富士山を眺めながら絶品スイーツ!~富士急行線・富士山ビュー特急「スイーツプラン」(4,000円) 【ライター望月の駅弁膝栗毛】

鉄道に乗る時間って「どんな時間」ですか?

「移動時間」「読書の時間」「寝る時間」・・・。
もしも、電車の中で「ホテルのカフェでお茶する時間」を過ごせたら・・・と考えるのはどうでしょうか?
しかも「絶景」を眺めながら・・・普通に考えれば夢みたいな話ですよね。
実はそんな夢のような話を叶えちゃった列車が、4月23日から登場しているんです!

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東京・新宿から中央線の特急で1時間、やって来たのは山梨県の富士急行線・大月駅。
富士急行線は、大月~河口湖間を結ぶ26キロあまりの路線。
JR線との直通運転も多数行われており、前回ご紹介したように「成田エクスプレス」も乗り入れています。
ただ、それ以上に個性的なのが富士急行線内を走る車両で、大月での乗換を厭わなければ「乗って楽しい」列車が待ち受けています。
その最新車両が、4/23にデビューしたばかりの「富士山ビュー特急」なのです。

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「どこかで見たなぁ?」と気付いた方は小田急線沿線か静岡エリアにお住まいか?
実はこの車両、1991年から2012年まで小田急新宿~御殿場線経由~沼津を結んでいた特急「あさぎり」の車両。
JR東海が保有していた371系電車と呼ばれた車両で、特急ロマンスカーの一翼を担っていました。
当時は2階建車両を、2両組み込んだ7両編成で運行されていました。
この371系を富士急行が購入し、2階建車両等を抜いて3両編成に短縮。
JR九州の観光列車などを手がけているデザイナー・水戸岡鋭治さんのデザインでリニューアルしました。
(画像は2012年3月の特急「あさぎり」時代、静岡県内の御殿場線沿線で撮影)

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富士山ビュー特急」の目玉は、週末の5,8,9,12号の特別車両(1号車、指定席)における「スイーツプラン」!
「スイーツプラン」は「富士急トラベル」の旅行商品として販売(4,000円、乗車券・特急券込)されており、乗車3日前までの予約が必要。
予約方法は「富士山ビュー特急」のサイトからウェブで予約する方法と、電話(0555-22-8877、月~金の9:00~18:00)で予約する方法があります。
ウェブ予約すると、メールアドレスに「予約確認書」がpdfファイルで送られてきます。
これをプリントアウトするか、スマートフォン画面などに表示して改札を通過、乗車口で「乗車証」と引き換えることで乗車出来ます。

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富士急行の8500系電車「富士山ビュー特急」として新たなスタートを切ったこの車両。
元の371系電車も、日本の鉄道車両の中ではかなり洗練されたデザインで人気が高かった車両でした。
その車両が「水戸岡デザイン」によって、どう生まれ変わったのか?
一歩を足を踏み入れると、黒を基調としたデッキに額縁に入った「富士山ビュー特急」の絵など・・・。
早くも水戸岡ワールドっぽくなってきました!

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大月発で先頭となる特別車両の1号車は「ゆったりとした懐かしいホテルのような空間」。
喫茶店のような造りになっており26席限定、普段も「ウェルカムドリンク」が用意されています。
木材を多用した温もりのあるインテリアは、まさに「水戸岡デザイン」の真骨頂ともいえるもの。
大月発では進行方向左手に4人掛けボックスが3卓、右手に2人掛けボックスが3卓の配置となります。
ちなみに「富士山」は大月→富士山間で、概ね進行左側に見えてきます。

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その奥、運転席寄りには6人掛けの(半)円卓と1人席が2席。
コチラの座席も概ね「富士山」向きにセットされました。
今回はこの円卓のうちの1席「16番」の座席が指定されました。
371系時代は広い窓(ワイドビュー)がウリになっていましたが、水戸岡デザインでは木枠が設けられ、窓は小さめに。
1列ごとに座席の窓が「額縁」となり、その向こうの「絵」が次々と移り変わっていくようなイメージでしょうか。

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スイーツプラン」として運行される場合は、大月駅で指定された席に「スイーツ」のお重が据えつけられています。
蓋には「富士山ビュー特急」のシンボルマークも・・・。
富士山ビュー特急」の特製スイーツを手がけているのは「ハイランドリゾートホテル&スパ」のシェフパティシエ・橋本道郎氏。
「新宿高野」「パティスリーキハチ」などを経て2007年から「ハイランドリゾートホテル&スパ」へ。
車内で出される飲食物は、実際のハイランドリゾートで作られ「富士山ビュー特急」に積み込まれるそうです。

