水戸駅「水戸黄門弁当」(1,300円)~水郡線「風っこストーブ奥久慈号」の旅!【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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水郡線「風っこストーブ奥久慈号」、水戸駅にて

JR東日本を代表する“トロッコ車両”、「びゅうコースター風っこ」。
平成12(2000)年に、国鉄時代からのキハ48形気動車を改造して作られました。
今も仙台周辺を拠点に、東日本エリア各地で臨時列車として活躍しています。
この週末(2/25.26)の2日間は、水郡線で「風っこストーブ奥久慈号」として運行されました。
今回は、水戸駅8:59発の下り・常陸大子(ひたちだいご)行に乗車してきました!

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「風っこストーブ奥久慈号」車内

「びゅうコースター風っこ」は、2両編成。
それぞれの車両に、4人掛けボックスタイプの木製の椅子が並んでいます。
通路より一段高い位置に座席があって、体いっぱい外の風を感じられるようになっていますが、さすがに冬場は「寒い」ので、窓がはめられるようになっています。
しかも、2号車の奥のほうで、乗務員さんが何やら作業をされていますよ!

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「風っこストーブ奥久慈号」のだるまストーブ

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車外にモクモクと立ち上る「だるまストーブ」の煙

乗務員さんは、なんと!「だるまストーブ」の点火作業をされていました。
「びゅうコースター風っこ」には、「だるまストーブ」が設置できるスペースがあります。
ストーブが設置されると「風っこストーブ○○号」という列車名で運行されているんですね。
ストーブ列車というと、ついつい青森のほうまで行かないと・・・と思ってしまいますが、タイミングが合えば、東京から1時間ちょっとでストーブ列車に出逢えるんです!

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水郡線の車窓(久慈川の流れ)

水郡線は、水戸と郡山(安積永盛)を結ぶおよそ140キロのローカル線。
途中の上菅谷からは、常陸太田までの支線が分岐しています。
水戸から途中の常陸大子(ひたちだいご)までは、1~2時間に1本の普通列車が運行。
常陸大子以北は、さらに列車本数が少なくなって、ローカル線の雰囲気も満点!
久慈川に沿って走る区間が長いため、「奥久慈清流ライン」の愛称が与えられています。

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水郡線の車窓(久慈川の流れ)

水戸駅弁「しまだフーズ」の島田社長おススメの“駅弁スポット”も、水郡線・山方宿~袋田間。
常陸大子方面行きの下り列車から眺める、久慈川の景色が最高とのこと。
確かに、島田社長の仰る通り!
程よいスピードで走る気動車の揺れと共に駅弁をいただけば、旅気分が盛り上がってきます。
水戸から袋田・大子周辺まで1時間あまりという距離感も、丁度いいですね。

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水戸黄門弁当

そんな茨城で“旅”といえば、やっぱり黄門さま!
水戸駅弁「しまだフーズ」からは、「水戸黄門弁当」(1,300円)が出ています。
「水戸黄門弁当」という名前の駅弁は、かつての水戸駅弁を作っていた「芝田屋弁当部」にも、同じ名前の物がありました。
そこで「しまだフーズ」が、芝田屋さんから名前の権利を買って、発売にこぎつけた駅弁なのです。

bl170227-8(黄門弁当)

水戸黄門弁当

【お品書き】・・・カッコ内は黄門さまが食したとされる料理。これを「しまだフーズ」風にアレンジ。
豚の角煮(トンボウロウ)
鮎の香り揚げ(鮎せんべい)
えび餃子(餃子)
ゆばの野菜まんじゅう(湯葉揚げ)
鮟鱇の素揚げ(鮟鱇)
にしんのみりん干し(ニシン焼き)

松茸炊き込みご飯(松茸ご飯)
さけの親子ちらし(ハララ子ご飯)

bl170227-9(黄門弁当)

水戸黄門弁当

「しまだフーズ」の島田社長は、一部、芝田屋時代の弁当の構成を受け継ぎたかったそうですが、様々な事情から叶わず、「黄門さまゆかりの食材」をテーマに開発することに・・・。
社長自ら文献で水戸光圀公の研究を重ね、二段重の駅弁を作り上げました。
その意味では芝田屋の系譜を受け継ぎながら、水戸への愛が詰まった駅弁にバージョンアップ。
歴史好きの方はグルメな黄門さまに思いを馳せながら、駅弁のオールドファンは、昔の駅弁の記憶を思い出しながら、ゆるりとした茨城の旅を演出してくれる駅弁になっていますよ!

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「風っこストーブ奥久慈号」到着に合わせ、常陸大子駅の歓迎

快速「風っこストーブ奥久慈号」は、定刻通り10:04、終点・常陸大子駅に到着。
この日は、駅員さんと大子町のキャラクター「たき丸くん」が一緒に出迎えてくれました。
「たき丸くん」の「たき」とはもちろん、茨城を代表する名瀑「袋田の滝」に因んだもの。
トロッコ列車の旅を楽しんだちびっ子たちにも大人気でした。
臨時の観光列車は、こういった「おもてなし」があるのが嬉しいですよね!

bl170227-11(風っこストーブ奥久慈号)

キハ48「風っこストーブ奥久慈号」

この日は、ほぼ満席のお客さんを乗せて運行された「風っこストーブ奥久慈号」。
今や、都会の暮らしではほとんど見ることのなくなった「だるまストーブ」のポカポカの車内で、多くの方がのんびりと水郡線の旅を楽しまれたようです。
今冬の水郡線での運行はこの2日間でしたが、この「風っこ」、今度は東日本のどのエリアに登場するのか興味深いところですね。

次回は、茨城・大子町(だいごまち)をぐるっと巡って、あの「幻の駅弁」をいただきます!

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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