高知駅「龍馬弁」(1,050円)~国鉄末期の車両が活躍する四国エリア【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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キハ32形

国鉄からJRになって30年。
いわゆる“国鉄形車両”は、全国各地だいぶ数を減らしてきましたが、四国エリアでは、国鉄末期に登場した車両が今も頑張っています。
その中の1つが「キハ32形」で、今も高知南西部を中心にローカル輸送で活躍中。
最近は観光列車に改造された列車もありますので、コチラは追ってご紹介しましょう。

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キハ54形

現在は愛媛エリアを中心に活躍しているのが、車内の長いロングシートが特徴的な「キハ54形」。
同じ形式の車両は北海道にも投入されていますが、コチラはデッキがあり、二重窓になっているなど、寒冷地仕様(500番台)となっています。
このような国鉄末期に登場した車両は、一般に「国鉄の置き土産」と云われています。
厳しい経営が予想された会社向けに、国鉄が当時の新鋭車両を投入したという訳なんですね。

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龍馬弁

ただ、「末期」というのは、新しいものが生まれる「前夜」でもあります。
国鉄が無くなってJRになったことで、イロイロ新しいものが生まれました。
四国では翌年に瀬戸大橋の開業があり、運行体系が大きく変わり、新しい特急も生まれました。
そんな時代の移り変わりを思い浮かべていただきたい高知の駅弁といえば、「龍馬弁」(1,050円)。
コチラは同じ「末期」でも、江戸時代末期(幕末)のお話ですね。

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龍馬弁

その名の通り、あの大河ドラマが放映された頃に登場した駅弁。
大河ドラマが当たると、駅弁もロングセラーとなる傾向があります。
例えば、仙台の「独眼竜政宗弁当」はその典型ともいえる駅弁ですね。
掛け紙には、龍馬の歩んだ幕末の年表と、龍馬の格言が刷られています。
中味は、高知の郷土料理「田舎寿司」を基本にした駅弁です。

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龍馬弁

鯖寿司をセンターに、左に椎茸&茗荷の寿司、右には蒟蒻と筍の寿司が、全部で6つ。
酢飯には柚子酢が効いていて、馬路村や北川村など名産地を持つ高知らしい味わいです。
高知の田舎寿司は、山間部では山菜までも寿司ネタになると云われているとか。
鰹の佃煮など、高知らしいおかずも入って、しっかりお腹いっぱいです。

駅弁は、地域の食文化を学ぶきっかけを作ってくれます。
田舎寿司自体は、普通の惣菜屋さんでも売られているそうですが、せっかく旅で高知を訪れたのなら、龍馬のストーリーを思い浮かべていただけば、きっと何倍にも美味しく感じられるハズ。
四国山地越えに挑む特急「南風」で、龍馬の苦難の道に思いを馳せて、その故郷の料理に舌鼓を打ちたいものです。

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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