正直“TOMORROW”を歌いたくなくなった時期もありました・岡本真夜【10時のグッとストーリー】

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番組スタッフが取材した「聴いて思わずグッとくるGOODな話」を毎週お届けしている【10時のグッとストーリー】

今週は、岡本真夜さんのヒット曲『TOMORROW』の歌詞にまつわるグッとストーリーを岡本さんご本人に伺いました。

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1995年5月にリリースされた、岡本真夜さんのデビュー曲『TOMORROW』。
90年代を代表するヒット曲になり、今なお人生の応援歌として聴き継がれるスタンダードナンバーになりましたが、実は、デビュー当時の岡本さんにとっては、ちょっと複雑な思いのある曲でした。

TOMORROW,岡本真夜

「最初に作ったときは、もっとゆったりした、ミディアムテンポのバラードだったんです。でも、ドラマの主題歌になったことで、プロデューサーに『もっと元気なアップテンポの曲にしてほしい』と言われて、歌詞も一部直すことになりました」と語る岡本さん。
当時21歳でしたが、自分の中では完成形だった曲が、テンポや歌詞を他人によって変えられ、イメージと違うものになったことを、なかなか受け入れられなかったといいます。

ところが皮肉なことに、軽快なテンポの『TOMORROW』はじわじわとセールスを伸ばし、最終的に200万枚を超える大ヒットを記録。無名の新人だった岡本さんも、一躍「時の人」に。
「私、人前に出るのが苦手だったので、メディアには一切出ていなかったんですよ。でも、これだけ曲が一人歩きすると、そういうわけにもいかなくなって…」

結局、この年の『紅白歌合戦』で初めてテレビに出演。以来、街を歩けば「あっ!岡本真夜だ!」と指を差されるようになりました。そして何かに付け「“TOMORROWの”岡本真夜」という冠で呼ばれるように…。他にも曲はあるのに、いつになったら得意なバラードで認められるんだろう?
「正直、『TOMORROW』を歌いたくなくなった時期もありました」という岡本さん。
でもこの曲は、岡本さんが大切に思っている人たちの存在があって、生まれてきた曲なのです。

高知県で生まれ育った岡本さん。家庭の事情で、祖父母に育てられましたが、幼い頃からピアノを習い始め、将来はピアニストになるのが夢でした。
ところが高校生のとき、ラジオで偶然、ドリームズ・カム・トゥルーの曲を聴いたことから、人生が大きく変わります。
「私もピアニストではなく歌手になりたい、と思うようになったんです」という岡本さんは、レコード会社にデモテープを送るようになり、高校卒業後、猛反対する祖父母を押し切って、家出同然で上京。アルバイト生活をしながら、歌手デビューを夢見て、ボイストレーニングや曲作りに励みました。『TOMORROW』はその頃にできた一曲で、書いたのは18歳のときでした。

冒頭の印象的な歌詞:「涙の数だけ強くなれるよ」は、どうやって浮かんできたんでしょう?
「実はあのフレーズ、おじいちゃんからの手紙がきっかけだったんです」という岡本さん。
上京した後、東京行きを猛反対した祖父から、岡本さんあてに、激励の手紙が届いたそうです。
手紙の最後には、こんな一文がありました。・・・「涙が多いのが、人生だよ」
長い人生で、様々な苦労を乗り越えてきた祖父の言葉。その一文がきっかけで生まれた歌詞でした。

そしてもう一つ気になる歌詞が、「明日(あした)は来るよ 君のために」
この“君”というのは、もしや、昔付き合っていた彼氏のことを思って書いたんですか??

岡本さんの答えは「それ、よく言われるんですよ〜。恋愛の歌だと思ってる人も多いんですがそうじゃなくて、高知で一緒にバイトしていた、女友達のことを思って書いたんです」
高校時代、お弁当屋さんでアルバイトをしていた岡本さん。そこで一緒だった女の子と仲良くなり、よく相談に乗ってあげていたそうです。
「将来のことだったり、恋愛のことだったり…しょっちゅう悩んでいた彼女みたいな人を激励する応援歌を作りたい」と思ったのが、『TOMORROW』を書くきっかけになりました。

2010年、デビュー15周年を迎えた岡本さんは初めてファンとの握手会を開きました。
そのとき、「『TOMORROW』のお陰で人生が変わりました!」と涙ながらに感謝してくれる人たちの多さに、岡本さんは驚いたそうです。
「それから、この歌に対する思いが変わりました。今ではライブで歌う曲のリストに必ず入れていますし、大好きな曲になりました」

岡本さんが、握手会のときにファンの声を聞いて実感したのは「『TOMORROW』は自分が思っている以上に、大きく育っているし、もっと大切に歌わないといけないな」「この曲があったからこそ、今の私がある」ということ。
今後も大切に歌っていきたいそうです。

岡本真夜さんは、シンガーソングライターの活動とは別に、去年、「mayo(まよ)」という名前でピアニストとしてデビュー。子供の頃からの夢を叶えました。
いま発売中の、3人の女性アーティストによるコラボCD『麻布ハレー』でmayoさんのピアノが聴けます。『ほうき星』という曲ですので、ぜひ聴いてみてください。

ヴァリアス : 麻布ハレー - ミュージック(Amazonより)

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八木亜希子,LOVE&MELODY

番組情報

LOVE & MELODY

毎週土曜日 8:30~10:50

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今、聴きたい曲を書いて送ってくださいね。

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