オバマケア代替案撤回はトランプ見切りのはじまり?高嶋ひでたけのあさラジ!

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3/27(月)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②

メンツ丸潰れのトランプ大統領
7:02~ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター高橋和夫(国際政治学者)

オバマケア代替法案の撤回後記者団に話すトランプ米大統領=20170324ワシントン 写真提供:共同通信社

オバマケア代替法案の撤回後記者団に話すトランプ米大統領=20170324ワシントン 写真提供:共同通信社


トランプ大統領 敗因は根回し不足

高嶋)トランプ大統領が、あれだけ言っていたオバマケアの代替案が議会に通りそうにないので引っ込めたという。もう、彼はメンツ丸潰れでしょうね。オバマケアのことを一番罵っていましたから。

高橋)そうなのです。「7年間、我々は我慢してきたんだ」と。「私はビジネスマンだから、話をつけるのが上手いので、もっと良い案を通すんだ!」と言っていて、通らなかったのだから、本当にメンツ丸潰れですよね。

高嶋)でもメンツ丸潰れの割には、仕方ないと言えば仕方がないですが、けっこうおとなしかったですね。

高橋)泣き叫んだところで負けは負け、ですからね。大統領の責任もありますが、共和党議会の責任もあるだろう、ということでそちらの方にも責任を追及する声も上がっています。共和党は「8年間ずっと野党をやってきて、今回初めて与党をやるから慣れていないんだよ」と言い訳にもならない言い訳をしていますけれど、これを潰してしまった民主党側から言わせると、「共和党はやはり慣れていない。こういう時は根回しをしっかりするべきだ」と言っています。実際、オバマケアを通すのにオバマさんは議員を一人づつ口説き落として、9か月くらい根回しに根回しを重ねていましたが、今回は2ヶ月で潰そうとしていたのですからね。

高嶋)造反者が33人というのは多すぎますよね。どう考えても。

高橋)ええ。共和党の主流の人にとってトランプは面白くないのですよ。外からやってきて共和党を乗っ取って大きな顔をして、というのが底流にあって。「この法案じゃあまりオバマケアと変わらないじゃないか」という議論と「いや、変わりすぎている。これじゃ貧しい人がかわいそうだ」というまともな声と両方が合わさって、まあ、上手く行かなかったのですね。


アメリカでと日本の国民簡易保険のニュアンスの違い

高嶋)この“オバマケアの代替案”というのは、相当良いものなのですか?

高橋)いや、トランプさんに「どこが、どう良いのですか」と訊いたら「保険は難しくてよく分からない」と本人が言ってしまっています。「こんなに難しいとは思わなかった」とも。それで私は「ちょっと難しいかな?」という感じを持ちました。代替案の名前は“オバマケア・ライト(軽い)”という言い方で、あまり変わらないというのは共和党も認めています。「変わりがないならなぜ今出すのか」という声がやはり共和党の保守派には強かったですね。

高嶋)アメリカと健康保険というのは日本人が見ていてよくわからないことですね。 日本なら国民簡易保険になるのはいいことじゃないか、とみんな思いますよね。ところがアメリカ人の中には「勝手に健康を害した怠け者に金を使うとはとんでもない!」とかいろいろと居丈高になってしまう人が多いですよね。

高橋)ですから、アメリカ人の感覚からして、「お上の世話になるのはよくない」という感はやはりあるのです。「生活保護を受けるのはよくない」と。それは貧しい人たちの間にもそれなりにあって。それなりに尊敬すべきところもあるのですけれども、ただ、貧しい人がいるのも確かですし。


オバマが残したデータ トランプ大統領のアキレス腱

高嶋)同時に最近のニュースでは、大統領選挙中もそうでしたけれど。あの、ロシアの問題。これが結構、トランプさんのアキレス腱になるのではないかと言われていますけれど。この動きはどういう風になっていきそうですか?

高橋)ロシアが関与したのではないかということで、オバマ政権末期は徹底的に調査したのです。トランプさんが大統領になったらそれを握り潰されるのではないかということで、対策としてオバマさんは有力議員なんかにはもう事前にデータを送っているのです。それに基づいて追及が始まるだろうし、今の官僚組織の中の人たちでトランプさんを面白くないと思っている人たちが、次から次に情報を漏らすということもありますので、これからトランプのホワイトハウスにいる人たちが次から次にロシア問題で失脚していく可能性があるだろうとみんな思っている。となると「この大統領とは付き合わない方がいいな」ということで、今回のオバマケアに乗らなかった共和党の人々もいると思います。

高嶋)本音はそういう理由もあるワケですか。

高橋)次の自分の選挙を考えて、トランプにくっつく方がいいのか、離れた方が良いのか、みんな見ていたと思うのですよ。

高嶋)ということはトランプ見切りの最初かもしれないということですね。

高橋)そうですね。ですから次は勝たないといけないですね。でも次はトランプさん、税金のことを言っていますよね。税制改革というのは本当にいろいろな議員さんの利権が絡みますから、本当に説得が大変で。もう少し易しい課題にした方が、と思いますね。

高嶋)いかにディールが得意と言っても、議会の複雑さというのは、トランプさんのように単純明快には割り切れないということですね。オバマさんは少し喜んでいるでしょうね。

高橋)ええ。いまのアメリカで一番ニコニコしているのはオバマさんでしょう。休暇先から写真を送ってきて、本当にニコニコなさっています。

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