富士急行線を満喫できる観光列車「富士登山電車」~富士急行線・車内販売「ふじさん弁当」(500円) 【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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富士急行線の主力として活躍しているのが1200形電車。
元々は、新宿~八王子を結ぶ京王線で走っていた5000系電車を改造して生まれました。
その1編成をJR九州などの車両を手がけている工業デザイナーの水戸岡鋭治さんがデザイン。
2009年から観光列車の「富士登山電車」として走っているのがこの車両です。
コンセプトは「富士山を楽しむための日本一ゆたかな登山電車」。

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通常は、大月~河口湖間を「快速」列車として2両編成で運行。(毎週木曜日を除く)
乗車の際は運賃に加えて「着席券」(200円)が必要で、富士急行線の窓口で購入できます。
ただ、一般車両も併結していることが多いようで、着席券を未購入の場合は一般車両への移動を促されます。

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乗り込んだ車両は、2両編成のうち「赤富士」と呼ばれる車両。
元々は3ドアだった車両の真ん中のドアをふさいで、富士山方向を向いて座れる座席を設けました。
水戸岡デザインの車両では定番の”本棚&ソファー”も見ることが出来ますね。
「ライブラリーコーナー」と呼ばれる本棚には、鉄道にまつわる本、富士山関係の本などが・・・。
今や観光列車における”本棚”もイロイロな所に派生していますね。

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水戸岡デザインの車両では「子ども」を主眼に置いたリニューアルが多いのも特徴。
「赤富士」の運転席の後ろには「富士見窓」という富士山を見る丸窓が設けられています。
ただ、注目すべきは、その足元に子どもでも安心して上がることが出来る階段があること。
実は小さな子供の目線でも、しっかり外が見られるような工夫があるんですよね。
鉄道文化を未来へ受け継いでいくために「鉄道好き」を育てようとする思いが伝わって来るようです。

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「青富士」車両は「赤富士」車両と比べて、使う難燃木材の材質も変えて、ライトな感じの作りに・・・。
「赤富士」「青富士」の違いは、やっぱり席を動いて体感したいところ。
水戸岡デザインの車両って、一度乗って座ったらおしまいではなく「車内をウロウロ回る」楽しみがあるんですよね。
動けば一層、ボックス席のほか展望席、ソファなど、いろんな角度から富士山を楽しめるようになっている訳です。

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ちょっと面白かったのが、通路に対して少し斜めに設けられたボックス席。
これって、鉄道好きにはちょっと嬉しい作りなんです。
窓側に座った時、カーブに差し掛かったら「前のほうはどうなってるかなぁ」と窓枠の向こうをのぞき込みたくなるもの。
そんな思いに配慮した、ゆとりと遊び心のある車内なんです。
水戸岡デザインの車両には、普段の輸送量がそれほど大きくないことを逆手に取っている点もあるかと思います。

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富士登山電車」では、徹底して「車窓を楽しめる」ような案内が行われます。
他の富士急行線の列車でも、三つ峠駅付近では徐行運転が行われますが、「富士登山電車」ではシャッターチャンスまでバッチリ案内!
つまり、列車に乗ること自体を楽しむ「観光列車」としての位置づけで運行されているようです。
その意味では、富士急行線の旅を楽しむなら「富士登山電車」が最も楽しめるかも!?

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都留市内の車窓から見られるのが「田原の滝」。
地学的には貴重な柱状節理になっている岩も見られます。
こういった渋いポイントでも、「富士登山電車」はゆっくりと走ってくれます。
ちなみにココは、富士急行線沿線の撮影ポイントの1つでもありますね。
なお車内のカウンターには、放送ではカバーできない「見どころ」を手作りのパンフレットで紹介してくれていました。

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田野倉駅付近では「山梨リニア実験線」の下をくぐります。
「リニア中央新幹線」の工事も始まり、いよいよ現実味を帯びてきたリニアモーターカー。
時速500キロともいわれるリニアの下を、案内と共に徐行して走り抜けるのも面白いものです。
こういった各ポイントで徐行があるため『快速』ではありますが各駅停車と同じくらいの所要時間。
まさに「観光列車」ならではのダイヤですね。

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さらに「富士登山電車」には、アテンダントの方が乗務されています。
乗車するとまずは「キャンディ」のプレゼントから。
その後「青富士」車両にある売店から放送で車窓案内をしたり、オリジナルグッズなども販売。
もちろんカゴを持って車内販売に回ることもあるほか、お客さんの記念写真撮影を手伝ったり・・・。
常にフル回転で活躍されていました。

