しゃベルシネマ

イギリスの巨匠ケン・ローチ監督が引退を撤回してまで撮りたかった『わたしは、ダニエル・ブレイク』【しゃベルシネマ by 八雲ふみね・第170回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回は、3月18日から公開となる『わたしは、ダニエル・ブレイク』を掘り起こします。

世界に拡大する、格差と貧困の現実を切り取った社会派ドラマ

01(w680)

前作『ジミー、野を駆ける伝説』を最後に映画界から引退した、イギリスを代表する巨匠、ケン・ローチ監督。
しかし「いま、どうしても伝えなければならない物語がある!」と、あっさりと引退を撤回、世界中で拡大しつつある格差と貧困をテーマに制作された『わたしは、ダニエル・ブレイク』。

本作は、長編映画監督デビューから50年、80歳のケン・ローチ監督の集大成にして最高傑作との声が相次ぎ、第69回カンヌ国際映画祭にて、自身二度目のパルムドールに輝きました。

03(w680)

ダニエル役に抜擢されたのは、英国ではコメディアンとして知られるデイヴ・ジョーンズ。
ケイティ役には、女優業だけでなく脚本も執筆するヘイリー・スクワイアーズ。
ともに日本では馴染みのある俳優さんではありませんが、その分、私たちの隣人のような親近感を覚えます。

かつては「ゆりかごから墓場まで」と言われるほど社会福祉が充実していたイギリスですが、現在は「片手に指が一本あれば就労可能」と皮肉られるほど、社会的弱者にとって過酷な時代を迎えているのが現状。
そんなイギリス社会の現実、ひいては行き過ぎた感が否めない資本主義のために世界中の国で起こりうる現象に警鐘を鳴らすため、引退を撤回してまで制作された本作の底辺には普遍的なメッセージが込められています。

それは、隣にいる困っている誰かを助けることで、人生は変えられるということ。
私たちが助け合い、支え合い、時には寄り添って生きることで、理不尽な世界と対峙することが出来るということを、ケン・ローチ監督は力強い映像で訴えています。

04(w680)

日本では本作の公開に先駆け、映画のメッセージである「生きるために誰もが享受するべき最低限の尊厳」や「人を思いやる気持ち」に賛同した日本の配給会社を中心とする関係各社が、“チーム「ダニエル・ブレイク」”を結成。
映画の上映権を保有する30年の間、本作品によりもたらされる収益の一部を貧困に苦しむ人々を援助する団体へ助成することを目的とした「ダニエル・ブレイク基金」を設立し、チャリティ・プロジェクトを展開しています。

写真は、先日開催されたチャリティー先行上映会の様子。
イギリス出身のブロードキャスター、ピーター・バラカンさんをゲストに迎え、本作で描かれている現実と日本や世界の関わりについてお話を伺いました。

05(w680)

劇場公開時には有料入場者1名につき50円が寄付金に当てられます。
つまり、映画を観ることで支援に協力することになるのです。
公開初週と2週目は、家庭に余っている缶詰を映画館に持ち込む「映画館でフードドライブ」も開催。
詳細は、コチラ。↓↓↓

映画『わたしは、ダニエル・ブレイク』チャリティ・プロジェクト《映画館でフードドライブ!》

これはもはや、他人事ではない。
私たちとは無関係な遠い国の社会問題を描いた映画ではではないと言えるでしょう。

06(w680)

わたしは、ダニエル・ブレイク
2017年3月18日からヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
監督:ケン・ローチ
出演:デイヴ・ジョーンズ、ヘイリー・スクワイアーズ、ディラン・フィリップ・マキアナン、ブリアナ・シャン、ケイト・ラッター、シャロン・パーシー、ケマ・シカズウェ ほか
©Sixteen Tyne Limited, Why Not Productions, Wild Bunch, Les Films du Fleuve,British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2016
公式サイト http://www.danielblake.jp/

八雲ふみね,しゃベルシネマ

Copyright Nippon Broadcasting System, Inc. All Rights Reserved.