤城線」【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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キハ261系・特急「スーパー北斗」、函館本線・仁山~大沼間

キハ261系・特急「スーパー北斗」、函館本線・仁山~大沼間

北海道駒ヶ岳をバックに小沼の畔を駆け抜けていくのは、札幌からの特急「スーパー北斗6号」。
H5系新幹線同様、パープルのラインが入ったキハ261系の新塗装車を先頭にやって来ました。
列車は札幌を8:39に発ち、新札幌、南千歳、苫小牧、登別、東室蘭、伊達紋別、洞爺、長万部、八雲、森、大沼公園の順に停車し、新幹線に接続する新函館北斗には12:07の到着。
新幹線「はやぶさ22号」に乗り継ぐと東京17:04着で、札幌~東京間は8時間25分となります。

キハ261系・特急「スーパー北斗」、函館本線・仁山~大沼間

キハ261系・特急「スーパー北斗」、函館本線・仁山~大沼間

30分ほどすると、函館からの特急「スーパー北斗11号」が下っていきました。
コチラは最速4時間2分の「はやぶさ5号」と接続、札幌16:04着となり、東京~札幌間は最速の7時間44分で移動出来る列車です。
ただ、「スーパー北斗11号」は、奇数番の下り列車なのに進行「右側」の線路を走っています。
複線の線路だったら普通、列車は左側を走るハズ・・・、チョット気になりませんか?


函館本線・七飯~大沼間付近の地図

実は函館本線は、七飯(ななえ)~大沼間で2つのルートに分かれています。
これは、仁山駅付近に20パーミル(1,000m走ると20m登る)の登り坂があるため、勾配を緩和すべく、昭和41(1966)年に下りの特急・貨物列車用に別の線路(通称・藤城線)が造られました。
この時、仁山経由のルート(本線)は、普通列車をのぞいて主に上り用となったんですね
しかし、元のルートにある渡島大野駅が「新函館北斗駅」になったことで、去年(2016年)3月26日から下り特急列車も、新幹線と接続する仁山経由のルートを50年ぶりに通るように・・・。
以前は、小沼の湖面に近い側の線路(藤城線)を走っていた札幌行の「スーパー北斗」も、今は仁山駅からつながる山側の線路(本線)を通るようになったという訳です。

キハ40普通列車、函館本線・七飯~大沼間

キハ40普通列車、函館本線・七飯~大沼間

この「藤城線」を通る下り旅客列車は、北海道新幹線が開業した今もあります。
それも、函館5:51発(森行)、12:34発(森行)、17:35発(長万部行)の1日3本のみ。
時刻表では新函館北斗駅のところが、通らないことを示す記号「ll」で表記されています。
新幹線停車駅なのに、在来線の普通列車がスルーするというのも、ちょっと面白い存在。
訪れた日は、ちょうど函館12:34発の森行が、木立の向こうの線路を通過していきました。
ちなみに新函館北斗を通らない3本は、地元「七飯町」の公式HPにも案内がみられます。

ジンギスカンラムチョップ

ジンギスカンラムチョップ

そんな道南の運行体系が大きく変わった北海道新幹線の開業から1年。
開業1周年記念駅弁のトップを飾って、今年(2017年)3月1日から登場しているのが、「ジンギスカンラムチョップ」(1,680円)です。
調製元は、昭和11(1936)年創業の「函館みかど」(北海道キヨスク)。
函館駅弁では珍しい、紐を引き抜いて蒸気で温める加熱式駅弁です。

ジンギスカンラムチョップ

ジンギスカンラムチョップ

加熱式駅弁を取り入れたのは、「冷めても美味しい」という日本の弁当文化が通じにくい、海外からの旅行者を睨んでのことだそう。
包装の加熱式駅弁の注意書きには「英語」が並列表記されました。
インバウンド需要の先進地・北海道ならではの駅弁とも言えますね。

【お品書き】
ラムチョップ ジンギスカン風味
アスパラ素揚げ
焼きじゃがいも
かぼちゃ素揚げ
パプリカ素揚げ
ご飯(+パセリ)
七飯町産りんご

ジンギスカンラムチョップ

ジンギスカンラムチョップ

ふたを外せば、「函館みかど」自家製のジンギスカンのたれがとてもイイ風味。
「ラムチョップ」とは、大手食肉メーカーによれば、牛肉のロースに当たる部分を肋骨ごとにカットした最高級レベルの子羊の肉です。
骨付きのままたっぷり入っていて、温めて一層柔らかく、特有の臭みもほぼ無いのが嬉しい限り。
喰らいつけば、「ラムって、こんなに美味しいんだ!」と再認識できるかもしれません。
デザートの地元産りんごも、加熱を前提に入れられており、サッパリとした気分で完食可能。
四国・丸亀の「骨付鳥駅弁」の如く、函館の“ラムチョップ”も、思い切り口の周りを汚して大満足!
ぜひ、函館の新名物駅弁に育ってほしいものです。

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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