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着席するとアテンダントの方が、ドリンクの注文に・・・。
おススメをお訊きすると、甘いものが多いので「コーヒー」を頼まれる方が多いのだそう。
素直に従って、ホットコーヒーをお願いしました。
陶器のカップに目の前で香りを漂わせて、コーヒーを注いでいただけるのは有難いですね!
コレ、喫茶店じゃなくて「電車の中」の風景なんです。

【ドリンク】
(ホット) コーヒー、紅茶
(コールド)アイスコーヒー、アイスティー、オレンジジュース、アップルジュース、ウーロン茶、富士ミネラルウォーター
(アルコール、別料金)生ビール(350ml,260円)、甲州ワイン(赤・白、180ml,500円)、おつまみセット(350円)

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14:55の発車を待って、蓋を開けると華やかなスイーツが4点!
甘い匂いがフワァっと広がって、あっという間に旅の緊張感がときほぐされます。
動く電車の中で、手の込んだスイーツがいただけるのは有難いもの。

【スイーツメニュー(4/30乗車時、メニュー表から)】
パティシエ特製フルーツサンド
食パンに見立てた真っ白なロール生地にヨーグルトクリームと彩りクリームをサンド

旬果デザート(ガトーアンサンブル)
甘酸っぱいベリーのムースの表面に3種のベリーを合わせたコンフィチュールを塗り赤富士をイメージ

富士山麓卵のなめらかプリン
富士山麓で採取された濃厚な卵を使用したなめらかプリン

季節のマカロン(マンゴー)
完熟マンゴーペーストを加えたホワイトチョコクリームをサンドしたマカロンデザート

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新緑眩しい移りゆく景色を眺めながらコーヒータイム。
大月~河口湖の移動時間は「45~50分」なので、お茶してひと息するには、ちょうどいいくらいの時間なんですよね。
運行ダイヤも、下りは大月10:48発(5号)、14:55発(9号)と「おやつ」の時間にいいくらい。
一方の上りは河口湖13:00発(8号)、16:49発(12号)でランチ後、夕食前の小腹を満たす時間帯で設定されています。
なお、ソフトドリンクはおかわり自由、アルコールは有料制となっています。

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「富士山ビュー特急」も富士山のビューポイントとなる三つ峠駅付近では減速運転を行います。
富士山を眺めながらの本格スイーツが楽しめるのは「富士山ビュー特急」ならでは!
富士山を進行方向に向かって見るなら下り列車(大月発)。
富士山とスイーツをちょうどいいタイミングでいただくなら上り列車(河口湖発)がよさそう。
どちらにしても、思い思いの「富士山ビュー」を楽しめることは間違いありません。
(なお、木枠の上はスペースが狭く安定しないので、出来るだけモノは置かないほうがいいと思います)

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富士山ビュー特急」の2号車、3号車は「自由席」。
運賃プラス特急料金「400円」で利用可能です。(富士山~河口湖間は特急料金不要)
コチラも窓枠は小さめ、1列ごとの小窓になっており、シートのカラーリングなどにも”水戸岡アレンジ”が入った感じ。
富士山ビュー特急」デビューの背景には、元・JRの「パノラマエクスプレスアルプス」をリニューアルした「フジサン特急」の老朽化による取り換えの目的も。
このため、通常の特急列車としての役割も求められている訳ですね。

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そして、ついにやって来ました!
もう一つの富士急行線の特急「フジサン特急」8000系電車とのすれ違い。
もう、鉄道好きには、たまらない時間です!
それといいますのも・・・?

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富士急8000系は元・小田急の特急ロマンスカー20000形(RSE)として、371系電車と共に特急「あさぎり」として活躍した車両。
共に新宿~沼津間からは退きましたが「あさぎり」時代と同じようにペアを組んで活躍してくれるのは感慨深いものです。
元々「あさぎり」という愛称は、静岡・富士宮市の富士山麓「朝霧高原」に由来していました。
運行路線は静岡県側から山梨県側に移っても、2つの特急車両が富士山麓を毎日走ってくれることに変わりありません。
「富士を世界に拓く」の創業精神の下、1世紀近く富士山エリアの交通を担ってきた「富士急行」だから出来る車両の組み合わせだと思います。
(画像は2006年5月、御殿場線・谷峨駅にて特急「あさぎり」同士の交換)