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そんなアテンダントさんから紹介されたのが、なんと「新作駅弁」!
4/23の「富士山ビュー特急」の誕生に合わせて登場したという「ふじさん弁当」(500円)です。
現在は「富士山ビュー特急」とこの「富士登山電車」で販売。
調製しているのは、大月市内の都留高校前にある「こだわりのお弁当 おむすびろまん」。
富士急行線・地元の弁当屋さんを新作駅弁に”抜擢”したのは、少し面白い試みですね。

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昔懐かしい笹の皮の紐をほどくと、実にシンプルなおにぎり弁当が登場!
白いご飯と赤飯の2種類で、おにぎり自体も1つずつラッピングされています。
おかずは筑前煮、鯖の塩焼き、厚焼き玉子、かまぼことシンプルな作り。
特に鯖の塩焼きは、程よい脂の乗りでした。

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富士山ビュー特急」で45~50分、「富士登山電車」でも1時間程度という短い乗車時間。
加えて、富士山エリアには「吉田のうどん」や「ほうとう」など、食べたいご当地グルメには困らないエリア。
それでも乗車のタイミングによっては、小腹が空いてしょうがない時はあるものです。
その意味では、軽くお腹を満たすことが出来る「軽い弁当」があるのは本当に有難いもの。
大月までで弁当を食べ損ねてしまった時の救済アイテム、旅好きには旅情アップのアイテムとして、手にする価値はあると思います。

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例によって、アテンダントさんの見送りを受けて「富士登山電車」の旅もお開き。
同じ富士急行線でも「富士山ビュー特急」のアテンダントさんとは違うフレンドリーなもてなしが印象的でした。
スマート&お洒落に楽しむなら「富士山ビュー特急」、ゆっくり&カジュアルに楽しむなら「富士登山電車」。
”水戸岡デザイン”の車両でも棲み分けがなされているように感じた、今回の「富士急行線」の旅でした。
こんなバリエーション豊かな「乗って楽しい列車」に、実は新宿からわずか1時間で会えるんです!

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
「ライター望月の駅弁膝栗毛」
(取材・文:望月崇史)

【ごあいさつ】
はじめまして、放送作家の望月崇史(もちづき・たかふみ)と申します。
ニッポン放送には、昔の有楽町の社屋の頃から、かれこれ20年お世話になっています。
最近では、月~木・深夜24時からの「ミュ~コミ+プラス」で放送された、
ルートハンター」のコーナーに、5年ほど出演させていただきました。

そんな私がライフワークとしているのが「駅弁」の食べ歩き。
1年間に食べる「駅弁」の数は多い年でのべ500個。
通算でも4500個を超えているものと思います。
きっかけとなったのも、実はニッポン放送の番組。
2002年~05年に放送された「井筒和幸の土曜ニュースアドベンチャー」の
番組ウェブサイトで「ライター望月の駅弁膝栗毛」を連載することになり、
本格的に「全国の駅弁をひたすら食べまくる生活」に入りました。
以来、私自身のサイトや、近年は「ライター望月の駅弁いい気分」というブログで
「1日1駅弁」を基本に「駅弁」の紹介を続けています。
”駅弁生活15年目”、縁あってニッポン放送のサイトで連載させていただくことになりました。
3つの原則で「駅弁」の紹介をしていきたいと思います。

①1日1駅弁
②駅弁は現地購入
③駅弁のある「旅」も紹介

「1日1駅弁」ですので、日によって情報の濃淡はありますが、
出来るだけ旬の駅弁と鉄道旅の魅力をアップしていきますので、
ゆるりとお付き合い下さい。

【プロフィール】

望月崇史(もちづき・たかふみ)望月

1975年12月8日静岡県生まれ。
早稲田大学在学中から、ニッポン放送で放送作家に。
卒業後の2002年「井筒和幸の土曜ニュースアドベンチャー」の番組サイトで始めた
ライター望月の駅弁膝栗毛」をきっかけに、全国の駅弁食べ歩きをスタート。
以来およそ15年、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。
1日1駅弁のウェブ紹介を日課とし、これまでに食べた駅弁は4500個以上。
ニッポン放送「ミュ~コミ・プラス」ルートハンター、鉄道特番などにも出演。
丸の内朝大学・温泉クラスの講師も務める。