越後湯沢駅「越後もち豚すきすき弁当」(1,050円)~新幹線に「勝つ」特別料金不要列車!北越急行・超快速「スノーラビット」【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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北越急行HK100形

新潟にある、もう1つの第3セクターの鉄道「北越急行」。
上越線の六日町と信越本線・犀潟(さいがた)の間、およそ60キロを結ぶ路線で、「ほくほく線」の愛称で親しまれています。
平成27(2015)年3月までは、越後湯沢と金沢を結ぶ特急「はくたか」が、この「ほくほく線」経由で運行されていましたが、北陸新幹線の開業に伴って廃止されました。
でも、北越急行は、特急廃止のピンチに一矢報いるべく、新たな列車を走らせることにしました。

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超快速「スノーラビット」

その列車は、超快速「スノーラビット」!
特急「はくたか」の代わりに、従来の快速を超える速達列車として設定され、越後湯沢~直江津間を特別料金不要、十日町1駅停車、最速57分で走り抜けます。
ほくほく線は新幹線と同じような規格で作られた路線ということもあって、「スノーラビット」の北越急行線内の表定速度は、およそ「99キロ」という韋駄天ぶりなんですね。

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北越急行「ゆめぞら」

超快速「スノーラビット」の凄いところは、何と言っても「新幹線に勝つ」こと!
東京~直江津間で、ほぼ同じ時刻に出る北陸新幹線と比較した場合・・・。

(上越新幹線+スノーラビット)
東京7:48―「Maxとき305号」―越後湯沢9:08/9:14―超快速「スノーラビット」-直江津10:14着
(北陸新幹線+トキてつ)
東京7:52―「はくたか553号」-上越妙高9:54/10:18―普通列車―直江津10:35着

北陸新幹線経由の場合、上越妙高での待ち時間が長いのは、観光列車の「越乃shu*kura」を先に発車させるダイヤが組まれているため。
その間隙を突くように北越急行が超快速を走らせて、直江津に20分も先着出来るのです。
しかも、北越急行経由のほうが1,000円以上、運賃が安く、駅弁とお茶1個分のお金を捻出可能!
さらに、この越後湯沢9:14発の「スノーラビット」には・・・?

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北越急行「ゆめぞら」、2013年撮影

日曜日を中心に「ゆめぞら」という車両が投入されています。
「ゆめぞら」は、トンネルに入ると、電車の天井が巨大スクリーンに大変身する車両。
六日町~犀潟間の5つのトンネルで、CGで作られた映像が上映されるんです。
ちなみに、映像は「花火」「天空」「海中」「星座」「宇宙」という5つのテーマ。
トンネルが多いという条件を逆手に取った「ほくほく線」ならではのユニークな車両といえましょう。

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超快速「スノーラビット」新井行

しかも、日曜日に「ゆめぞら」が充当される越後湯沢9:14発の「スノーラビット」は、直江津に10:14に着いて、3分停車した後、えちごトキめき鉄道の新井まで直通。
ほくほく線沿線から、北陸新幹線・富山、金沢方面へのアクセス列車の役割も担います。
そんなこともあって、この春からは「ほくほく線×トキてつ」のコラボレーションも展開されています。
「ゆめぞらⅡ」の1両には、2社のコラボを表すラッピングが施されていました。

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越後もち豚すきすき弁当

東京方面からほくほく線の超快速「スノーラビット」に乗り継ぐ場合は、越後湯沢で駅弁を手に入れることが出来ます。
越後湯沢の駅弁を手がけているのは、昭和6(1931)年創業の「川岳軒」。
まだまだ肌寒い日もあるこの時期、有難いのは、紐を引っ張ると温まる加熱式の駅弁です。
今回は、「越後もち豚 すきすき弁当」(1,050円)をチョイスしてみました。

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越後もち豚すきすき弁当

全国のこだわりの養豚家が編み出した「和豚もちぶた」のうち、新潟県内にある特定の14の農場で飼育されるブランド豚を「越後もち豚」といいます。
新潟の温泉宿のご飯などでもよく出される新潟のブランド豚の定番!
もち豚のほか、椎茸、こんにゃく、タケノコなどの煮物と紅生姜が一緒に載っています。
下に詰められた白いご飯には勿論、ご当地の米・南魚沼産コシヒカリが使われています。

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越後もち豚すきすき弁当

肉質のきめの細かさが特徴という「越後もち豚」。
すき焼き風に甘く味付けされた豚肉が、たっぷりと敷かれています。
煮物の下にもしっかり肉があるのが嬉しいもの。
「はくたか」乗換で越後湯沢を利用していた時代から、特に寒い時期、ホントにこの加熱式駅弁の「温かさ」に救われてきました。
特急が無くなっても、この駅弁が健在だったことに、改めてホッとした気分です。

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北越急行HK100形

今年(2017年)3月22日で、開業20周年を迎えた「北越急行」。
HK100形電車にも、20周年記念のヘッドマークが付けられていました。

北越急行は暫くの間、特急「はくたか」時代の貯金を取り崩しながらの経営が強いられます。
今後30年は大丈夫と伝えられていますが、30年の間に対策を打ち出すことが出来なければ、最近の北海道の鉄道のような深刻な問題は、他人事ではなくなってくることでしょう。
その危機感が、「超快速」のような“攻めの姿勢”に繋がっているのかもしれません。

私自身、超快速「スノーラビット」にも乗車してみましたが、湯沢を出て駅弁1つ食べ終わってひと息つくと、もう直江津というくらい乗車時間が短く感じられました。
まずはぜひ、北陸新幹線+トキてつ、上越新幹線+ほくほく線の“乗り比べ”を楽しんでみてはいかがでしょうか?

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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