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ちなみに「富士山ビュー特急」では、自由席を含め車内販売があります。
新発売の弁当(これは後日紹介)をはじめ、オリジナルクリアケースやハンカチなども。
1時間弱の運行でも、オリジナルグッズや沿線の名物などを販売してくれるのは有難いものですね。
今回はオリジナルのクリアケース&ハンカチを現金で購入。

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大きくそびえる富士山に向かって、真っすぐグイグイ登る「富士山ビュー特急」。
特別車両の1号車だからこそ堪能できる「富士山に一番近い鉄道」です。
富士急行線は最大「40パーミル」(1000m進んで40m登る)急こう配がある路線。
「あさぎり」時代も御殿場線の「25パーミル」を登っていましたが、今はさらに厳しい坂を登っている訳です。
その意味では富士急8000系&8500系電車というのは、鉄道界の「山の神」と言ってもいい存在かもしれません。

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標高809mの「富士山駅」では富士山をバックにしばし停車(画像は上り「富士山ビュー特急」)。
「富士山」駅で「富士山」をバックに「富士山」ビュー特急という”トリプル富士山”!
ちなみに富士急行線の線路は元々、山中湖方面に伸ばす予定でしたが、1950年に河口湖へ延伸。
このため「富士山駅」は、列車の進行方向が変わるスイッチバックの駅となりました。
停車時間は比較的短めで、運転士さんと車掌さんが急いで入れ替わります。

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大月から48分、定刻通り15:43に「富士山ビュー特急9号」は河口湖駅に・・・。
アテンダントさんの見送りを受けて、標高857mある高原の駅に降り立ちます。
大月から500mあまり登ってくると、日差しは強いものの空気はいく分ヒンヤリ。
下り「富士山ビュー特急」は、前半スイーツ、後半は富士山ですっかり「満腹」。
お客さんごとにきめ細かく、心地よいもてなしをありがとうございました。

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4/23に運行を開始したばかりの富士急行線の新しい特急「富士山ビュー特急」。
鉄道旅ビギナーには新しく、鉄道好きには懐かしい気持ちで楽しめる列車ではないかと思います。
5/29まで開催している「富士芝桜まつり」へのアクセス列車としても利用可能。
もしも、週末で日程が決まっているなら、ぜひ「スイーツプラン」を組み入れたいところです。
”ホテルのカフェ気分”で過ごす富士山までの(からの)50分間。
鉄道で行く「富士山」が今、面白いことになっています!

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
「ライター望月の駅弁膝栗毛」
(取材・文:望月崇史)

【ごあいさつ】
はじめまして、放送作家の望月崇史(もちづき・たかふみ)と申します。
ニッポン放送には、昔の有楽町の社屋の頃から、かれこれ20年お世話になっています。
最近では、月~木・深夜24時からの「ミュ~コミ+プラス」で放送された、
ルートハンター」のコーナーに、5年ほど出演させていただきました。

そんな私がライフワークとしているのが「駅弁」の食べ歩き。
1年間に食べる「駅弁」の数は多い年でのべ500個。
通算でも4500個を超えているものと思います。
きっかけとなったのも、実はニッポン放送の番組。
2002年~05年に放送された「井筒和幸の土曜ニュースアドベンチャー」の
番組ウェブサイトで「ライター望月の駅弁膝栗毛」を連載することになり、
本格的に「全国の駅弁をひたすら食べまくる生活」に入りました。
以来、私自身のサイトや、近年は「ライター望月の駅弁いい気分」というブログで
「1日1駅弁」を基本に「駅弁」の紹介を続けています。
”駅弁生活15年目”、縁あってニッポン放送のサイトで連載させていただくことになりました。
3つの原則で「駅弁」の紹介をしていきたいと思います。

①1日1駅弁
②駅弁は現地購入
③駅弁のある「旅」も紹介

「1日1駅弁」ですので、日によって情報の濃淡はありますが、
出来るだけ旬の駅弁と鉄道旅の魅力をアップしていきますので、
ゆるりとお付き合い下さい。

【プロフィール】

望月崇史(もちづき・たかふみ)望月

1975年12月8日静岡県生まれ。
早稲田大学在学中から、ニッポン放送で放送作家に。
卒業後の2002年「井筒和幸の土曜ニュースアドベンチャー」の番組サイトで始めた
ライター望月の駅弁膝栗毛」をきっかけに、全国の駅弁食べ歩きをスタート。
以来およそ15年、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。
1日1駅弁のウェブ紹介を日課とし、これまでに食べた駅弁は4500個以上。
ニッポン放送「ミュ~コミ・プラス」ルートハンター、鉄道特番などにも出演。
丸の内朝大学・温泉クラスの講師も務める。