新神戸駅「神戸のあっちっちステーキ弁当」(1,350円)~JR30周年!「加熱式駅弁」も30周年!【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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この4月でJRが誕生して「30年」となりました。
30年前、まだ新幹線は東京~博多間の「東海道・山陽新幹線」と、上野~盛岡・新潟間の「東北・上越新幹線」のみ。
現在は北陸、九州、北海道の各新幹線が開業し、山形・秋田のいわゆる“ミニ新幹線”も誕生。
山陽と九州、東北と北海道の直通運転も行われ、全国の鉄道網も30年で大きく変わりました。

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30年で駅弁を取り巻く環境も大きく変わりました。
相次ぐ新幹線の開業は、所要時間の短縮をもたらし、移動中に食事をする必然性も薄れました。
旧来の駅弁屋さんは次々と姿を消し、今では老舗駅弁屋さんの数は100を割り込んでいます。

その中で画期的な出来事の1つが、「加熱式駅弁」が登場したこと!
そう、紐を引き抜いて数分待つと、ホカホカの弁当が食べられるタイプの駅弁です。
今回はそのパイオニア、新神戸駅・淡路屋の駅弁「神戸のあっちっちステーキ弁当」(1,350円)を紹介したいと思います。

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新神戸には、「神戸のステーキ弁当」という人気駅弁があり、その加熱式版という位置づけ。
淡路屋定番の箸が進むきのこピラフの上に、ドーンと牛肉のステーキが鎮座。
脇をじゃがいもの素揚げ、いんげん、人参煮、コーンの野菜が固めます。
元々、加熱式ではないバージョンでも、冷めても柔らかい牛肉のステーキでしたので、紐を引っ張って温めれば、も~ぉいい匂いがして、それは一層美味しくいただくことが出来ます。
最近は、東京駅の「駅弁屋 祭」でも、加熱式駅弁のコーナーによく置かれていますね!

(神戸のあっちっちステーキ弁当)

ご飯の下にチラリと見えているのが加熱装置。
生石灰と水の化学反応によって“蒸気”と熱を発生させることから、「スチーム式加熱弁当」といわれます。
私が思うに、加熱式が登場したことで、最も恩恵を受けたのは肉駅弁ではないかと思います。
最たるものが東北・仙台の牛たんで、以前、仙台の駅弁屋「こばやし」さんの広報の方に伺った話では、加熱式駅弁で人気に火がついて、街を代表するグルメに昇華を遂げていったといいます。

そして今は、全国各地「肉駅弁」が花盛り!
その意味でも、神戸駅弁・淡路屋が切り拓いた「加熱式駅弁」という道筋は、実に意義深い!
なお、「淡路屋」では加熱式の30周年を記念して、当時の復刻版的な穴子の駅弁も4/1から登場させているそうですので、また機会を作っていただきたいと思います。

JRの30年は、加熱式駅弁の30年!
この30年の鉄道の歴史に、自らの思い出を重ねながら、紐を引き抜いてじんわりと温まった駅弁をいただいてみてはいかがでしょうか?

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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